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ギャルではなくマリーアントワネットが私の心に住んでいる

最近SNSで心にギャルを住ませる等の投稿が流行っている。趣旨としては「ギャルが心にいれば考え方がポジティブになる」とか何とか。
それに対して「オタクはギャルに夢を見すぎ。本物のギャルはぶん殴ってくる」と論争が巻き起こっていたのは面白かった。ただ私もオタクなので、陽キャなのに仲良くしてくれる同僚のことをすぐ「ギャル」と呼んでしまうが……。

基本的に私は陰キャなので、ギャルにお住まい頂こうと思っても陽当たりが悪くジメジメした物件のため内見にも至らない。
ただ、変わりにマリーアントワネット様がお住まいになられている。

マリーアントワネットはご存知の通り「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」の名言で有名なお姫様だ。(本当は彼女が言ったフレーズではないらしいが……)
誰かを怒らせたり馬鹿にしたいがための発言ではなかっただろうが、特権階級故の無知と無意識下の傲慢を表す言葉として民衆の不満を煽るシンボルとして使われてしまった。
ただ、みんな大なり小なり無知と傲慢を抱えており、気が付いていないだけで、つい「アントワネっている」ことがあるはずだ。

新卒で配属された職場はとんでもなく優秀な人達がとんでもない時間までサービスで働いている、いわゆるブラックな場所だった。ハイパー優秀な人達に激詰めされて泣きながらも仕事をこなしていたため、完全に死線を潜り抜けたソルジャーの顔付きに成長した。
とはいえ身体に限界がきて、異動した先はまさかのピュアピュアホワイト職場。みんな優しくそこそこの仕事をこなすだけでチヤホヤしてもらえるパラダイスだった。

前職場で残業しまくった反動で、定時ピッタリ退社マンとなった私は「どんな時でもマジで帰る人」として名を馳せている。
最近かわゆい後輩ちゃん達にランチに誘われ、でれでれしながら行くと「どうしたら早く帰れますか?」の質問をされる機会が多くなった。
みんな帰りたいもんね、と思いつつハテ何と答えれば良いか……と長考した結果でてきた言葉が「早く帰りたいなら、仕事を定時までに終わらせれば早く帰れます」という小泉進次郎も真っ青な構文だった。
話しながら自分でもこれはヤベェと思ったが、じゃあ他に何と言ったらいいだろうかとアセアセ考えて「今日きたタスクは全部今日終わらせて明日に持ち越さない」「来たメールは溜めずに即レスする」など、それができたら苦労せんわ!という言葉しかでてこない。
何か特別なことをしてるわけじゃく、これができたら帰れるよーワハハ!と無理やり話をたたんでその場はランチを奢ることで誤魔化した。

家に帰って旦那にこんなことがあったわーと話すと、「それ、みんみんのアントワネットなとこでてるよ」「みんみんは色々あって経験値があるから即断して仕事ができちゃうから溜まらないけど、民衆はその気持ちはわからんのです」と。
たしかに、「早く帰りたいなら早く仕事を終わらせればいいじゃない」とは革命のきっかけになりそうな言葉だ。
でも、じゃあ何と言ったら良かったのかと考えたが分からん。持つべきものの無意識下の傲慢さが出ているし、まあ嫌な先輩だなとは思うが、民衆がアントワネットの気持ちが分からんのと同じく、アントワネットも民衆の気持ちが分からんのです(炎上しそう)

やばいかなぁと悶々する一方で、心の中のマリーちゃんが「私の何がいけないの?」と小首を傾げる中過ごしていたが、他にもマリーアントワネットがお住まいになられている有名人を見つけた。
スマブラの生みのである桜井政博さんのYouTubeチャンネルに投稿されている「仕事の姿勢」シリーズである。

正直旦那に「アントワネってる」と言われても「そんなに〜?」と思っていた部分があったが、桜井さんの動画を見て、「うわ……これはアントワネットだわ……」と我が身を振り返って反省したしなんならちょっと引いた笑

ただ、私だけがアントワネットをすまわせてるわけではないことに安心感も得てしまったのも事実である。
というか、みんなギャルなんかよりアントワネットを知らない内に飼ってると思う。
「私プチプラコスメでも肌荒れないんだよなぁ」「花粉症の人って大変そう」等、持てる者故の傲慢な見下し無理解ムーブをしたことがない人は果たしているか、いやいない(反語)。

マリーちゃんはそんな悪いことばかりでもない。彼女の無自覚煽り対象は他人だけじゃなく、自分自身にも向けられるからだ。

「時間がないなら、効率化して時間を作ればいいじゃない」「嫌だけどやらなきゃ終わらないなら、やればいいじゃない」

キョトン顔でマリーちゃんに何故やらないのかしら?と宣われたら、イエスマム!とプライド高めの人種はやるしかないのだ。

「ギャルを心に飼えないなら、マリーアントワネットを飼えばいいじゃない!」


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