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「やりたいことがわからない」という就活生に対して思うこと

就活の話になると決まって聞くのが、「やりたいことがわからない」というお悩み。

多くの人がこれまで別段、自分のキャリアについて考える機会もなかったのだから、急に「さぁ、やりたいことを考えましょう!」と言われても、わからないのも当然である。

かくいう僕も、少し前までは自分が何をしたいのかわからなかったし、今でも完璧に自分がしたいことを理解しているとは言い難い。ただ少なくとも、自分が選んだ道に対して躊躇や迷いは今のところないし、本質的でシンプルな選択をした、という自負はある。

決して偉そうなことを言える立場ではないけれど、周囲の就活を見ていて「なんだか根本的ではないなぁ」とはよく思う。「やりたいこと」を「憧れ」と混同していたり、「なりたい自分」を「世間体」と同一化していたり、少しズレている印象だ。

今回は僕なりの就活の考え方、そして仕事の選び方について書いてみようと思う。

そもそも「やりたいこと」なんて無くてもいい

そもそも僕は「やりたいこと」なんて必ずしも無くてもいいと思っている。というのも、この世には大きく分けて「夢を追い求めたい人」と「ただ幸せでありたい人」の2種類の人がいるからだ。

詳しくは「やりたいことなんかないけど、しあわせでいたい人の話 」を読んでいただきたい。要するに、

●自分のやりたいことが決まっていて、それに従事することで幸せを感じられる人
●やりたいことは特にはないけれど、なんとなく毎日が幸せであればいいなと思う人

の2タイプがいる、ということである。

この視点が抜け落ちていると、「やりたいことがない(わからない)自分はヤバい」と切迫感や危機感を抱いてしまうし、それゆえ就活の際にも自信が持てなくなってしまう(「自信を持ち続ける」というのは就活においては大事だったりする)。

逆にこの視点を持っていれば、まず自分がどちらのタイプなのかを理解することから始められる。その結果、自分がどんなとき幸せを感じられるのか、どんなときに楽しいと思えるのか、どんなときに嫌だなと思うのかなど、考える方向性が変わってきて、本質的なアプローチを取りやすくなる。

だから、やりたいことが明確でない人は、まず自分がどちらのタイプなのかを考えるところから始めてみて、どんな自分でありたいのか、どうあれば幸せかを突き詰めていくと良いと思う。

判断基準を固めるために経験値を増やす

「やりたいことは必ずしも無くてもいい」とはいうものの、単純に経験値が不足していて、判断基準が固まっていない就活生は結構多い。そのため、とにかくいろんなことに挑戦してみて、経験値を増やしておくことはすごく重要だ。

たとえば僕の場合、アパレル店で接客のバイトしたり、子どもをキャンプに連れていくボランティアをしたり、議員事務所で働いてみたり、ヒッチハイクでいろんなところに行ったり、ベンチャー企業の短期インターンに参加してみたり、メディア企業で長期インターンをしてみたり、訪問営業の仕事をしてみたりした。

その結果、接客や営業が向いていないことやベンチャー企業特有のイケイケ感やお金稼ぎに興味がないこと、政治活動を通じて世の中に影響を与えられる可能性を感じられなかったこと、逆にメディアを通じて世の中に影響を与えられる可能性があること、知らないところに行ったり、誰かと深い話をしたりするのが好きなこと、などがわかった。

もちろんここまで意識の高い経験をする必要はないけど、違う種類のバイトをしてみるとか、行ったことのないところに旅行してみるとか、知らない人に会ってみるとか、参加してみたかったイベントに行ってみるとか、とにかくいろんなことをやってみるといい。そしてその都度、自分が何を感じているかを考える癖を身に付けておくと、かなり役に立つ。

「もう就活が始まってて、今から経験値を増やすなんて無理!」という方は、自分がこれまでしてきたことに対して、どういうふうに感じていたかを分析するだけでも、十分効果はあると思う。というのも、就活において一番大事なのは自己分析だし、経験値は多いのに自己分析が足りていない人も一定数いるからだ(※)。

業界の将来性を考える

あとはいろんな業界とか仕事を見て、その業界にどの程度の将来性があるか考えてみることをおすすめしたい。

例えば金融業界を例に挙げると、今は銀行よりも、Fintechに力を入れている会社の方が伸びしろは大きい。時代の流れはキャッシュレスへと進んでいるし、仮想通貨や評価経済社会の隆盛を考慮に入れても、今後お金の価値や動き方はどんどん変化していく。だから正直、「給料が良いから」「安定しているから」といった理由だけで銀行に就職しようとするのは、あんまりおすすめできないなと。

