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「とつとつ」の詩

声声が踊りに向かって歩むように
とつとつと白鯨はくげいの詩は星星ほしぼしゆわいた

地球人は戯曲のなかへと放下され
溢れ出した深海の詩詩うたうたはその孤独を懐しむ

やがて訪れる調査隊はくすくすと笑い去ってゆくだろう
錆びついた錨を投げ捨てながら

身体からだは肉肉を開き海底に揺蕩たゆた
とぷとぷと科学は空洞にこだまする

ああ なにも なかったのだ
最初から この青い星には なにも なかった

わたしたちはせめて永く続いた一編の詩となり
遠くの恒星で挽かれたコーヒーは甘苦く
すやすやと絶望し微睡まどろまれるなら



――訥弁とつべんの白鯨は思い出を保ち続けることができるだろうか?





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