HPVと子宮頸がんの関係を解説
HPVは日常生活の中で遭遇する機会が多く、子宮頸がんとも関係するウイルスです。
「HPVにかかると絶対子宮頸がんが発症するの?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
この記事では
・HPV感染と子宮頸がんの発症
・がんの前段階が自然に治る可能性
・子宮頸がんの検査
について解説します。
HPVに感染した一部の人は子宮頸がんの前段階になることがある
■ HPVの種類
HPVは日常生活の中で遭遇する機会が多いウイルスで、日本でも10-20代を中心として多くのHPV感染が報告されています。
HPVには100種類以上の型があり、その中で
・悪性の病気(がん)の発症に関係する型(=ハイリスクHPV)
・良性の病気と関係する型(=ローリスクHPV)
があることが分かっています。
■ HPVに感染してもすぐに子宮頸がんになるわけではない
がんなどの悪性の病気と関係するハイリスクHPVですが、これが性交渉などによって子宮の入り口の細胞に感染してもすぐに子宮頸がんになるわけではありません。
私たちが普段風邪を引いてもいずれは元の体調に戻るのと同じように、HPVが子宮に感染しても、ほとんどの場合には自分の免疫の力でHPVを排出することができます。
しかし、10人に1人ほどの割合で感染が続いてしまい、それが5~14年続くと、子宮頸がんの前段階である「子宮頸部異形成」、あるいは子宮頸がんが発症すると報告されています。
異形成がある場合は定期的な子宮頸がん検査を行う
■ 軽度・中程度異形成のある方は病気の進行を定期的に診ることが一般的
ハイリスクHPVに感染した患者さんのうち、5年間のうちに子宮頸部異形成の状態がより悪化していく可能性は、
・軽度の異形成ではおよそ7-8人に1人
・中等度の異形成ではおよそ3人に1人
と報告されています。
こういった患者さんに対しては、HPVの型を検査で確認した上で慎重に病気の進行もしくは改善があるか様子をみていくことが一般的です。
また、高度異形成の患者さんは2年以内に約30%の割合で、子宮頸がんが発症すると報告されています。そのため、軽度・中等度異形成の患者さんとは異なり早めの治療が必要になります。
ただし、この場合でも子宮全てを取らずに済むことがほとんどです。
■ 検査を受けて子宮頸がんと診断される割合
一般的に、細胞診を受けた人の95%は陰性、そして残り5%は疑陽性(癌かどうかの判別が難しいもの)か陽性です。擬陽性と陽性のうち、20%ががんの前段階(異形成)と診断されます。更に、異形成と診断されたうちの10%~50%が子宮頸がんと診断されます。
つまり、10万人中、10人~50人が子宮頸がんとされることになります。
まとめ
HPVの種類のうち、ハイリスクHPVが子宮頸部の細胞に何年間も感染すると、ごく一部の方では子宮頸がんを発症してしまいます。
がんになる前に、自分の免疫の力でウイルスを排除できる場合も多いですが、再びウイルスに感染してしまうこともあります。
このため、子宮頸がんの予防にはHPVワクチンの接種により、ハイリスクHPVにかかることを防ぐのが最も効果的です。
引用文献
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1111/j.1349-7006.2009.01161.x
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/28964706/
https://www.nature.com/articles/nrc2050
https://onlinelibrary.wiley.com/doi/full/10.1002/ijc.25630
https://www.bmj.com/content/360/bmj.k499.long
もっと詳しいことが知りたい方はこちらのサイトをご覧下さい。
» みんパピ!:HPVと子宮頸がんはどのような関係があるの?
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