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オンライン授業開始~学生に通信環境アンケートをとってみた~

マイクロ人事部長の髙橋です。

withコロナの中で、ゴールデンウィークに入りました。
じつは僕は、昨年から法政大学の1年生向けのリベラルアーツ「キャリアデザイン入門」の講師をしています。学期を通して教える授業を持つのはまだひよっ子の2年目講師です。

本業はもちろん現場の人事なのですが、「現場のリアルな視点を学生にインプットしたい」とお声がけいただきました。元々、人事として社員育成をしていて「社会人では遅すぎる。もっと学生から社会人のシームレスなキャリア教育ができないか」と考えていて、プロボノで近未来ハイスクールにボードメンバーとして参加したり、年に数回は特別講師として大学や高専でお話しさせていただくことは多かったのですが、学生にリアルを伝えるいいチャンスとプロボノでお受けさせていただきました。
(兼任講師って、ビジネスとしてはかなり厳しい)

でも、今年は、なんと「春学期は完全オンライン授業になる」。
ひよっ子講師が、いきなりオンライン授業をすることになりました。

学生に、通信環境のアンケートをとってみた

コロナショックで、入学式も、4月は緊急事態宣言でキャンパスも閉鎖。学生との接点が全くない状態で、4月21日から「授業開始」となりました。

接点は学校が提供する「授業支援システム」のみ
しかも、授業選択の仮登録が始まっており、150名近くの学生が僕の授業を選択しようとしています。毎日、システムを見ていると授業選択登録者が増えていく。果たしてひよっ子講師の授業は一体どうなってしまうんだろう・・・。

自分自身のオンライン授業をする準備は進めなければいけませんが、まず学生側の環境は整っているのだろうか。大学からは「学生の環境に配慮して授業を進めるように」と。こんな未曽有の状況で、大学側も学生のオンラインの状態など知る由もないのは仕方がないので、アンケートを取ることにしました。

大学システムでもアンケートを取れたのですが、じつはシステムは今年リニューアルしたばかり。いじってみましたがちょっと使い勝手が悪い。そのため、Googleフォームでアンケートを取ることにしました。

知りたかったのは、
・学生は、パソコンを持っているのか?(相手はこの間まで高校生)
・通信環境はどうなってるのか?多額の費用を負担させることになるかも
・不安に思っていることは山ほどあるんじゃないか

ということ。

オンライン授業接続機器保有状況は?

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僕が想像しているよりパソコン保有率は高かった!(96.3%)
おー、でもカメラ付きじゃない人もやっぱりいるか・・・・
パソコン未保有は6人(3.7%)。うーむ。

カメラなしパソコンの人、webカメラ持ってる?

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やっぱりwebカメラなんてもってないよな。。。。
そりゃそうだ(淡い期待だったが)。

カメラ付きパソコン持っていない人は、タブレット持ってるかな?

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うーん。微妙だな。。。あと残り13人。どうだろ。
頼むから、スマホだけは持っていてくれ。。。

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おー!よかった!「全員カメラ付きパソコンか、持っていない人はタブレットかスマートフォンを持っている」ことが分かりました!よかった!

これでなんとか、なんとかオンライン授業をできる機器は持っていることが分かりました!

じゃあ、通信環境は?

恐る恐る、アンケート結果を。。。

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おおお!よかった。
でも、2名の人がネットに接続できないと。
このアンケートは、スマホで見ているのかな?うーん。

どんなタイプの回線接続をしているのかな?

