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「海外で女子プロサッカー選手になる✨」という将来の夢を描けるように

〜7人制サッカートーナメント PROTAGONISTA CUP 2023〜
PROTAGONISTA CUP2023を開催するにあたり
改めて千葉望愛とは?PROTAGONISTAとは?について、ライターの中﨑史菜さんにインタビューしてもらった。


現在、海外でプレーする日本人女子サッカー選手は40人超。しかし、その活躍はほとんど発信されておらず、交流する機会もほとんどない。

「海外でプレーする」という選択肢をもっと多くの子供たち、サッカー選手に知ってほしいーーそんな願いを込めて2021年に結成されたのが、海外でプレーしている日本人女子サッカー選手が年に1度集結する「PROTAGONISTA(プロタゴニスタ)」というチームだ。

PROTAGONISTAはオフシーズンを利用して、これまで日本でチャリティーマッチなどを開催してきた。今年は7月2日(日)に、「7人制サッカートーナメント PROTAGONISTA CUP」を開催予定。
なんと、優勝チームは「PROTAGONISTA」と対戦できるという。さらに、海外を目指す子供たちと密な交流が図れるように、クロストークも行う。

今回は自身もスペインでサッカー選手として活動しながら、「PROTAGONISTA」の発起人となり、イベント運営も担う千葉望愛選手にインタビューした。



ーー「PROTAGONISTA」が主催する試合は、今年で3回目だそうですね。

数年前にスペインだけで11名の日本人がサッカー選手として活動していることに気づいたんです。1チーム作れるまで選手が集まったので、日本で試合をする機会を持とうと思ったのが「PROTAGONISTA」発足の最初のきっかけでした。

たくさんの日本人女子選手が海外でプレーしているにもかかわらず、チャンピオンズリーグで連覇してもリーグ優勝に貢献しても、日本ではあまり取り上げられない現状がありました。日本にいる人たちに全然知られていないのが悲しくて。でも、それならば直接選手のプレーする姿を見せる場所を作ればいいと思い、オフシーズンを活用してイベントを開くことにしたのです。

さらに、海外女子サッカーを日本で見られる媒体が少なく、「応援したいのにプレーを見られない」というファンや友人、家族に自分たちがプレーする姿を見せたいという気持ちもありました。スペイン1部リーグは全試合DAZNで配信されるようになりましたが、それ以外は配信されない試合が多く、されたとしてもYouTubeで配信するところから地元のテレビで配信するところまで毎回バラバラなんですよ。日本人選手の出場情報や配信情報が集約されているのは私のnoteくらいなので(笑)、なかなかアクセスしづらいのが現状です。

ーー第一回目、第二回目の反響はいかがでしたか?

第一回は宮城県石巻市で、二回目は女川市の女川スタジアムで早稲田大学ア式蹴球部女子とチャリティーマッチを行いました。343人もの方が観に来てくださり、大きなチャリティーマッチが開催できたと思っています。

三回目となる今回は、試合を観ていただくだけでなく、子どもたちとプレーする機会を設けることにしました。観て、知ってもらうだけでなく、肌で感じる機会を作ることで、より一層「世界で闘う選択肢」を身近に感じてもらいたいと思ったからです。小学5年生から中学3年生までの選手で構成された4チームで7人制サッカーのトーナメント戦を行い、優勝チームはPROTAGONISTAと対戦できます。さらにトークショーや質問会を行い、選手たちと交流できる場も設けます。

ーー「PROTAGONISTA」とはどういう意味ですか。

PROTAGONISTAはスペイン語で主人公。
私がスペインに来て一番感銘を受けたのが、自分のことを大切にし、自分を貫いているスペイン人のスタンスだったんです。このチームに関わる人たちが、「人生の主役はわたしでいたい。わたしでいいんだ!」と思えたらいいなと思いPROTAGONISTAと名付けました。

