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英語で中学受験、非帰国生でもハイレベルな英語取り出し授業を受けたい(国際生入試・帰国生入試)

帰国生の受入れに積極的な私立中学には、「取り出し授業」という形でハイレベルで充実した英語クラス(Returnee English Program)が用意されている場合が多く、高い英語力を持つ小学生にとても魅力的に映ります。

ひとくちに「取り出し授業」といっても、英語「経験者」向けの高度なEFL授業(外国語として学ぶ英語)から、英語圏現地校の「国語」授業さながら文学作品などを学ぶ授業(ネイティブレベルの英語)まで、その内容は多岐にわたります。

この記事では、私立中学でハイレベルな英語取り出し授業を受けたいと考えた、英語育児育ち、海外経験なし、英検1級持ち「一般生」女子の親が、首都圏で英語メインの中学受験を経験するなかで、学んだことや悩んだことを振り返ります。

なお、ここでは、昨今増えている「英語選択入試」(目安は英検3級~準2級)には触れません。
英語が得意な帰国生を想定した「帰国生入試」とそれに準じる入試目安は英検準1級程度)に焦点をあてます。

英語に強い「一般生」のほか、海外在住や国内インターの経験はあるけれども、滞在年数、帰国後の年数、その他諸々の条件によって、各校が定める「帰国生」の定義に該当しない場合も、我が家と近い状況になるのではないかと思います。

ハイレベルな英語入試を検討する「非帰国生("non-returnees")」の方々の参考になれば嬉しいです。


英語取り出し授業、2つの入口

私立中学で「英語取り出し授業」を受けるには、次の方法が考えられます。

  1.  英語入試(入試科目に英語が含まれる入試枠)で受験する

  2.  一般入試(算国理社の4教科 / 算国の2教科)で受験し、
    合格後/入学後に、英語取り出し授業に参加するための英語試験を受ける

いずれかの方法で、英語取り出し授業に参加できるだけの力があることを、学校側に示さなければなりません。

上記1については、名称は「帰国生入試」「国際生入試」「グローバル入試」「英語1教科入試」などさまざまです。
入試科目は、英算国の3教科または英語1教科のケースが多いです。

入試科目としての「英語」では、英語取り出し授業のレベルが高ければ高いほど、読解やリスニングに加えて「エッセイ(英語作文)」や「インタビュー(英語面接)」が重視される傾向にあります。

英語あり3教科にするか、英語なし4教科にするか

上記1の「英語あり」入試か、2の「英語なし」入試か、どちらを選ぶかによって、受験勉強の内容はまるで変わってきます。

英語育児おうち英語、または、帰国後の英語保持の取り組み)を進めてきた家庭としては、小4から小5のあたりで、家庭での英語の取り組みを控えて一般入試の学習に時間を充てるかどうかの判断に迫られます。
英語の時間をこれまでのように確保しながら進められるほど、4教科の受験勉強は甘くないからです。
10歳から12歳といえば、英語の力が目に見えてますます伸びていく時期でもあるため、これは難しい選択です。
このとき、小3~4までにリーディング力を引き上げて、英語での読書が楽しめるようになっていれば、小4~5以降は、4教科の受験勉強に集中しながら、息抜きとして英語で動画視聴・読書を楽しむということができるようになるので、これを目指して、計画的に対応する家庭もあるようです。

一方、英語をメインに据えて、英算国の3教科、あるいは英語1教科の入試を目指す場合は、「英語なし」4教科に比べると、地域にもよりますが、学校の選択肢が狭まる可能性が高いです。
志望する学校が英語入試を実施していて、子どもの英語力も受験までには届きそうだ、という場合には、あまり迷わないで済みます。しかし、進学したい学校のイメージがまだはっきりしていなかったり、子どもの英語レベルが客観的に把握できていない場合には、比較的リスクのある選択ともいえます。

我が家が、英語なしの4教科にするか英語ありの3教科にするか決めかねていたとき、ある合同学校説明会で、上記2の入学後の英語クラス分け試験について質問してみました。

ある難関校では、制度としてはあるものの、一般英語クラスから帰国英語クラスに移動した生徒はまだいない、というお話がありました。高い英語力を持った優秀な帰国生が集まって展開される英語授業。英語経験はあれども、直近の何年間かを4教科の勉強に振り向けてきた子どもが、そう簡単にキャッチアップできる水準ではないことを思い知らされました。

反対に、別の人気校では、入学後の英語クラス分け試験に毎年数十名の受験希望者がいる、というお話もありました。英語を得意としながら、あえて一般入試で受験することを選択する家庭も多いのだなという印象を持ちました。4教科の勉強をしておけば、受験校の選択肢は確実に広がるメリットはたしかにあります。

帰国生入試と2月入試

都内の私立中の場合、東京の私立中学高等学校協会の申し合わせとやらにより、入試解禁日2月1日とされています。これに対し、帰国生入試は「例外扱い」とのことです。このため帰国生入試は、早いところでは10~11月ごろから1月にかけて、各校バラバラの日程で実施されます。

「帰国生」の標準的な定義は「海外在住経験1年以上、帰国後3年以内」です。「一般生」は、当然ながらこれに当たらないため、原則として「帰国生入試」の受験資格はありません。また、海外経験があっても、滞在年数や帰国後の年数によって、この定義にあてはまらない場合があります。

