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この春触れたもの(本、演劇etc)

5月も終わりかけなので、この春触れたものについて書きました。

小説📕
『すべての、白いものたちの』ハン•ガン
出会い:学校の図書館
一言:日記のような、詩のような、祈りのような文章。読書記録をnoteに書き始めてから彼女の作品の感想は毎回書いている。せっかくだから翻訳された本は読破したい。この記事を書いている間にも新刊『別れを告げない』が出たらしい。次はこれを読もう。

『哀れなるものたち』 アラスター•グレイ
出会い:映画を見たこと
一言:マッキャンドルス、ベラ改めヴィクトリア、「編者」アラスター•グレイの三つの語りのせめぎあい。特にヴィクトリアによる語り直しと晩年の彼女が書かれた箇所(映画にはない)が面白かった。見た人/読んだ人と話してみたい。

オリジナルと映画版との二重表紙

『ねじまき鳥クロニクル』 村上春樹
出会い:『村上春樹、河合隼雄に会いにいく』
一言:異なる物語が混ざり合い、溶け合い、繋がる。「真実は事実とは限らないし、事実は真実とは限らない。」という作中の言葉がしっくりくる。登場人物としてはメイちゃんが好き。 

↓去年、劇があったらしい。どんなふうに調理したのか非常に気になる。

演劇🎭(脚本)
『幽霊はここにいる』安部公房
出会い:大学図書館
一言:都合が良ければ信じる人間の愚かさ、可笑しさ、強かさに、アイデンティティ的な問題が絡み合う。前に唐十郎の『透明人間』を見たのだけど、戦後の劇って幽霊とか透明人間とか見えないけど存在しているものを扱っているもの多いのかしら?

『ああ、それなのに、それなのに』別役実
→『悲劇喜劇』2018年11月号を借りて読む
出会い:別役実を読んで見たかった+宮沢賢治の『注文の多い料理店』とハロルド・ピンターの『料理昇降機』を料理つながりでつなげた話だと聞いたから。
一言:『料理昇降機』であった殺し屋2人の緊張感が見事に消されていて笑った。物や人の正体、関係性、出来事、それら全てがが目まぐるしく上書きされていく。作品が収録されていた『悲劇喜劇』には別役実のエッセイも載っていたけど、それも面白い。不条理というのは瓢箪で鯰を捕まえようとするようなものと同じだとか言ってる。

演劇🎭(観劇)
『泥人魚』唐十郎
 唐組の公演を見に行く。去年に続いて2回目。今回の演目は前回(『透明人間』)以上に意味の糸を繋いで見ることが難しかった。わちゃわちゃドタバタする人々。意味というよりイメージで語られているような言葉。諫早湾の干拓というシリアスなテーマ。それらが渾然一体となっていた。
 とはいえ、あの場でしか味わえない独特な空気はやっぱり面白い。公園に立つ異様な赤いテント、よく通る声で整理券通りに並ぶよう指示する団員、番号の通りにぞろぞろと並び、ぞろぞろと入っていく200人超の観客、途中休憩はあるものの体育座りで、隣の客と当たりそうな距離で過ごす2時間。濃密な場の空気を楽しむというか、耐えるというか、あてられるというか。来年もまた観に行くと思う。
(そしてこの記事を書いている間に唐組主宰の唐十郎さんがお亡くなりになりました。ご冥福をお祈りします。)

夜の赤テント

おまけ
①海遊館に行った。11時に入場して20時近くまで水の生き物たちをひたすら見る。満喫。一緒に行ってくれた子には感謝しかない。

②友人が出てるバレエの発表会に行った。彼女は白鳥の湖の黒鳥のシーンのパドドゥを踊っていた。黒鳥を白鳥と信じ切って陶酔する王子と王子を手玉に取る魔女。これを動きだけで表現できるバレエとバレエダンサーってすごい。

③春休みに旧友たちに会う
中学の同級生、文愛会のメンバーや学部の同期など懐かしい人たちに会って話した。それぞれがまとう今の空気を吸い込む。人と話すと、自分の輪郭が分かるのも楽しい。

④修論を準備する
物語を語ることの意味(良し悪し含め)に興味があるということに気づく。物語内現実を酸いも甘いもひっくるめて眺めるの好きだなあ。物語外現実にもそうできればいいけど。

家の近くに咲いてる薔薇

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