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手話カフェと私

こんにちは!
車椅子大学生のみのりです。

今回は、2023年3月から岐阜市柳ケ瀬で月1回開催されている、手話カフェで、聾者でスタッフの河合依子(かわいよりこ)さん、奥田しのぶ(おくだしのぶ)さんに取材をさせていただきました!

私自身、聾の方と関わることがこの手話カフェが初めてでした。それがすっごく楽しくて!でも、私自身あるもやもやっとしてしまった思いがありました。

手話カフェの起源、聾者の悩み、これからの手話カフェ…

車いすユーザーが取材します!


手話カフェがはじまったのはなんで?


みのり)手話カフェを始めるきっかけはなんでしたか?

依子さん)岐阜ろう劇団いぶきの仲間とカフェ巡りをしていて星時にたどり着きました。マスターが耳の聞こえない私たちもとても温かく迎えてくれて、コーヒーもケーキもとてもおいしく、本当に素敵なお店を見つけたと思ったんです。

そしたら、マスターが手話で「ありがとう」って言ってくれて。これはまた来なきゃって思いました(笑)

それからまた星時に行ったら、劇団のパーカッション奏者とマスターがお知り合いで、話が弾みました。

昔、私自身が喫茶店をやってみたいと思ったこともあったけど、現実的に難しくて断念したことがあったんです。

だから、手話でコミュニケーションができるカフェを作れたら、聾者が気軽に来れるし、普通のお客さんも手話に興味を持ってくれたり、覚えたいって思ってくれるし、その空間でみんながコミュニケーションができるんじゃないか、楽しいカフェが作れるんじゃないかって思ったんです。それをマスターに話したら、「いいねいいね」って、賛同してくれました。

みのり)すごいお話ですね。開催するにあたって、不安とかはなかったですか?

依子さん)特になかったです。マスターはメールできちんと連絡してくれていたし、信じてやってみよう!と思いました。

マスター)僕は手話ができないので、まずどうやって交流しようかなというのがあったんですけど、打ち合わせは紙を広げて、鉛筆で紙に書きながらどうするどうするって話し合いました。
普段は注文票は作ってなかったけど、聾者が注文取るってことは、注文票があった方がいいって、色々と工夫しながら、だから不安はなかったです。
あと、自分のお店やってて思うんですよ、最初は必ず失敗するって。想定外は絶対起こるし、最初は絶対失敗するので、だから不安っていうのじゃないかな。

みのり)お二人のやってみよう精神が素敵です。実際開催されてみていかがでしたか?

依子さん)1回目からすごく楽しかったです。多くの人が来てくださって。でも、マスターは私たちを呼ぶのに苦労されたんですよね(笑)

マスター)はい、いつもしゃべって呼ぶことに慣れているから、そこがギャップでしたね。

みのり)私、第1回に参加させてもらったんですが、その一部始終見ていました(笑)一生懸命呼ぼうとしていらっしゃる姿、お客さんが呼んでるよって伝えていましたよね。

聾者と車いすユーザー


みのり)私は車いすユーザーと関わることは多いのですが、実際聴覚障害のある方とお話しするのは手話カフェが初めてだったんですよね。よりこさんはありましたか?

依子さん)車いすの大学生さんなんですが、一緒に演劇をやったことがあります。

その方は手話サークルに入っていたのですが、すごく遠慮がちでした。いぶきの劇団員もその手話サークルに入っていたので、彼に演劇のお誘いをしました。

事故にあった車いすの方を題材にした演劇を作りたかったので、アドバイスしてもらいたいっていう風で、演劇をやってもらったんですけど、演劇を楽しんでくれて、前よりも手話サークルに参加してくれるようにもなりました。

みのり)例えば最初に車いすユーザーと関わったときって、何かイメージしていたことはありましたか?

よりこさん)特になかったと思います。私は特に東京にいることが多くて、東京って本当にいろんな人がいるんですよね。イメージっていうことではないけど、こちらのお店みたいに、階段でしか行けないお店とか、車いすの人通れなさそうとか、エレベーターどこにあるかわからないから探さないといけないよねとか、そういうことを思うことはよくあります。

みのり)車いすユーザーの目線で環境を見てくださっていること、本当にうれしいです。

みのり)この手話カフェに参加して、初めて聾者と関わって、正直最初、私は自分がされていつも違和感に感じることをしてしまったんじゃないかってもやもやしました。それは、「あ、どうしよう」ってあたふたすることなんですよね。河合さんの中で、こういう違和感を感じたことはありますか?

