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結婚相談所 北畠美加|私が婚活を終わらせる、そして優しく送り出したい!【職業図鑑No.011 】

「結婚相談所」というと、結婚できない人が訪れる最後の砦と認識している人も少なくありません。現在ではそんな認識も薄くなり、婚活をする人たちを支える大事な場所になっています。

今回は東京・新宿で結婚相談所を運営し、自身も仲人なこうどとして活躍する北畠 美加きたばたけ みかさんをインタビュー! 結婚相談所に行きつくまでさまざまな経験をされてきた北畠さんのご経験や、結婚相談所でのエピソードを語っていただきました。

ボランティアで出会った男女を成婚に

―― 北畠さんは仲人さんとのことですが、正直仲人さんって何やるんですか?

独身の男女で、結婚願望のある方々をおつなぎするための場所のセッティングやご成婚までのお手伝いをしています。

入籍前までのサポートなので厳密にはご成婚までではないですが、お相手が決まって成婚退会されるまでお手伝いするのが私たちの仕事です。

―― なるほど。では結婚相談所を始めたきっかけがあったんですか?

もともとNPO(非営利団体)でボランティア活動をしていました。東京大学さんなどと共同で環境系の調査や植林をしていまして、子どもが参加するイベントのひとつだったんです。

そこで「ただボランティアだけで終わるのではなく、子どもを作るには家族になる人がいるな」と思って男女のご縁を結ぶようになりました。一緒に作業する間に恋愛感情を持つ人も少なくなかったですし。

ボランティアイベントの様子(北畠さん提供)

当時のボランティアは30~50人くらいで、成婚するまでは見ていなかったんですけど、男女のご縁は結ばせていただいていました。

ただ、環境系のNPOでは限界を感じたので、IBJ(日本結婚相談所連盟)に加盟。毎年多くのご成婚に携わることができています。

―― では環境ボランティアはやめてしまったと…?

いえ、今でも同じNPOとして活動していて、IBJに加盟した結婚相談所を始めました! 辞めちゃってないですよ!

徹底的に面倒を見る…ここで婚活を終わらせるために!

―― 本格的に婚活に携わられてから、印象に残っている会員さんはいますか?

いますいます!(笑) 皆さん何かしら思い出に残っているんですけど、特に印象に残っている方がいまして…。

―― 差し支えない範囲で教えていただけますか?

その方は男性で、50代後半。10年以上婚活をされていたんですが、強いこだわりのせいで婚活が終わらなかったんです。それが「子どもが欲しい」でした。

子どもがどうしても欲しいとおっしゃったのと、30代の女性という条件も付いてきました。だから最初からあきらめモードで入会届の提出と一緒に「あなたに私の結婚は無理だろうから退会届もくれ」と言われたんです。

―― 最初から期待されていなかったんですね…。

私も最初の反応を見て「手がかかる方なんだな」とは思っていました。入会後も「使用するアプリの使い方がわからない」と言われ、結局この方だけメール対応。通常の会員さんとは違う方法でサポートすることになったんです。

―― 普通なら結婚相談所のほうがあきらめてしまうと思うのですが…。

でも私はあきらめませんでした。生来の負けず嫌いもありますし、何よりも「私のところで婚活を終わりにしたい!」と思ったからです。

どんな方の婚活でも全力サポート。それが北畠流。(北畠さん提供)

婚活は本当につらいものです。すぐにご成婚になる方もいれば、長い時間が必要な方もいます。そして決まらないあいだの気持ちは本当につらい。

男性は10年間も婚活が上手くいかず、つらかったと思います。だからこそ私のところで終わりにしたいと思い、とことんまで付き合うことにしました。

―― …で、その男性は…?(ドキドキ)

ご成婚されました! ただ、当初のご希望どおりとはいかなかったんですけどね。

ご成婚相手は50歳に近い女性で、ご年齢的にお子さんは難しいとわかっていました。しかし、女性は助産師さんで統計などをもとに男性にリスクのお話もしてご納得いただいたんです。

もっと言うと、お子さんは最後まであきらめていらっしゃいませんでした。ですので、里親制度を使ったり、お子さんの代わりにペットをお迎えしたりするのもひとつの方法としてご提案。それが男性の心に響いたみたいです。

その後、初回のデートで真剣交際になりまして、15日後にプロポーズ。入会から3ヶ月で成婚退会されました。

男性会員がプロポーズで用意したブリザードフラワー。(北畠さん提供)

男性は退会届を出される際に「まさか成婚して退会するとは思ってなかった」と驚いたご様子でしたね。

―― 10年の婚活がたった3ヶ月で終わった…すごいですね。

その後も、このご夫婦のご紹介で入会してくださる方が増えました。そこまで望んではいなかったんですけど、本当にしっかり覚えているエピソードですね。

新宿の大ばぁばになりたい

もうひとつお話してもいいですか?