帰国生入試を実施する学校のなかには、入試解禁日以降、東京なら2月に入ってから、帰国生入試と同内容の入試枠(「帰国生入試」と区別して「2月入試」と言われたりします)を設けているところがあります。したがって、「非帰国生」は基本的に、こちらの2月の入試枠を目指すことになります。

2月入試の特徴として、募集枠倍率が挙げられると思います。

それぞれの学校は、早期に実施される「帰国生入試」で、既に英語の得意な帰国生を確保しているので、2月入試の募集人数は「若干名」など少なめです。
また、2月入試は「非帰国生」のほか、帰国のタイミングによって帰国生入試が受けられなかったり、受けたけれども結果が残念で再チャレンジしたい帰国生なども多く受験するため、倍率が高くなりがちです。

英語入試の悩みどころ

英語入試の悩みどころは他にもあります。

  • 情報収集が困難、毎年のように要項の変更がある、過去問が入手しづらい

  • 一般入試向けの模試の結果はあまり参考にならない

  • 英検の級もあまり参考にならない
    (この点については、別記事にしたいと考えています)

  • 学校によって英語入試の内容が大きく異なり、個別の対策が必要

  • 算数と国語は、同じ学校の一般入試よりも易しめである学校が多い(もちろん例外あり)

    • これらの科目を得意とする子どもは、強みを生かせない

    • 一般入試向けの塾で対策する場合は、演習量の目安がなく判断が難しい、やり過ぎ注意

最終的にMinnie家では、必要な情報を得るために、帰国生向け英語スクールに通い、算国についても帰国生向け受験塾の授業を受ける、という選択に至りました。

(通っていた帰国生向け英語スクールについては、こちらの記事もご覧ください)


私立中学の英語入試の例

以下に、ハイレベルな英語取り出し授業のあり、一般生でも受験可能(学校によって諸々の条件あり)な、首都圏の人気校の例を挙げます。

ご注意

  • 2023年1月時点の情報です

  • 専門家ではない、一個人がまとめた情報です

  • 首都圏の共学校・女子校のみです
    (男子校は調べていないので省略しています)

  • 英語ありの入試枠のみです
    (日本語作文型、英語なし帰国生入試は除きます)

  • 一般生でも「受験可能」あるいは「受験資格を得られる可能性あり」の学校になります


◆海外在住経験を問わない帰国生入試の例

(日程順です)

  •  洗足学園中学校、帰国生A方式(1月9日)(神奈川県)
     (英語(エッセイなし)+面接(英))

  •  渋谷教育学園 幕張中学校、帰国生入試(1月22日)(千葉県)
     (英語(エッセイあり)+面接(日・英))

◆2月入試を実施する学校の例

(日程順です)

  • 開智日本橋学園中学校、一般入試GLC選考(2月1日午前)
    (国語+算数+英語)

  • 三田国際学園中学校、2月入試(2月1日午後、2日午後) 
    (IC:英語+面接(日・英)、ISC:英語+国語+算数+面接(日・英))

  • かえつ有明中学校、2月Honors/Advanced入試(2月2日午前)(定員10名)
    (英語作文+英語筆記+日本語作文+英語面接)(Honorsは”英検準1級目安”、Advancedは”英検2級目安”)

  • 慶應義塾SFC、一般入試(英語選択)(2月2日午前)(神奈川県)
    (英語(”英検準1級程度”)+国語+算数、2次試験あり)

  • 広尾学園中学校、一般入試インターAG回(2月2日午後) (募集人数10名)
    (英語(TOEFL iBT優遇あり)+Math+国語+面接(日・英))

  • 東京都市大学等々力中学校、英語1教科入試(2月4日午前)
    (英語(”2級~準1級程度”))

  • 広尾学園小石川中学校、インターAG回(2月4日午後)
    (英語(TOEFL優遇あり)+Math+国語+面接(日・英))

◆その他、受験資格について要相談の学校の例

(日程順です)

  • 市川学園 市川中学校、帰国生入試(12月4日)(千葉県)
    (数年前に2月入試を廃止)
    英語(”英検準 1 級程度”)+国語+算数

  • 渋谷教育学園渋谷中学校、帰国生入試(1月27日)
    英語+国語+算数+面接(英のみ、グループ)


まとめ

今回は、22年末から23年2月にかけて、Minnie家が経験した中学受験について、「一般生でもハイレベルな英語取り出し授業を受けたい」というテーマでまとめてみました。

初めての中学受験でしたが、英語で受験することを選択したことで、大手塾などに通う周囲の友人たちとは、だいぶ異なる方法で準備を進めることになりました。

英語メインでの受験では、究極のところ、ペーパーテストではあまり差がつかないとされていて、エッセイやインタビューの場で、与えられたテーマに対して、いかに自分自身のことを語れるか、自分の経験などと結び付けて、いろいろな角度から検討することができるか、ということが求められました。

そのためには、さまざまなことに関心を持ち、小説を読んだり、映画を観たり、旅行をしたり、習い事に打ち込んだり、YouTubeなどのオンラインコンテンツも大いに活用して、体験や教養を広げる取り組みが大切でした。

このような取り組みは、まさに、これまでの英語育児の延長線上にあり、受験という圧力のなかではあったものの、親子ともども、充実した受験生生活を送ることができたと感じています。


お読みくださりありがとうございました。


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