よりこさん)ありますね。健常者の人は聞こえない人のことを必ず引きます。顔を見ていればわかる。関わらないようにしようってそーっと逃げていくんですよね。

昔ホテルを予約して行ったときに、耳が聞こえませんってことをお伝えしたら、そのとたんに宿泊を断られてしまったことがあります。
今はそんなこともうないはずだけど、心の中で正直怖いっていう気持ちは今もあります。

「耳が聞こえません」って言うことが怖い。

だから、分かりましたって受け入れてもらえた時はすごくほっとします。

みのり)そんなことがあったのですね。一度そういうことがあると、やっぱり怖くなってしまいますよね。私もお店さんに行って、「あ、ごめんなさい、無理です」って最初から断られたり、トラウマがあります。

依子さん)そういうことありますよね。それは、日本人の良くないところだと思っています。私は外国で公演することがありますが、ヨーロッパは本当に普通に扱ってくれます。

みのり)それはよく聞きます。でもやっぱり、私も日本人って感じだなぁって今回思いました。

みのり)私の違和感、もう一つあります。それは、障害者が頑張ってるよーっていうのを伝えるマスメディアです。

依子さん)私もそう思います。みんな頑張ってる、色んな所で頑張ってます。でも、障害者っていうところで特別扱いして取り上げる番組は好きではないです。

みのり)そうですよね。でも劇団員である依子さんが、すごく明るく面白くかかわってくださったことで、私は、身構える必要なんてないし、お話しするのがすごく楽しいって思えました。なんだろう…もちろん聾者の方がみんな劇団員さんみたいに積極的な方ばかりじゃないと思うんですけど、最初の入りとして、こういう形で面白い人と関わったりっていうのも大切なんだなっていうのを感じました。

依子さん)そうですね。みんながみんな私みたいな感じじゃない。こういう手話カフェを通じて、健常者も聾者も関わること自体がいいのかなって思います。


目が見えない人と耳が聞こえないよりこさん



依子さん)名古屋駅のホームで待っていた時に、初めて会う目の見えない人にお手伝いを頼まれたことがあります。その介助者の人と一緒だったけれど、たまたま一番前に新幹線にならんでいたので、東京まで行くので、一緒に乗ってくれませんかって言われました。

「実は私耳が聞こえません」って言ったら、その人が「大丈夫です」っていうんですよね。

そこで、私の肩に手をのせてもらって、一緒に乗ったんですけど、席がどこだかわからなくて、喋って伝えてくれていると思うけど、聞こえないし、逆に彼に私は見えないから、どの席って指を指すこともできないんですよね。結局、耳の聞こえる人にバトンタッチをしてもらいました。

だから、目が見えない人とのコミュニケーションはもっと難しいと感じます。

みのり)聞いているだけでもすごく難しそうです。私だったら、正直最初から難しいと感じて、断ってしまうかなと思ったのですが、それでもお手伝いしようとした理由が知りたいです。

依子さん)もちろん不安でした。私で役に立てるかなって。でも、なんとかなるわ!でした(笑)電車の中に入ってから、どうしようってなりましたけど(笑)

みのり)そのなんとかなるわ!が素敵です。

依子さん)当たり前をしただけだよ。

これからの手話カフェ


みのり)手話カフェはどんな場所ですか?

依子さん)手話カフェをやっていて、何か不思議な縁でつながりがいっぱいあるなと思いました。お客さんがはじめましての人と話して、あれ、共通の友人がいたとか。いろんな人がいろんな出会いを、この手話カフェでしてくれたらいいなと思います。

みのり)実は私も、この手話カフェで同じ障害の方と出会うことができて、これからドキュメンタリー作品の制作をしたいとおもっているんです。この場がつなげてくれた出会いに本当に感謝しています。この手話カフェには見えない何かがあるのですね。

みのり)最初は夜でしたが、今は昼の部も開催されていますよね。それはなぜですか?

依子さん)10月から昼も始めたんですが、家庭を持っている聾者は夜出られないという声があって、マスターに相談をして、予約制にしてやればいいんじゃないかなとお話しました。

マスター)もともとは、夜だけでっていうことだったんですけど、やっぱり何人いらっしゃるかわからない状態で、お店として売り上げは出さないといけないので。でも夜だけでは僕たちが忙しすぎるほどお客さんが来てくださって。
この人たちが昼に流れたとしても、お店としての売り上げとして十分にやっていけると思ったので、手話カフェの日という形でやることになりました。

みのり)実際お昼も満席だったんですよね。

実際今日の昼も満席だったとお聞きしました。

みのり)最後に、これからの手話カフェはどうしていきたいですか。

依子さん)聾者が気楽に来れる、ぼっーとできる場所としての手話カフェが理想ですね。マスターのおかげでここまでやることができていることに感謝をして、今こういう形でこれからもやって行けたらいいなっておもっています。

マスター)手話カフェは単純に面白いです。知らないことを知るのは個人的に好きな性格なので、何言ってるか全然わからないんですけど、ちょっとずつ教えてくれるのが面白いです。

みのり)いろんな人がつながって、楽しみながら手話を学んだり、聾者がぼーっとできる場所だったりの自由な空間、すごくいいですね。私も楽しませていただきます♪


喫茶星時さんと手話カフェ

この手話カフェが開催されるカフェ、喫茶星時さんは、階段上にあります!
でも、私は星時さんに行くことができています。
階段上に車いすでもいけるように考えてくださったマスターへのインタビュー記事も乞うご期待!

取材協力
喫茶星時さん

岐阜ろう劇団いぶき

撮影協力
拓植由紀恵

みのり

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