死なないために生きること
ライオンの捕食の映像を観て、泣いてしまったことがある。
小さい時のわたしはそんなシーンが苦手でしょうがなかった。必死で逃げる草食動物達がかわいそうで、子供を狙う肉食動物が憎くて怖くて、直視することができなかった。
けれど、大人になった時に映像を観て涙が出た理由は、かわいそうだからでも、怖いからでも無かった。
彼らは、死なないために生きているということに心が震えた。
動物が死なないために生きていることなど、当たり前のことだ。
ライオンは獲物を捕まえなければ飢えて死ぬ。
草食動物は捕まれば殺されて食べられて死ぬ。
どちらも純粋に死から逃れるため、生きるために、命をかけて走っている。
そこに正しさなんてない。
わたしは自分がなぜ生きているのか、定期的に分からなくなってしまう。
自殺願望は一切無いが、ふとそんな思いが過ぎっては、生きていることにそこまで意味などないしまあ気楽にやろう、って精神で落ち着く。
ライオンのように走ることはできない。ライオンのように生きたいなんてことも思わない。
ただ、死なないために、生きるために生きる彼らの姿は恐ろしくて美しくて、
正しさなどないことに、
涙が出て止まらなかった。
だけど考えてみると、多くの人は、死なないために今日も生きている。
きっと、どん底にいながらも、死なないために生きているひとだって、気が遠くなるほどいる。
ねえ、わたし、もしそんなあなたに会ったら、
本当にすごい!って、ライオンのように美しいあなたを、
ずっとずっと讃えていたい。
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