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『信頼する親』は選びたくても選べない

僕が仕事をする上で、重要視しているのが親と子どもの関係性だ。

親の前だと小さくなっているが、親から離れると大暴れ!なんて子どもだったり、
親が居ないと表情に変化があまり見られないのに、親の前となるとニコニコしてとても嬉しそうな子どもだったり。

親と子どもの関係性は、各家庭によって異なるが、
簡単にいうと子どもの「親に対する信頼度」で変化する。

子どもが親に見せる表情をチラッと見ると、案外分かりやすかったりする。


教育関連の仕事に就いている人はしばしば目にするワードかもしれないが、
発達心理学者エリクソンの唱える“人間発達学”というものがある。

この“人間発達学”とはどういうものなのかを少し紹介しようと思う。

人間とは生涯どの時期においても発達し、どの段階においてもクリアすべき課題とクリアするための障害が存在する。またその障害を乗り越えたときに得られるものも定義され、それぞれの段階や障害、獲得する要素を分類したものが人間発達学である。

簡単に言うと、“産まれてから死ぬまで人間は発達し続け、死ぬまでの段階が幾つか定められており、段階ごとに課題をクリアしないと次の段階にステップアップできない”とされているもの。

個人的には、「単位を取れないと、次学年に上がれない」という表現が一番近い気がしている。


そして、最初の段階(0歳〜2歳)で獲得することができるものが“基本的信頼感”と言われている。
これが、親との関係性に大きく影響し、また生涯においての対人関係のベースになるものだ。

もしもここで親に対して“基本的信頼感”を獲得できなかった場合、“基本的不信感”を抱き続けることになる。


では、この“基本的信頼感”とはどうやって獲得するのか?

親と過ごす日々の中での、負の感情(不快感や不安感)を取り除くことで獲得することができる。

例えば、産まれたばかりの赤ちゃんは「オムツが汚れたから替えて〜!」なんて口には出来ない為、泣いてアピールする。
それを聞いた親が、どうして泣いているのかな?お腹空いた?抱っこかな?オムツかな?と反応性良く色々と試してみる。
“この色々試す”という行為が、子どもにとって重要であり、“泣いたら必ず助けてくれる”という安心感を産む。そのうち「オムツ替えてくれた!気持ち悪くない!」と負の感情を取り除くことになる。

これを繰り返すことで、赤ちゃんは「この人は必ず助けてくれるから信頼できる!」と基本的信頼感を獲得するのだ。

言い換えると「親が子どもにとって信頼できる存在」になれるかどうかが重要なのである。

逆に、泣いても泣いても助けに来てくれない親だったら、どうだろうか。
信頼することができるだろうか。

不信感を抱く子どもは、親の顔色を伺ったりすることが多いように感じる。
また、「どうせ僕なんて…。」といったネガティヴな発言やボディタッチがやたら多かったり、大人への不信感から攻撃的になったり、突然甘えた態度を取ったりする。

子どもは親を選べない。勿論親も子どもは選べないが。

子ども達は、『信頼できる親』を選びたくても選べないのだ。


目を見て、子どもと思わず、一人の人間として扱う。
笑顔で名前を呼び、優しいトーンで話しかける。
「こんにちは!○○さん、今日も元気かな?いっぱい遊ぼうね!」

そしてその子は、ニコッと笑いながら「うん!」と返事をする。
この小さい積み重ねが、目の前にいる子の将来に繋がっている。

子どもにとって、僕という存在が安心と信頼に足るものであり、次のステップに進む為の手助けになれば良いなと、いつも思う。

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