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障害特性への支援について

今回の記事で伝えたいのは、
今の社会には、障害特性を理解して対応してくれる、保育・教育の現場は殆どないのが現状であるということだ。

それは何故か。嫌がらせや業務怠慢などではない。
保育士や教師が、障害のある児童に対して適切な対応をするほどの余裕がないからだ。
そのため、適切な対応をさせようとする場合は、保護者や児童に障害特性をよく理解してもらい、具体的に○○の際は、このように対応して下さい、と伝える他ない。

保育園、幼稚園や学校では、定型発達の児童が多くの割合を占め、障害特性の強い児童は少数派になる。
そもそも社会とは多数派を軸にして、多数派が生活し易い形態をとっている為、少数派の障害特性の強い児童は、生活し辛い環境を強いられてしまう。

「ある保育園で障害特性を持つ児童がいたとしたら、適切に保育士の先生が必ず対応してくれるのか?」
という例で少し深掘りしてみる。

国が定めている、保育士の配置基準がある。

・0歳児3人に対して、保育士1人を配置する
・1〜2歳児6人に対して、保育士1人を配置する
・3歳児20人に対して、保育士1人を配置する
・4〜5歳児30人に対して、保育士1人を配置する
というようなものだ。

例えば、4歳児30人の中に1人、ASDの児童がいるとする。
その児童は、自身の想いや考えを言語化して表出することができず、「イヤだ!」という言葉でしか表現することができない。
その児童には、触覚や聴覚の感覚の過敏さがあり、近くに人がいることや、大きい音が実はとても辛い。
その為、お昼寝の時間や外で遊ぶ時間になっても、「イヤだ!」と癇癪を起こしてしまう。

とはいえ、保育士がその子と向かい合って対応すると、残りの29人は放置されてしまう訳だ。
だから実際は29人の方を優先的に対応し、障害特性を持つ児童1人は対応しきれない、といった現場が多くなってしまうのだ。

勿論保育士の中にも、そういった障害特性を理解し、適切に対応してくれる先生も存在するとは思われるが、そもそも保育士が不足している現状で、適切な対応をする為に日々の激務をこなした上、障害特性についての知見を深める先生は数少ない。教員も同様だ。


僕は、障害児童の分野で5年以上働いて現場を多く見てきたが、キャリアに関係なく、適切な対応ができない先生方はとても多いように感じる。

適切な対応どころか、集団生活に馴染めない障害特性を持った児童に対して
「何度いっても、座って授業が聞けません。周囲の子たちは迷惑しています。」
「宿題をやってきません。忘れ物が多いです。人の話が聞けません。」
「クラスメイトとすぐにトラブルを起こし、暴力を振るいます。」
などと疎ましく思う先生が殆どだ。

そしてそういう児童の保護者から、支援学級や支援学校を検討した方が良いのだろうか、と相談を受ける、なんて事は多々ある。


例えば、その問題とされる児童は、実は注意障害があり1つの事に集中し続けることが難しい児童だったとしたら、授業を聞き続けることは簡単だろうか。
その児童の席が一番後ろの列に配置されており、黒板までに他の児童の姿が見える、窓の外が見える、廊下が見える、など視覚情報が多くある状況であったとしたら、集中して授業を受けられるだろうか。

記憶力が弱い児童は、口頭で宿題や持ち物を伝えられたとしたら、家まで記憶し続けて帰宅後に宿題に取り掛かったり、明日の準備ができるだろうか。
もしも口頭での伝え方で、言葉数が多かったら最初の方の話は忘れてしまわないだろうか。
今何の話をしているか、という前提の把握を児童ができているだろうか。話は理解しているだろうか。語彙はどれくらいあるだろうか。児童が持ち合わせていない語彙で、表現していないだろうか。

自分の気持ちを言語化して表現することが難しく、行動でしか表現できない児童だったら、トラブルを起こさずに他の児童とのコミュニケーションを上手く取れるだろうか。
トラブルになった場合、適切なソーシャルスキルトレーニングを行っているだろうか。適切な言葉の定着化を図っているだろうか。


例をあげたらキリがない。


これらは全て、各児童の現状をしっかり把握し、その児童の特性や性格に合わせて適切な対応をしなければ前進するどころか、児童も保護者も自信を失い、結果大人になるまでに多くの失敗体験を積み上げてしまうことになる。

現場に対して、しっかり勉強して欲しいし、対応して欲しい、と僕は強く思うが、現在の社会でそれをすぐに浸透させるというのは難しい。だから、保護者や児童自身が障害特性を理解し、適切な対応策を見つけ、それを現場に伝える方が現実的だし、より適切な環境になり易い。

その為には、
何故これができないのか?何故この部分で苦手さが出るのか?
何故これがとても良くできるのか?何故この部分は得意なのか?
発達速度は遅れていないだろうか?

鉛筆の握り方はどうか?砂場で遊ぶのが嫌いな理由は?縄跳びが苦手なのはどうしてか?ボールの投げ方が下手なのは何故か?何故片足立ちが苦手なのか?扁平足なのは何故か?

日々よく観察し、現状の分析を適切にできれば、適切な対応策は見えてくるが、それはとても難しいことである。

次回から、この内容をより詳しく深掘りし、「大きく分類した特徴、対応策と分析の仕方」を説明していこうと思う。

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