―― ぜひお願いします!

もっと長くかかった方のお話で、1年半婚活をされている女性がいました。報道関係の方でお仕事もつらく、ときには本気で自殺を考えてしまわれるような方でした。

なにかが上手くいかないと「私と合う人なんていないんですよ」と気を落とされていまして、婚活だけではなく人生相談も受けていたんです。報道関係も大変な業界ですからね。

どれだけ時間がかかっても成婚に導く。北畠さんの情熱を感じます。(北畠さん提供)

その女性が、なんとうちの紹介でお付き合いされた男性の家の目の前にお引越しをされまして…(笑) 男性の家の住所も知らなかったのにそんな偶然に出会ったものですから、結局「ここまで来たらあの人と結ばれる運命なんだと思いました」と言いながら成婚退会されました。

―― めちゃめちゃ運命感じるやつですね(笑)

でも、そのとき女性に向き合った私の心境は「お母さん」だってはっきりわかりました。だから女性が成婚されたときは抱きしめて涙を流して喜んだんです。

「この人の人生を変えた!」「この人の幸せが自分の幸せに感じる!」って。

それ以外にも「一人では結婚できなかった」「乗り越えられたのは北畠さんのおかげ」と言っていただけるのがとても嬉しいです。感謝の言葉が一番もらって幸せですね。

―― そんな北畠さんの今後の展望を教えてください。

もともとは新橋でやっていたんですが、IBJの本部が近いというのもあって今の場所に移しました。

で、私は70歳・80歳・90歳と年を重ねても結婚相談所のカウンターに立ち続けたいなと思っています。夢は「新宿の大ばぁば」です!

―― 「母」とか「お母さん」ではなく、ですか?

「大ばぁば」です(笑)

私が面倒を見ている子どもたちや会員さんたち、施設に入っている子どもを含めてみんなが気兼ねなく来てくれる場所にしたいんです。家族のような安心感を、みんなに与えたい。

彼らが新宿の大ばぁばのもとに集う。そんな日が待ち遠しいですね(北畠さん提供)

そしてそこから「結婚や子育てに向かって行っておいで」と送り出したいんです。だから「大ばぁば」になりたいと思っています。

―― 北畠さんにとって「仕事」とは何ですか?

私にとって仕事は、自分のやりたいことを叶えたり、夢を実現したりすることだと思います。

今までたくさんの仕事をやってきましたが、すべてにストーリーがありました。そしてやりがいもありました。ビジネスなので売り上げが上がる・上がらないも大事ですが、ストーリーはもっと大事でしょう。

その先は、勝手につながっていきます。仕事が自然と広がっていくイメージ。嫌な仕事は続きませんけど、好きな仕事は自然と広がっていきます。

もしみんなが好きな仕事をすれば、いい仕事が世の中にどんどん増えていくんじゃないでしょうか?

今は夢や叶えたいことが見つからなくても、がむしゃらにやってみたらいいと思います。私はツアコンダクターも大学講師も、本当にいろいろやってきました。

見つかるまで時間がかからないと思いますが、見つかるまではなんでもやってみたらいいと思う。そのうち「これが天職だ!」っていうものが見つかります。

結婚と一緒で、運命の人やモノと出会えるまで、とにかくやってみてほしいです。

編集後記

「婚活相談24時」という標語を掲げている北畠さん。そのお名前に偽りはなく、何とかして結婚相談所に来た人たちを救いたいという想いで、会員さんに接していることがわかりました。

結婚相談所には、まだまだ古い印象を持っている人も少なくありません。それはそれで仕方のないことでしょう。しかし、結婚相談所の中には、家族同然に面倒を見てくれる仲人さんがいるのも事実。北畠さんは今日も新宿の結婚相談所で新たな家族を待っています。

北畠さんのお仕事についてさらに知りたい方は以下のリンクもご覧ください。

▶ ナチュラルマリッジ様 公式ホームページ

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