この世界はもっと驚きに満ちている。森田真生さんと散歩をしながら思ったこと
森田真生さんという、数学の研究者がいる。私は彼が書く本が大好きで、(たぶん)全ての著書を持っている。
「大切なものは目に見えない」とよくいうけれど、森田さんは、この世界との対話を通して、その大切なものを見つめ、時にはそれを掴む力がある人だ。
この世界は、私たちが想像するよりも、たくさんの驚きに満ちていて、美しく、そしてかけがえのない一瞬の積み重ねであることを気づかせてくれる。
目の前のものや目の前の人に心を開き、この世界と繋がる糸に触れ、束ね、紡いでいけば、森田さんと同じ眼鏡をかけることができるだろうか。
そうは思ったけど、たぶんそれだけでは足りず、必要なのは「愛おしいと思う気持ち」なのかもしれない。
足元に生える雑草や、遠くに聞こえる鳥の声、一緒に笑ってお酒を飲む仲間、自分と関わるものに対して、愛を持って接しようという心持ちがきっと私の世界も輝かせてくれるような気がする。
思えば、私は寺田寅彦が大好きだし、本棚には数学や物理の本や、その分野の方が書いたエッセイがいくつかある。
彼らは大きな原理に疑問を持ちながら、目の前で起こる小さな出来事を観察し、また大きな原理に戻ることが非常に上手だ。
大きいものと小さなものを縦横無尽に行き来しながら、世界を面白がっているのだと思う。
私もそんなふうになりたい。
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