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光回線が意外に多数なのには驚いた。ADSLもISDNもまだ残っていますものね。。。分からない人も多数。それはそうだと思います。

これで分かったのは、「半数以上の学生は、オンライン授業がストレスなく受けられるが、半分は(悲観的にみると)受けられない可能性もある。また、ほんの数名は、オンライン授業を受けられる環境にないかもしれない」ということですね。

一応聞いてみた。プリンター持ってるか

僕はペーパーレスタイプなので、本当はあまりプリンターを使うような授業はしたくないと思っているのですが「書かせる」ということは、まだ学生には訓練させたほうがいいと思うので、一応プリンターを持っているか聞いてみました。

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意外に結構持ってますね。4人に一人は持ってる。

受講場所は、ストレスを抱えないか

機器と通信はいいけれど、果たして受講できるスペースはあるのでしょうか?教室は「学ぶ場所」としてスペースが区切られているけれど、それができない学生もいるんじゃないでしょうか。

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かなりの人数が、自分の部屋を選びました。これは少しほっとした。
そして、自分の部屋以外の人は、1名を除き「リビング」を選びました。「自宅の静かな場所」と書いてくれた学生がいたけれど、その学生が、受講できる環境にあることを、祈りたいと思います。

学生はどんな心配を抱えているか

自由記述で、コメントをもらいました。

・パソコンの操作に慣れていないため、不具合などが起こった場合に対処しきれるかが不安。
・自分の顔は画面に表示されるのでしょうか。
・パソコンの扱いに慣れていないので情報収集が遅れてしまいそうで不安です。
・回線が弱いので接続できるか不安
・ちゃんと繋がるか不安です
・スマホだけで講義をうまく受けるかどうかが心配です。定時に課題を提出することも心配です。
・パソコンを扱うのが苦手で知識もほとんどないので情報を見落としてしまったり時間通りにきちんと参加できるかどうか不安ですが頑張りたいと思います。よろしくお願いします。
・自分の顔を映さなければならない場合の抵抗感があります。また、授業中の質問が可能になるのかも気になります。
・リアルタイム型はより教室講義にちかいので楽しみです
・他の授業でオンライン授業があったが、インターネットの調子が悪く、参加できなかった。参加できなかった場合はどうなってしまうのか不安。
・インターネットのつながりやすさに波があり、また、複数人で同時にアクセスするため授業中の画面のフリーズやZOOMのアプリケーション自体が落ちるなどのトラブルが心配です。可能であればオンライン授業を録画し、何かトラブルのあった時にHOPPIIにアップロードするなど、生徒も後から確認できるととても便利だと思います。
・経験がないので無事参加できるか分からない
・不安なことはありません。大学生として基本的な力を身につけられるよう頑張りたいと思います。
・学部で統一的な媒体で授業してもらわないと,、勉強よりもそっちにパワーを使ってしまう。今現在はそんな状況です、、、
・オンラインだから質問しやすいと思うので少し気楽で楽しみです
・自宅のWi-Fiの接続が不安定になることが多く、講義の途中で切れてしまわないか心配です。
・こちらの顔が映るのか心配です。
・zoomを試したのですが、若干の映像と音声のタイムラグがあるため表情やジェスチャーでのコミュニケーションが厳しいかもしれません。
準備の都合や、見逃しなどが怖いので、細かい時間を前もってお知らせしていただきたいです。
・このページが混みあわないかどうかが不安です。
・パソコンの情報処理が追いつかず、画面がいきなり固まることで操作ができなくなったり、講義内容を一部聞き逃したりしてしまわないか不安です。
操作方法がわからなくて講義に途中参加になってしまった場合に遅刻もしくは欠席扱いになるのか。
・オンライン授業でも通常の授業のように自然にできればいいなと思います。
・自宅のシステムや環境が整うのか、安定して受講できるのかが少し不安です。
・例年にない大変な状況ですが、授業を通して自分の将来についてよく考え、これからの進路の決めるうえでの参考にしていきたいです。
・パソコンの扱いが不慣れなのでついていけるか心配。
・カメラがないとどのような不都合が起こるのか、またカメラを購入したほうが良いのか。
・自宅に部屋がなく、ポケットWi-Fiになってしまうため、可能であればオンライン講義の時間を減らしていただきたいです。
・基本的に接続はよいのですが、自宅のインターネット接続がたまに不安定になるのが心配です。
・授業中に画面が一時停止したり、画質が荒くなる可能性があります。授業があまり速く進まなければ、また、板書の文字が大きめであれば、うれしいです。
・オンライン授業への参加の仕方が分からないので、きちんと授業に参加できるか不安です。
・顔出し必須の授業はやめて欲しいです。
・自宅でキャリアデザインの講義を受けることで、他の生徒からの刺激を受けにくくなってしまうのは残念ですが、自分自身の将来について自分とじっくり向き合うことができるのではないか、と期待しています。
・急に通信が切れしまうことが不安ですが、キャリアについて学べることを楽しみにしています。

