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約束〜16年目の真実〜最終話考察 突き抜けてシリアルキラーはいさぎよし

「約束〜16年目の真実〜」最終話
気持ちいいぐらい潔く、犯人はこってこてのシリアルキラーでしたね。
とは言え、安易なシリアルキラーオチではなく、その結論に行き着くまでの道筋は、かなり練りに練って作られてたのではないかと思いました。素晴らしい。

私は5話ぐらいから本気出して見始めたのですが、次第に真実探しにのめり込ませるあたり、脚本もキャストさんの演技も見事でしたね。
9話考察で回収して欲しい点を3つあげたのでその結果と、自分の考察の反省会をしたいと思います。



1.疑問点どう回収されたか


9話後考察で回収して欲しい点を3つ挙げました。

① 井出と桃との関係
② 葵と桃が指切りした約束とは?
③ 不破翔がロープを持っていたのはなぜ?

それぞれの答えは以下。

①  井出と桃との関係

井出は言う「俺を救ってくれたから

高校時代に、孤独な井出に桃が声をかけたのが始まり。
虐待やいじめなど、互いの境遇を話し、受け入れてもらえた。
また、ご飯を持ってきてくれるなど、唯一自分の居場所を作ってくれた桃は、井出にとって特別な存在になっていた。
このことにより、井出は”桃を救わなければ”という強い使命感を持った。

桃が殺害した母親の遺体を隠す、というのが初めての共犯。

これが、井出から見た真実です。
井出、純愛路線を希望していた自分としては、ナイス回収でした。
健気だぞ、井出。

しかし、悲しいことにシリアル桃からの真実の見え方は少し違う。

桃は言う「捨て犬に餌あげる、みたいな感覚で相手してたのに…
彼、思い通りに全部動いてくれた。

なんてステキなサイコパス。
井出、不憫だ。

いや、井出はそれを百も承知で、それでも自分の居場所である桃に、生きてほしかったんだと思う。

この、真実の見え方が人によって異なっているというのも、このドラマの面白いところでした。

回収されなかったこととして、井出雑貨店の地下室の存在は気になっています。
自分は、地下室は桃が使っていたのではないかと思ったのですが、説明はされませんでしたね。
井出が ”桃たん猟奇博物館”? として使ってたということも考えられるけれど、あのビー玉ピタゴラ装置があったり、犯行の記事を勲章のように掲示しているあたり、桃が使っていたのではないかと疑っています。

②  葵と桃が指切りした約束とは?

桃と葵との「約束」も、実は真実の見え方がふたりの中で違っています。

葵の約束
「いつまで経っても親友だから」
桃の約束
「この町で最高の作品を作り上げる」
つまり、不破のシナリオを完璧に再現する。
すなわち、葵を殺す。

その思惑の違いに気づかないまま、葵は指切りをしてしまった。

葵にとっては他愛のない約束だったけれど、殺人衝動が覚醒した桃にとっては、殺しに使命感をもたせ、それを「葵のため」と美化する約束になってしまったわけです。

ここで面白いのが、桃の中には「親友だよ」という葵の約束も活きていて、殺したいけど殺せないというダブルバインドを生んでしまったところ。

葵を殺したいけど、親友を殺すことはできない。

そのため、桃のターゲットは葵に向かわず、葵の代償として似た女性を殺すことで衝動を解消していた。
葵を直接手にかけなかった理由、こう回収してきたか〜!と感心しました。

* * *

葵に手錠をかけられることが、殺人以上の快感だった…
ことに気づいた桃の恍惚とした表情。
恐ろしくも純粋でした…。
こだわっていた完璧なシナリオの完成は成せなかったけれど、それ以上の快感を彼女は最後に得たわけです。
う〜ん、すごっ。

私は、桃の葵に対する歪んだ愛情ゆえに、葵は生かしておきたく、殺人衝動を身代わりで果たしている、と考えていました。
結果、そうとも言えるし、違うとも言える。

葵を殺さなかったのは、愛情ゆえではなく、「親友は殺せない」という縛りが桃の中にあった…という展開が、非常に面白かったです!

桃:私を助けてくれたんだね。
葵:逃げることは許さない。

葵に逮捕されることは、桃の救いでもあったようです。
桃は強い殺人衝動を持ちながら、誰かに止めて欲しい気持ちも持っていたのでしょう。

桃には、相反する真逆の価値観が常に同居しています。
桃の純度の高い歪さが、最後までうまく出ていたと思います。


③  不破翔がロープを持っていたのはなぜ?

ベンチに座り、妹の写真を見ている不破の傍には、白いロープが。

これは、回収されていなかったですね。
しかし、ナイフを持って桃に襲撃したシーンはありました。
不破が桃に対して復讐することは考えないと思ったのですが、ここは予想を外しました。

そして、同じベンチのシーンで、不破が誰かに電話をかけているんですよね。しかし、通じなかった…という描写だったように思うのですが、誰に連絡していたのでしょうか?

