去年の冬、君と別れ
今年に入って二冊目の読了。
年々読むペースが落ちてきて、一ヶ月に一冊読めればいい方になってきている。
活字から離れていく一方。
今年に入って一冊目はダニエル・キースさん「アルジャーノンに花束を」だった。
この話はまた後日。
二月になり、五年連れ添った恋人に別れを告げられた。そんなこともあって
本棚の積読コーナーからこの本を選んだ。
映画は見ていない。何も入れないように読もうと思ったからタイトルだけでは失恋の話だろうと安直な考えをして。でも読み進めてみると全く違った。
復讐の話だった。
そこからまず頭を整理するために一度本を閉じた。
なるほど、ミステリーなのかと。サスペンスなのかと。
今までにそういったジャンルの本はあまり読んで来なかった。
比較的薄い本だから辛さや別れた気持ちを切なく、それでいて心落ち着かせられることが出来るかなとふんだのに。
すでに読まれた方だったら、分かってもらえると思うがこのお話はそんな簡単なものじゃなかった。
濃厚かつ複雑化していた。
純文学よりだ。
そして気品が感じられる作品だった。
私は果たしてこんな病的に、執着的に人を愛したことがあったか、これからもそんなことが有り得るのかと考えさせられた。
今まで何かに夢中に熱中してきたことがない。
だからこそ、病的ではあるが美しい復讐劇を見せつけられた。
楽しかった。
僕は、ちょうど。
冬に別れた。
だからだろうか。
今の気持ちは、化物にはなれなかった。
なろうともしなかった。
だけど、いつかこの作品を改めて読みたいと思った時、僕は化物になるんだろうか。
そんなことは分からない。
2024年2月13日
小深みのる
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