世界一かわいいあなたへ

2024年4月27日　12時04分
約10ヶ月の時を経て、あなたは産まれました。

ふにゃあと鳴いた2672gの女の子。
息してる、元気そう、一安心、産めてよかった、よしよし。

産まれた後に駆けつけたあなたの父は、寝ている姿が私によく似てると言って微笑んでいました。
私はどこからどう見ても父親譲りのかわいい顔だと思いますよ。

テルマエ•ロマエ的に言えば平たい顔族の私と100%純正縄文人顔の夫の遺伝子なのに、この世に生まれてわずか数十分で夫側の遺伝子の濃さがわかります。
お年頃になって、父親の顔を見て母親を睨み「どうして二重じゃないの！」と文句を言いながらアイプチをする娘の姿は見なくて良さそうです。

そんなあなたは〝そろそろ子供が欲しいな〟と思った時にお腹に来てくれました。
こう思えたのはあなたのお父さんのおかげです。

実を言うと、〝子供が欲しいこと〟に対する私の気持ちとしては、適齢期のうちに育てられる環境が整えば考えてもいいかな？、という適度でした。

YESとNOの中間、でしょうか。
だから、ご縁があれば1人目は30歳を目安に、と。

ご縁がなければ子供はいなくても構わないと。
こんな自分の遺伝子を分けた子供はかわいそうだ、上手く育てられないと思っていて勇気が出せませんでした。
なんでそんなこと思うの、って思った？
あまり自分に自信がなかったの、ゆるして。

言い訳かもしれないけれど、私の実家は幸せであたたかいといったものではなかった、と感じます。
ギャンブル依存の父、バブルで時が止まった母、遺影の兄と、弟です。

父は、仕事の帰りは閉店まで、休日はオープンラストで、多い時で2日に1回はパチ屋に行きました。
ギャンブルに向かない性格の故、数年に1回はパチンコに勝ちケーキを買ってきましたが、大抵は負け。
さらにケーキ以上の頻度で大負け、自宅で荒れていました。
適切に通院すればギャンブル依存症と診断がつい
たと思います。
そんな父は、私が20歳の時に心筋梗塞となりました。
50代の父に似合わず血管年齢は90代とのこと。
医師や看護師にタバコの副流煙が影響では？と指摘、非喫煙者の父はパチ屋の副流煙を思いパチ屋には行かなくなりました。

片や女子短大生から丸の内OL、クリスマスケーキと共に専業主婦と、当時のキラキラロードを歩んだ私の母にとって、きっと結婚生活の波は荒れていたのだと思います。
同じ女だから、娘相手にストレスを発散するしかなかったのでしょう。
こちらとしてはたまったものではありませんが。

長くなってしまうから、兄弟については割愛。

あなたに出会ってから、私の両親は両親なりに家庭運営と子育てをしていたのだと思いました。

だけど、家庭環境なのか性格が起因しているのか分かりません。
私の中での私はよくできた人間ではないし、良い部分はわからないけれど嫌な部分はたくさん見えてしまう。
頑張って頑張って頑張って、泣きたい自分は心の奥に閉じ込めて蓋をして。
人前では取り繕って、自然な笑顔で過ごして。
上手くできない自分じゃないと愛されないって思ってた。
完璧な自分が必要だった。

そんな私を抱きしめてくれたのがあなたのお父さん。
話をきいてくれたのもお父さん。
とっても優しくて大好きよ。
この人となら子供を育てられる、私のことも生まれた子のことも大事にしてくれる、そう思ったから今の私がいて、あなたがいます。

私とあなたの生活を良くするために今日も頑張って働いてくれています。
知恵が働き、手先が器用なお父さん。
快適な生活のために手間暇を惜しみません。
不器用ながら、あなたをあやしてくれるお父さん。

大人になったらお父さんみたいな大きくてあたたかい人と結婚しなさいね。
器の大きさが大事よ。
数十年先に生きている女として、今から助言します。

もし、思春期になって「産んでくれって頼んだ覚えはない！」など言われたら、間違いなく「そんなの頼んでない！あなたを産みたいから産んだんだ！」って答えるはず。

どんなに泣いても、なにしても世界一かわいい私の子。
大好きよ。

私を母親にしてくれてありがとう。
元気に大きくなってね。
大きな病気をしないで健康でいてね。
幸せいっぱい笑顔でね。
そして、みんなに愛されて可愛がってもらってね。

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