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「時をかけるな、恋人たち」 時間軸のずれと気持ちのすれ違いはエモ

5話、しんみりと観てしまった。
タイムパトロール隊員になっちゃった現代人、廻(めぐる)の言葉、
「(LINEを)消しても、想いは消えませんから」が、沁みる。
「(記憶を)消しても、想いは消えませんから」と脳内変換された。

* * *

脚本は、時をかけがちの劇団"ヨーロッパ企画”の上田誠氏。
「サマータイムマシン・ブルース」が真っ先に浮かびます。
舞台は残念ながら見ていないのですが、映画は観ました。
ひたすらに、辻褄合わせのためだけのタイムトラベルを繰り返す大学生が、面白切ない。


「時をかけるな、恋人たち」もそれを思わせる、面白切ないタイムトラベル物。
”時間に隔たれた恋愛”と”消されてしまった記憶”要素により、切なさマシマシ。
恋人たちの気持ちの成就(恋の成就ではないところがミソ)のための、毎回の「辻褄合わせ」がみどころです。


この手の物語のセオリー通り、タイムパラドックスを防ぐため、時間旅行の果てに結ばれた恋人たちは、記憶を消されそれぞれの時間軸に戻されなければならない。
記憶を消されるのは、現代人。
未来人の記憶は残される。
この設定で、一方は憶えているのに一方は覚えていないという、絶妙に切ない状況がうみだされています。

歴史は改変されてはいけない。
例え、誰かを失うとしても。
失ったものを乗り越えて、未来が存在するのだから。

そこで、廻は問いかける。
”結末が決まっているのなら、何のためにタイムトラベルはあるんだろう”

5話でのアンサーは、
”結末は決まっていても、歴史は変えられなくても、滑り込むことはできる”

つまり、”記憶がなくても想いは残る”と、いうことなのかなと思いました。

5話までは、いろんなパターンの時をかけた恋人達の、辻褄合わせをしてきましたが、いよいよ次回からは本丸。
現代人廻と未来人翔の、辻褄合わせが始まるもよう。

タイムパトロール隊員のふたりこそ、時をかけててしまった恋人なのだ。
学生の頃に翔と出会い恋をしたのに、廻の記憶だけがない。
翔はなんとか廻と一緒に暮らすために、再び未来からやってきた。
記憶のない廻は、はじめは到底受け入れられない…って感じだったけど、いつの間にか翔のことが好きになっていて…。

いや、廻。
いつの間にかって、本当にどの間に翔を好きになっていた?
…とツッコミたくなるのですが、ここは、
”記憶がなくても想いは残っていた”から、と解釈したい。

いや、でも、上田誠だし…
もしかしたら、そんなエモい話ではなく、恋の超展開壮大な辻褄合わせの結果なのかもしれない。

今感じているちょっとした違和感も、最終話までに辻褄あわせてくれるのではないかと期待しています。
エンディングで流れる主題歌「I  like you」、オープニングの「ドキドキする」のサウンドも、ひじょ〜に小劇場の舞台っぽくて気に入っている。

この話、時をかけちゃうのが少女じゃなくて、分別ある大人なところがまた良いと思うのです。
翔役の瑛太の、ピーポくんみたいなビジュアルも良い。
時間軸の違う二人は、どう”一緒に生きる”ことができるのか。
ドキドキしながら見守ります。


新海誠的時空超えが好きだけど時恋の定石崩しも好い
後半戦感想はこちら


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