意外に多かったのが「顔出しNG」
僕は、教室での講義をオンラインで代替しているイメージがあったので、もちろんリアルには顔も見えるけれど、オンライン授業での「顔出し」については、抵抗がある人が少なからずいるようです。

僕からの回答

この不安に対して、僕自身がどう考えているか、しっかりとメッセージしておいたほうがいいと思ったので、もしかしたら正しいか分からないけれど、このようなメッセージをしています(ただ、学内システムでの発信は、なかなか既読にならないのが、とても悩ましい)

1)通信環境が心配
今回GW明けの授業から、リアルタイムオンライン講義を予定しているので、皆さんも通信環境が心配だと思います。残念ながら現段階では通信環境は様々なトラブルの可能性は否定できません。
ただし、仮に通信環境の不具合でリアルタイムに参加できなくなってしまった場合も、後ほど授業のビデオの配信(限定配信で)もしくは、先日のオリエンテーションのように視聴できる環境を準備する予定です。
※現在携帯電話各社が、コロナ対応で学生支援を行っています。心配な人は可能な限り自身の通信環境を整備しておいたほうが、より安全と思います。(ご自身で携帯電話各社に問い合わせを行ってください)
2.パソコンがない・パソコンが苦手
オンライン授業には、パソコンでの受講を推奨します。ただ、事情で用意できないケースもあると思うので、タブレット・スマートフォン等での受講も可能です。(アンケートによると、皆さん全員スマートフォンは持っているようですので)
パソコンが苦手で心配な人もいると思いますが、この点は一緒に慣れましょう。僕も、オンライン授業の経験は初めてなので(全ての人が初めて)。ただ、これから社会人になると、恐らくほとんどの仕事でパソコンに向き合うことになると思うので、いいチャンスと捉えて、頑張りましょう。
3.カメラで顔が出ることについて
みなさんの通信環境、機器環境が統一されていない状況があることと、リアルタイムオンライン講義は通信トラブル等で受講できない人が出てくる可能性があるため、「カメラonは必須としない」こととします。この点、それぞれ自身で判断してください。
リアルタイムオンライン講義を行う理由は、「できる限り教室での講義に近づける」ことを目的として行います。この制限された状況下でも、可能な限り学びのレベルを下げないよう、代替手段を使って工夫をしていきたいと考えています。そのため、「GW明けからリアルタイムオンライン講義を中心として、トラブルが発生した場合のリカバリー策として録画機能を使う」ことになります。
また、皆さんが大学に行けないことで、学生の皆さん同士のコミュニケーションができないことを、僕はとても憂慮しています。教室であれば、隣同士で初めましてと会話して、友達になることも多々ありますが、皆さんがその機会をもてないことの代替策を検討中です。なので、リアルタイムオンライン講義の中では、それぞれ学生の皆さん同士でディスカッションができる工夫もしていきたいと思っています(詳細はまたお伝えします)。その時に「顔が見えない」ことがどんな影響があるのか分からないため(教室では顔が出ない、というのはないので)、皆さん自身の判断に委ねることとします。

結構無責任な言い方になってしまうのが、とても心苦しいです。
通信環境や機器は、大学からの支援表明は、今のところありません。僕自身も強制はできない(もちろんするつもりもない)ので、でも、どうしても制限されている中で授業を行わなければいけないので、玉虫色の表現になってしまう。そのため一部制限を受けてしまう学生にどうやってバックアッププランを提供してあげるかを、真剣に考えています。

