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自家焙煎のこだわり

曇り空
寒風にはまだ
春の気配は感じられない

店内の温度を上げて
今日最初のお客様を待つ

赤いダウンジャケットに
黒いキャップにサングラスのおじいさんが

新聞を片手にご来店
温かい店内

寒さで新聞を握りしめていた手が
少し緩んだ

新聞じいちゃんは、すこしだけ
クリント・イーストウッドに似ている

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新聞じいちゃんはいつもドリップコーヒーを注文する

コーヒーを飲みながら
じいちゃんが、焙煎機を見つめていた 

焙煎大変でしょ?
こだわってもこだわっても、完成しないよね

火加減とか、時間とか?
焼く人によって、こだわりが色々あるんだよね?

あなたの焙煎は
何にこだわってるの?

焙煎機の温度計から目を離さずに答えるというのは
中々むつかしい

それを察してくれたのか
じいちゃんは、豆が焼けるまでの少しの間
横で外を眺めていた

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ようやく、焙煎が終わって
じいちゃんの方を見ると
じいちゃんもちょうどコーヒーを飲み終えたところ

2杯目の珈琲を注文してくれた

焙煎のやり方って
突き詰めても終わりがないですよね

だから、焙煎師の考え方が現れるし
だそれゆえに、とても哲学的になってきますね

焙煎とは何か・・・みたいな(笑)

あまりに突き詰めすぎると、視野も狭くなるし
こだわりから抜け出せなくなる

でも、だからと言って探求心、こだわりがないと
深まらないです

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「あり方」って、何だい?
どんな「あり方」だね?


「美しいあり方」です

美しい「あり方」は
美しい「生き方」です

生き方が美しい人の焙煎は
焼き上がりの豆も美しい

生き方が美しい人の珈琲は
コーヒーを淹れた時
カップから風を感じられるのかもしれない

道具に善悪はなく
あるとすれば、その道具を使う人の心に

それと同じ

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