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足立実の『ひと言』第57回「君が代・日の丸・リクルート」 1989年4月15日 

 文部省は三月十五日、学校行事の「君が代」「日の丸」を事実上義務づける告示をした。
 三十日、竹下首相は国会で朝鮮との間の「過去の関係についての深い反省と遺憾の意を表明」した。
 この二つのことは矛盾する。
 朝鮮人民は四十年にわたって日本の植民地統治のもとで苦しんだ。日の丸を国旗に強制され、君が代を歌わされた。
 彼らにとって屈辱の象徴以外のなにものでもない日の丸・君が代を義務づける文部省の告示は、首相である竹下が「過去の関係について全く反省していない」ことを証明しているのだ。
 この告示はかつて青年学徒を侵略戦争に狩りだした文部省の犯罪的学校教育を再びたくらむもので、日本人民としても絶対容認できることではない。
 しかもこの告示はいま小菅に拘留されている高石前文部次官やリクルートの江副と密接な関係があるのだ。「高石が現役時代に手がけた最大の仕事が、今月十五日に告示された小学校、中学校、高校の新しい学習指導要綱づくり。道徳教育さらに充実させ、入学式や卒業式での 『日の丸』掲揚や『君が代』斉唱を事実上、義務づけた。これらの改訂作業の舞台になったのが、教育課程審議会。高石の後押しで江副がその委員に名をつらねていた」(朝日新聞三月二九日)
 高石や江副など汚いやからに道徳教育を語る資格はない。文部省は指導要綱をただちに撤回すべきである (実)

(画像はリクルート事件文部省ルートで「妻が、妻が・・・」と妻に責任を転嫁した高石元文部次官。こんな人間に教育を語る資格はない!)

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注釈

・文部省
現在の文部科学省

・竹下首相
竹下登元首相(1924~2000) 
1985年竹下派をつくり、1987年首相。1988年消費税を導入。1989年リクルート事件で首相を辞任した。退陣後も歴代の自民党政権誕生に影響力をもった。

・「朝鮮人民は四十年にわたって日本の植民地統治のもとで苦しんだ。日の丸を国旗に強制され、君が代を歌わされた」
1910年8月29日の日本による韓国併合から、1945年9月9日の朝鮮総督府による対連合国降伏まで、35年の間朝鮮は日本の植民地として、日本によって統治され、「同化政策」によって日本の国旗や国歌が強制された。
参考

韓国から見た「日の丸・君が代」についてhttps://geolog.mydns.jp/www.geocities.co.jp/WallStreet-Bull/7019/tinomaru.html

・高石前文部次官
高石邦男(1930年~2021年)
元文部事務次官。
1989年リクルート事件に関する収賄罪容疑で逮捕。2002年最高裁判所で懲役2年6月、執行猶予4年、追徴金2270万円が確定。

・リクルートの江副
江副浩正(1936年~2013年)
株式会社リクルートの創業者。
1988年会長に就任、同年6月に「リクルート事件」報道が始まり、1989年2月に逮捕。2003年3月、執行猶予付き有罪判決を受けた。
足立実の『ひと言』第53回 「政官財界の腐敗堕落 (リクルート事件)」参照https://note.com/minoru732/n/nbb94cab22cd6

・学習指導要綱
学習指導要領と思われる。
学習指導要領とは、教育課程を編成する場合の基準として文部科学大臣(現在)が公示する教育内容。小・中・高・盲・聾・養護学校の各学年の教育内容、基本的指導事項などについて指示する。1947年にはじめて作成され、当初は試案とされたが、1958年から法的拘束力をもつものとされた。

・教育課程審議会
教育課程に関する事項について、調査、審議した文部大臣の諮問機関。教育職員、学識経験者、関係行政機関の職員で構成。1949年設置、2001年に廃止された。

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『ひと言』第53回 「政官財界の腐敗堕落 (リクルート事件)」に続いて、リクルート事件についてのコラム。事件の首謀者のリクルート社江副が高石文部次官に未公開株を譲渡した「文部省ルート」についてである。

このような犯罪に関わる「汚いやからに道徳教育を語る資格はない」と筆者は厳しく断罪している。

このような連中が手がけた学習指導要領は日本の朝鮮半島の植民地支配の反省もなく再び児童・生徒に「日の丸」「君が代」を押し付けており、それを推し進める当時の竹下内閣は「過去の関係について全く反省していない」と言及している。

このリクルート問題により竹下内閣は倒閣された。

ここでの高石文部次官、リクルート事件でさかんに「妻が、妻が」と妻に責任転嫁して「妻が、妻がの高石さん」と小学生までに揶揄された。

そして一転、「実は・・・」と自分の非を認めた。こんな人間が「道徳」を説くとは・・・。

日本の「道徳教育」など所詮その程度なのである。

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