そして、「顔出しNG」問題。やはり授業なので「顔が見える」というのはとても大事だと思っていて(インタラクティブにやるならなおさら)、でも、どうしても抵抗がある学生を無理にやっても仕方がないので、ここでは玉虫色にしていますが、僕自身の考えを、伝えました。
(この後、数人の仮登録をしていた学生が、取りやめたようです。これが原因かは分からないですが、表明することで学生が判断してくれることもあると感じました)

大学からの支援

いくつかの大学が、学生への支援を表明しています。

ただ、これは、大学の財政状況に大きく左右されると思いますし、法政大学はマンモス校でもあるので、僕はやれるところしかできないと思っています。でも、学生によって、差が出てしまう状態をどう埋めていってあげるか。それは、今は先生・講師が頑張って、不安になっている、マイナスになっている学生に支援をしてあげることしかできないと、思っています。

学生側の視点

こんなNoteが出ていました。

先生や講師がとても必要としているのが、学生側の視点です。
(ここまでさぼってきたツケとも言えるが)学校は、学生側の状況をしっかりと把握できていない。フィードバックが得られにくい環境なんです(講師になって、大学は、全体のフィードバックが間違いなくうまくない組織なんだと大いに感じました)

ここでのポイントは、是非取り入れていきたいと思っているし、何なら、僕の授業を受講した学生が、こういうのを発信してもらってもいいと思っています。

今年の1年生は、友達すら作れていない

今年の1年生は、コロナショックでまだ一度もキャンパスに行けてない学生もとても多い。入学式も中止。授業開始も延期。そして、春学期は(恐らく)オンライン授業になる可能性が高い。

学生のみんなは、大学で友達すら作れていない

友達が一切作れていない状態で、オンライン授業を今までと同じように単に授業をすることとしてやっていいのか。それで、本当の学びになるのか。リアルな教室でなら、隣同士の席に座った学生同士、仲良くなるかもしれない。そのような機会を作ってあげられないか。

僕は、この授業を通して「受講してくれたみんなを繋げる(=友達を作る)」ということも、この授業を通した目的の中に入れました。

まず、授業の掲示板で「なんでも書いていいコーナー」を作り、昨年はやらなかった僕からのプライベートのぶっちゃけ話や、そして自己紹介。学生のみんなにも自己紹介を促し、今全部で50くらいのメッセージが飛び交い始めています。

これからどういう形にしていくべきなのか試行中ですが、オンラインでもできる限り「友達の輪ができるような場(機会)」を作っていければと思っています。


これは、つぶやきですし、僕の周りにはそういう方はいらっしゃらないのですが、「オンライン授業の方が楽だなぁ」と、発信者側の視点だけでそのように解釈している一部の先生が、残念ながらいらっしゃるようです。
でも、全ての人が、初めての出来事。僕は所詮ひよっ子講師なので人のことをどうこう言う筋合いはないので、自分のベストを尽くそうと思います。


これから起こること今、教育現場では、急速にオンライン授業への取り組みが進んでいます。先生も、学生も必死です。いずれにしても劇的に環境が変わってきている。恐らくそれがしばらく続きます。

そして、このコロナショックを経験した学生は、確実にオンラインに慣れる大学の総学習時間は5,580時間。このうち、どれだけオンライン授業を受けるのか。1割だけでも、圧倒的な経験値になります)。

その学生が、社会にこれから入ってくる。
相変わらずリアル重視の企業側(社会人側)とのギャップを想像すると、恐ろしいことになります。マネジメントスタイルを劇的に変える必要がある。
この話は、また改めて書きたいと思います。

※この150名の授業をリアルタイムオンライン講義としたいのだけれど、色々と調べていますがどうすべきか思案中です。Zoomミーティングだと多すぎるのは分かっているけれどウェビナーだと一方通行っぽくなるので(僕自身もウェビナーホスト経験がなく)、思案中です。
いずれにしてもトライアンドエラーを繰り返してベストを尽くそうと思います。

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