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『さいかい』~小さなお話を4つ

1 水辺 

雨季がやってきた。
待ちに待った季節。
乾ききった大地を雨が潤し、一気に緑へと変わっていく。
水飲み場が再開した。
どこから知らせを聞いたのか、動物たちが集まってくる。
あっ、サイの赤ちゃん。
お母さんに連れられて、ごきげんだ。

いろいろな動物たちがここで再会する。
ここでしか会わない仲間たち。
普段は違う生活だけど、命をつなぐものは同じなんだね。

私も空を舞いながら、このひとときを楽しみます。
この喜びと高揚感、音と色が戻ってくる感覚は、今しか味わえないのだから。


2 海

何年が過ぎたのでしょう。
どのくらい経ったのか、忘れてしまいました。
でも、あの日の約束は、昨日のことのように覚えています。
「また会おうね」

あなたは貝になった。
私は波になった。
あなたが分かるように、出逢ったときの姿で会いにいくよ。
朝焼けの空とともに。

(絵本『100年たったら』に敬意を込めて)


3 星空

かあさんは言いました。
寂しくなったときには、星空を見上げなさいって。
見えないときには、目をぎゅっとつぶって、両手でおおって心で見るんだって。

ぼくが望めば、海の中にだって、山の頂上にだって行けるんだって…、口癖のように言ってた。

ぼくは星に願いました。

キラキラ輝く海と浜辺、
貝拾いをするかあさんの笑顔が、見えました。

2023.7.3(1~3)


4 合わせ貝

日本古来の遊び、貝合わせ。
たった一枚のかみ合う貝殻を、たくさんの中から見つける。
貝殻の内側には、対になる絵柄が描かれる。
現代の「神経衰弱」みたい。
絵柄は、めくるまで分からない。

 だれかにあいたくて
 なにかにあいたくて
 生まれてきた
(工藤直子さんの詩「あいたくて」の冒頭)

私たちは、しっくりくる何かを求めている。
頭ではなくて、心が、身体が、
自然と心地よいと感じる、何か、を。

出あえたときは、
お互いの持つ貝殻が違和感なくかみ合って、どちらにも無理がない。

そのときまで片方の貝殻を、大切に持っていよう。
内側の絵柄は、私が自由に描いていい。描き直したっていい。
笑顔で合わせられるように、少しだけ磨いておこう。

顔をあげると、隣で寝ていたうさぎさんと目が合いました。↓

2023.7.3 / 7.10(4)

こちら、うさぎのルーナ。


〜今年のテーマ『さいかい』のかい(貝)から〜

"シジミ"チョウを描きました。
記事トップの蝶の写真は、ヤマトシジミとシロツメクサの写真を、みんなのフォトギャラリーから使わせていただきました。

ちょうちょは、シジミチョウだと思って見てください。


〜テーマ『さいかい』のさい(サイ)から〜

サイのイラストを描くために画像を探している中で、「サイ 赤ちゃん おしり」と検索したとき、
このなんともキュートな一枚に出あいました(下の写真が特に好き)。
一目惚れしてしまい、撮影者のおばらさんに連絡してしまいました。自由に使っていいとおっしゃってくださいました。
おばらさん、ありがとうございます。
今回の記事のクロサイは、お母さんユキちゃんと、当時2ヶ月弱だったランちゃんです。

→2019.2.5生まれ。
なんて可愛いおしりなの♪
2019.3.24に、仙台市八木山動物公園で撮影されたそうです。
その後、ランちゃんと名前が付き、
今は盛岡市動物公園ZOOMOにいます。
おたよりは、私の担当。
こちらにも使わせていただきました。


次の記事は、クロサイという動物について。
お読みいただけると大変嬉しいです。

2023.9.5

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