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「チームたかた」の苦闘から学ぶ危機管理のあり方

復興・陸前高田 「ゼロからのまちづくり」を読んで

本書に寄せてを書かれたジャーナリストの大越さんの
震災から逃れることのできない日本において、復興とは何かを考える超一級の資料とあるが
復興事業の検討推進に尽力された市役所の方、事業者として参加したURの方、市役所の検討を支援した大学関係者の手記である。

いくつか印象的なコメントを拾ってみる

計画全体

  • 市役所自体の被害が甚大で多くの職員が亡くなったことや行政資料の流失があり立ち上がりが遅れた

  • 市役所メンバーが計画作成にできるだけ専念できるようにすること

  • 三陸沿岸道路計画などの広域な復興事業と市レベルの事業の整合性のむづかしさ

  • 広域的視点とミクロな視点の連携

厳しい市役所の状況の中で計画立案していく難しさが伺える

一方こんなコメントも

  • 財源を所管する官庁(復興庁)と事業を所管する官庁(例えば国土交通省)が別にありそれぞれに対して説明、了解を得る必要があった

  • 復興庁の担当官は財務省出身者が多く、震災は厳しい印象があった

最後は各省庁の横断的連携・協力が深化することを期待したい
と大人の表現にはなっているが相当にご苦労されたご様子である。
一概に官庁側の対応を非難することはできず意思決定の構造上の問題のように思える。

住民の合意を得るプロセスの難しさとして
作成された計画は住民の意見を聞くたびに都度修正が求められた。
非災害地域への一方的な行政機能の移転は災害地域の住民にとっては受け入れ難い

土地区画整理ってなんだ

土地区画整理事業の現在の事業制度の限界が露呈したこと。
近い将来想定される南海トラフや首都直下んどの地震被害を想定したより使いやすい物にする検討が必要

との記載がとても印象的だった。今後学んでいきたい。

当時の事業に参画された方々の座談会のご様子がとても印象深く感じた。
現在の事業の評価と合わせてこの経験をどのように活かすのかを考える上でも震災後の様々な施策を再点検する必要があるように思う。



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