自分は、桃に連絡していたのではないかと想像しています。
不破は、桃の報道が出る前に、自ら”真犯人=桃”という答えに辿り着いていたのではないかと思います。
それで、桃を呼び出そうとしたが、桃とは連絡が取れなかった。

でも、そのシーンは、放送時間の関係で割愛されちゃったんじゃないかなあ…。
だとしたら勿体無い。


2.真犯人の犯行動機


真犯人、飛鳥桃の犯行動機。
これは、明確なものは存在しない、ということでしょう。
そのぐらい、完全純粋シリアルキラーでしたね。

幼少期から、母親の虐待を受けていた。
それまでにも、動物は平気で殺していた。

明確に殺人衝動を感じたのは、不破翔の書いたシナリオでしたが、犯行以前から動物虐待など、サイコパスの芽は開花しつつあったようです。

ドラマでは、葵への執着としていましたが、真に桃が執着していたのは、”脚本の主人公” だったのではないでしょうか。
あのスバラしく美と快楽に満ちた不破のシナリオこそが、桃の殺人衝動を強く揺さぶり続けた張本人だったように思います。

ちなみに、井出の共犯部分。
・桃の殺害した遺体を隠した
・シナリオの続きを書いた
・庭の遺体の匿名通報をした
・身代わり出頭した


3.考察反省会・感想戦


本気で考察し始めた5話あたりからは、”シリアルキラー犯罪なら、実行犯は井出しかいない”と考えました。
さらに、6話で桃の母親が犠牲になっていたことと、庭から遺体が出たことで、桃はなんらか絡んでくるだろうとは思っていました。

しかし、桃がここまでコテコテのシリアルキラーというのは、一応予想してみたものの、怖すぎるから、そうならないで欲しいと願っていましたw


外れて欲しかった桃is the シリアルキラー予想はこちら


実は、初回で、真っ先に疑っていたのは、桃。

高校時代は生徒会長、慈善家でしっかり者の桃。
5人のリーダー格、おせっかい、完璧にいい人…というだけでアヤしい…w
完璧な人ほど、失敗は隠蔽したくなるもの。
母親が16年前に急に飛び出していって、帰ってきていないあたりも色々と不自然。

初回の感想はこちら


こうしてみると、適当に書いた初回予想が、一番当たってました笑

まさか、シリアルキラーだとは思っていませんでしたが…。
桃を予想した理由は、彼女の完璧さ、いい子さに、自分の失敗を無かったことにするためは手段を選ばなそうな危うさを感じたからでした。

まあ、高校生に人を殺してほしくなかったんですけど、その辺りはコンプラもなんのその。
思い切りやってくれたお陰で、非常にスリリングな物語になりましたよね。

何度も言ってしまいますが、脚本段階では、もっと緻密に伏線回収していたのではないかと思います。
そのぐらい、初めから細かいところまで描写されてましたよね。
例えば、高校時代の桃のミサンガとか、井出の登場の仕方とか。

最終話、放送時間15分延長してもよかったんじゃない〜?と思っていますw

桃役の織田さんの演技は、初回から違和感というか、失礼ながらこの人下手なんじゃないか…?と思って見ていました。でも、違和感は、犯人である桃が演技しているという演技だったんだ!と気づき感心しきり。
桃の高校時代を演じていた女優さんも含め(シナリオを読んでる時の小鼻の膨らむ感じとか)、シリアルキラーへのスイッチの演技が素晴らしかったです。

「約束」は、父との「真実は必ず明らかになる」だったというのも、そっちだったか〜と。
いろんな立場のいろんな意味を持った「約束」が、少しずつその人の生き方を歪ませていく感じ(香坂も含め)、考えさせられます。
良いタイトル回収でした。

それだけに、葵と不破と恵で、また何やら約束してたシーンでは、「もう、やめておけ」と心の中で呟きましたがw
不破は脚本の持つ力がデカそうなので、是非ミステリーはやめて幸せなお話を書いてほしいよね。

それにしても、葵のパパと恵のパパはかわいそうだった。
有村もある意味かわいそうなパパだったし…。
パッパたちの間違った愛情の悲劇…というのも裏テーマだったのかもしれません。

最後に、最終話で香坂がデレたところは、かわいくてよかったw

深夜枠でやるのが勿体無いぐらい。
本格的な犯人探しを楽しませてくれた「約束〜16年目の真実〜」、美味しゅうございました。ご馳走様でした。

ここまで長尺お付き合いいただき、ありがとうございました。


最終話までの感想・考察はこちら


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