別にベンチャー企業を勧めるわけではないけれど、時代の流れを読み取り、しっかりと対応していこうという姿勢が見えない会社は割りとこの先危ないので、安易に給料や世間体だけで会社は選ばない方が身のためだ。

自分の幸福×自分の適性×業界の将来性

型に当てはめるのはどうかと思うけど、結論をいうと、「自分の幸福×自分の適性×業界の将来性」で仕事は大体決まると思う。

僕の場合は、子どもの頃から何かを書いたり、人に何かを伝えることが好きだったし、書く・伝える・表現するということが得意だし、Webメディア(編集)業界には将来性があると思っている。だから、業界の中でも名実ともにある企業を選んだ。

もちろん、これは給料や休暇制度を度外視しているわけではない。これが自分にとっては最も継続的に資産を得られて、最も自分のペースを掴みやすい仕事だと思って選んだ。つまるところ、地に足を付けて考えた結果が、「やりたいことを仕事にする」という選択だったのだ。

「やりたいことを仕事にする」というと、なんだか空想のようなものに思えるかもしれないけれど、1つ1つ疑問や問題を潰していけば、案外手の届くところにあったりする。「自分には無理だ」とか、「親から反対される」とか思わず、色んな選択肢の中から自分が納得できる仕事、あるいは、生き方を選んでもらえたらなと思う。たった一度きりの人生なのだから。


※「自己分析って何をやるの?」とよく聞かれるので、自己分析についても書いてみる。

まずは、自分は何がしたいのか、何が好きなのか、何が嫌い(嫌)なのか、何ができる(得意な)のか、どんなときにやりがいや幸せを感じるのか(頑張れるのか)、どんな人になりたいのか(誰を尊敬しているのか)といったことを、最初は漠然としてても良いので、とにかく書く。

この「書く」という作業が一番大事で、書かない限りには自分が何を考えているのかはハッキリしない。この際、「これでもか!」と掘り下げていき、曖昧な表現や自分が理解していない言葉を完全に消していく。

よくある勘違いだけど、この段階で「挫折を乗り越えた経験」とか「学生生活でやり遂げたこと」とか、面接で聞かれそうなことは考える必要はない。そもそも自己分析は面接で話すためのものではなく、どんな仕事に就きたいのか、どんな自分でありたいのか、そもそも自分ってどんな人なのかを考えるためのものだ。面接で聞かれることのために自己分析をしていると、本来の目的から逸れてしまう恐れがある。

次に、書いて考えたことを他人(とりわけ、人を観察する能力が高い人)に話してみる。もしくは、適当なところで面接を受けてみてもいい。自分で話していて詰まるところがあれば、それは考えが足りていない証拠だし、案外自分では筋が通っていると思っていても、他人からすれば違和感を与えるものは多かったりする。

そして次に、また書く。考えが足りていないと思うところやフィードバックをもとにまた掘り下げていく。で、また誰かに話す。それを繰り返す。

ここまで来ると、ある程度志望業界や職種は決まっているはずなので、面接で聞かれそうなことを考えればいい。僕の場合は編集系だったので、どんなライター・編集者になりたいか、編集業界の将来はどうなっていくかといったことを考えたところ、いくつか実際に面接で聞かれた。

多分業界ごとで聞かれることはある程度決まっているので、対策はそんなに難しくないと思う。経験上、良いことを言おうとしない方が上手くいく(取り繕うとボロがでやすい)ので、素直に思ったことを話すと良いかなと。

個人的には他人に自分の印象を聞いてみるとか、自分史を作るとかは表層的なことや形式的なことにとらわれて、あまり役に立たなかった。というか、どんな自分になりたいか、どんなときに頑張れていたのかとかを考えている内に、自然と自分史に繋がってくるし、漠然と印象を聞くよりも、自分の意見に対してどう思うかを聞いた方が効果的だった。

ちなみに第一志望の企業から内定をもらった後輩は、最初は自己分析の仕方がわからなかったので、とにかくたくさん面接を受けたそう。面接は面接官の視点や自己分析のヒントが得られる場所なので、何を掘り下げたらいいのかわからない人にはおすすめだそうだ。確かに僕も短期インターンの選考会に行ったことがきっかけで「自分は何がしたいのだろう?」と真剣に考えるようになったし、面接を何度か受けているうちに自分がどんな人間なのかをスラスラ答えられるようになった。

あとは絶対内定シリーズの面接編自己分析編を買って、対策するのも効果的だそうだ。僕はこの手の本を買ったことがないけど、就活経験や知識が少ない人には、ポイントを押さえるという意味では良いかもしれない。

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