ーーなるほど。千葉さん自身が、スペインという異国の地で大きな感銘を受けられたわけですね。千葉さんは小学生の頃にサッカーを始められたそうですが、どのようにしてスペインでサッカーするに至ったのか教えていただけますか。

仲の良かった友人がサッカーを始めたのがきっかけで、小学生の頃は少年団でサッカーをしていました。当時は「女子サッカー」という存在すら知りませんでしたね。中学校からは浦和レッズレディースユース、大学では早稲田大学でプレーし、卒業後もサッカーを続ける決意をしました。

当時も海外でプレーしようと思ったのですが、まだ情報が少なく、費用面など具体的な情報を得られませんでした。そうして大学卒業後は古巣である浦和レッズレディースへ入団。しかし、自分のレベルでは通用しないことを痛感させられ、引退を考えるようになったのです。

「辞めようかな」「でも十数年続けてきたサッカーを、こんなモヤモヤした気持ちで辞めたくない」といろんな気持ちが交錯していたとき、スペインで仕事をしている先輩から連絡をもらいました。「スペインチームのトライアウトを受けてみない?」というお誘いでした。

ーーベストなタイミングでのお誘いだったのですね。スペイン行きは即決することができたのでしょうか。

「スペイン語を話せなかったのに不安じゃなかったの?」とよく言われるのですが、そこまで不安はありませんでした。スペインでサッカーがしたいという思いが強すぎて、言語の壁に気づいていなかったのかもしれません(笑)
3チームのトライアルを受けて、そのうち1チームからオファーをいただきました。最初の3ヶ月は無給でしたが、住む場所は提供してもらえたので渡航費と食費だけで済み、次のシーズンからは少しづつ給料もいただけるようになりました。

ーースペインで7シーズン目を迎えられたとのことですが、千葉選手がスペインでの生活、サッカーを通じて感じていることを率直にお聞かせいただけますか?

国の文化や教育がサッカーにも影響していることを痛感しています。日本では常に100%出すことや、なんでもできるようになることが評価されがち。サッカーで言えば、90分フルで100%、120%の力を出し、どのポジションもこなせる人が多いですよね。右足も左足も同じように蹴れるのが当たり前。

でも、スペインではシエスタの文化があって、ちょっと働いたら休み、またちょっと働いたら休むんですよ。自分の得意分野以外には関わらない人も多く、試合中100%をガッと出したと思ったら急に50%くらいに落ちたりするし、右足を極めていて左足はほとんど使わないという人も多い。同じサッカーなのに違うスポーツのように感じました。「あ、これもサッカーなんだ」と初めは驚きましたね。それに、チームにはスペイン以外の国からきた選手もたくさんいます。それぞれが、それぞれのカラーを持ってサッカーをしています。

自分の気持ちがスペイン語で伝えられるようになるには4年くらいかかりました。相手の言っていることはすぐにわかるようになったんですが、もともと日本語でも「自分の意見をはっきり伝える」という訓練を受けてこなかったので、言いたいことを言えるようになるまでには時間がかかってしまって。相手に言われるだけ言われて何も言えずに悔しさを感じたことは何百回もありました。

ーースペインで生活して良かったと思うことや、生まれた場所とは違う土地で暮らしていくことの良さを教えていただけますか。

生きる力がつく」ということでしょうか。日本で日本人として暮らすのと、海外で「外国人」として過ごすのはやっぱり根本的に違うんですよね。これは経験した人にしかわからないと思います。もちろん、全員が全員海外で生活すべきだとは思いません。でも、少しでも「行ってみたい」と興味を持っている人がいるのであれば、ぜひその一歩を踏み出してほしい。今回の「PROTAGONISTA CUP」が、海外でプレーしたいと思っている若き選手たちの後押しになれたら嬉しいです。

