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感情の言語化

いけ好かない作家がいる。
「嫌い」とも、「面白くない」とも違う、「いけ好かない」。

彼女の作品は2・3作しか読んでいなかったが、読み終わってからはいつもイライラした。このイライラの正体がわからない。

彼女のトークショーがあると聞いて、足を運んだ。
私の感想は、やっぱり「イライラする」。なぜだかわからない。
だから私は彼女の作品を、読んで、読んで、読んだ。
そしてわかった。

作品の登場人物に、あまりにも作者の自我が現れている。
小説の中で登場人物が言っていることは、つまり、お前が言いたいことなんだろ。

作品に思いを込めるのも、作品を通して何かを伝えるのも、それは別にいいのだ。だけど、あまりにも、「あなたが、個人的にこういうことを、誰かに向かって言いたいんだよね」というのがあまりにもそのまま伝わってきてしまってつらい。あまりに小説と、作者が近い。言いたいことがあるなら自分で言え。いや、自分で言う手段として小説にしたのかもしれないけど。

なんとなく、「○○さんがこう言ってたよ」みたいな、発言の責任を他人に押しつけている感じがしてイライラしたのだ。


とは言っても、私は一般の素人読者で、作品や作者を批評しようという意図ではない。偉そうに書いてしまってとても恥ずかしい。

それでも、自分の中のイライラを言語化できた達成感を書き残しておきたかった。


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