Poetic or Die

少し長めの文章をしたためたいときに更新しています。

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最近の記事

LAUGHTER IN THE DARK 2018

2018年12月、宇多田ヒカルのライブを見た。 2010年の活動休止前のライブは見に行けなかったので、彼女の姿を生で見るのは実に12年ぶりだった。 12年も経っていることに驚くと同時に、12年間彼女の楽曲をずっと聞き続けていたこと、そしてそれらは色褪せるどころか、聞くたびに新たな感情をもたらしてくれる曲ばかりだということにも、改めて驚かされた。 12年もの時間があれば、色んなことが起きる。 私は大学4年間を謳歌したのち、社会人になり、転職を2回経験した。その間には、恋人が

    • パスポート

      初めてパスポートをとったのは、高校の修学旅行だったので、今から15年前。そのパスポートが切れて10年が経ち、10年ぶりに海外旅行へ行くことになったので、再申請をしに行った。 新宿の旅券発行窓口は申請する人でごった返していた。聞けば1時間半くらい待つとのこと。それでも僕は旅程が迫っていたので並ぶことにした。 1時間半の時間を潰すのは意外に簡単で、SNSを見たり、本を読んだり、人間を観察していたりしたらあっという間にすぎた。ここにいる人達はみな、なんらかの理由で日本の外に行こうと

      • 順序

        物事の順序をとても気にしてしまう。 なにかとてもいいアイデアを思いついたとして、でもこれは今じゃないから、とか順番待ちだな、と思うことがよくある。 まだこの基礎の部分ができてないから、この応用っぽいやつはこのあとにとっておこう。とか、初対面でこういう感じだったから、自分の中のこのテイストを相手に出すのは次の次くらいにしておこう、とか。 自分が歌手でもバンドマンでもプロデューサーでもないのに、1stアルバムでこうくるんなら2ndはちょっと指向を変えるだろうから、自分もまずは

        • 帽子

          最近になって、帽子をかぶるようになった。 今までずっと、自分は頭が大きいから、帽子が似合わないと思っていた。 帽子がおしゃれの幅を広げてくれるのはわかっていたから、帽子が似合う人がうらやましかった。 けれどいつからか、「自分は絶対に帽子が似合わないから、帽子という選択肢は私の人生には与えられていないのだ」と思い込んでしまっていた。 会社の先輩に、とても帽子の似合う人がいる。 いつも違う帽子をかぶっていて、おしゃれで似合っていて、いいなあと思っていた。 ある日、「〇〇さん、今

          何者

          仕事をしていて、友達と話していて、恋愛をしていて、何者でもない自分に気付いてしまって、とても辛いなと思った。 当然ながら、わたしは世界の多くの人間と同じように何者でもない。しかしながら、生きていくにあたって、何者でもないから快いシーンと、何者でもないことでしんどくなってしまうシーンとがある。 例えば雑踏の中にいるとき、私は明確に何者でもなく、ものすごく自然に、そして綺麗に雑踏に紛れ込むことができる。私のことを誰も気に留めないということは、ひとつの安心である。それは自由で、自

          考えるということ

          仕事で考えることが増えた。 基本的に考えることは好きだし、ともすれば一般的な人よりも色々なことを考えながら生きてきたはず、などという傲慢な自負もあり、考える仕事は苦にならないだろうと高を括っていた。 しかしながら実際は、どうしてこうも思考できないかね、と自分で自分が信じられなくなるくらいで困り果てている。どうも単調な感想とか思考しか浮かび上がってこない。それこそ「ヤバい」と大差がない。 ノートに向かって必死に思考をまとめようとしても、どうしても浅はかな単語のオンパレードに

          考えるということ