また、女子サッカーをする環境という意味でも、スペインはおすすめです。スペインにはAFEという選手協会のような組織があり、そこに登録しているとスパイクを支給してくれたり、クラブとの問題があったときに弁護士を紹介してくれたり、勉強するための資金補助をしてくれたりと手厚いサポートがあるんです。私自身も、残りのサッカー選手期間はこの制度を使ってもう少しスペイン語を勉強し、コーチのライセンスを取ろうと思っています。

スペイン人は勉強しながらサッカーをして、医者や警察官になってサッカーを引退した選手もいました。身体のことも考えると、サッカーをしていない人生の方が長い場合が多いですよね。だから、サッカーはあくまで人生の一部であり、セカンドキャリアもしっかり考えるのが一般的なんです。ここは本当に見習わなければいけない。

さらに、妊娠出産のサポートも充実していると聞いています。スペインは同性婚が認められており誰とでも結婚することができますし、現役の選手でも、出産して復帰した選手がどんどん増えています。

ーー千葉選手ご自身の、これからの展望を教えていただけますか。

正直、「サッカーはいつ辞めてもいい」と思っているんです。日本では「やりきれなかったモヤモヤ」がありましたが、それがやり切ったという感覚に変わりました。

スペイン語やコーチのライセンスを取得し、節目であるスペインでの10シーズンをやり切ったら、サッカーを引退しようと思っています。でも、引退後もスペインにはずっと住み続けたい。それは、スペイン人のマイペースさが私にはとても合っていたからです。サッカー関係の仕事の幅は日本より広いですし、日本とスペインの架け橋となれるような仕事に就きたいな、と。

「PROTAGONISTA」も、いずれは海外でプレーしたいと思っている日本人選手のサポートや、体験プログラムの提供、スペインまたは他国、日本での大会参加やイベント推進など、活動の幅を広げていきたいと思っています。

ーー最後に、今年7月2日(日)に開催される「7人制サッカートーナメント PROTAGONISTA CUP」について教えてください。

今年7月2日(日)の午後にJ-SOCIETY FOOTBALL PARK多摩で開催します。中学生のチーム3チームと、個人参加で集まった1チームの計4チームで7人制のトーナメント戦を行い、優勝チームはPROTAGONISTAチームと対戦することができます。

女子サッカーを応援したいという企業様からのご寄付も受け付けています。女子サッカーを支援するひとつの選択肢としてご検討いただけたら嬉しいです。
個人で参加したい選手、参加チームも募っております。

******************
<当日スケジュール>
【日時】2023年7月2日(日)
11:30〜受付開始
12:30~第1試合
13:00~第2試合
13:30~3位決定戦
14:00~決勝戦
14:30~勝利チームVSPROTAGONISTA
15:00~エキシビジョンマッチ
15:30~クロストーク、Q&Aコーナー
16:15~記念撮影

【個人参加】小学5年生以上、中学3年生未満
【チーム参加】中学生
【会場】J-SOCIETY FOOTBALL PARK多摩

▶︎詳細、お申込みはこちら
https://protagonista-japan.square.site/ 


参加選手一覧


ブース出展

株式会社日本トリム

株式会社資生堂(ライフクオリティービューティー)
株式会社セイカダイ×鈴廣かまぼこ


OPT(株式会社Rebolt)


後援

日本ソサイチ連盟

主催者情報

PROTAGONISA

Athlifes

追記
女子サッカーがプロ化した今、将来の夢にプロサッカー選手という選択肢が増えました。プロサッカー選手を目指せなかった私たちがこれからの子供たちに願うこと、それは環境を理由にあきらめてほしくないということ。
子供たちはこれから多くの岐路に立つと思います。そんな時、色んな人の言葉に背中を押されたり、逆にしり込みしてしまったりするかもしれません。しかし最終決断をするのは自分自身です。楽しくするも決断を後悔するも自分次第。それを子どもたちに伝えていけるのは、海外という道を自分で選び、そこで試行錯誤を繰り返す、私たちPROTAGONISA(プロタゴニスタ)の選手だと思います。

千葉望愛

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