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サービスの本質。日本で働く海外の方に思うこと。


日本人のサービスについて

日本のサービスはとても優れていて世界に誇れるもの、海外の人が日本のサービスを受けるとあまりの丁寧さに驚かれる。この一般論は間違っていない。実際にサービス業を生業にする私は、常に「良い気持ちで過ごして頂く為に」精神論だけで無く、基本の表情や言葉遣い、所作や相手の反応や過ごし方を観察し、会話力の向上等様々な視点で努力を重ねている。もちろん先輩方や後輩も、私より更に更に素敵な方が多く、それは技術だけで無くその人の人間性が滲み出ていると思う。サービスは心が伴ってこそ、提供側と相手に良い空気が流れるのだ。

外国人スタッフに思う事は?

一般論的に、外国人スタッフに思う事はどんな事だろう?ひと昔前までは、今ほどその母体は多く無く、「日本語通じるのかな?」という不安もあったかも知れない。私の勝手なイメージだと最初にことわっておきたいが「日本人ほどのサービスは期待出来ないだろうな」「適当にサービスされたら嫌だな」というご意見もあるかも知れない。果たして実態はどうなのだろう。

近所のインド料理屋さんの、インド人スタッフの方に思うこと

最近お気に入りのインド料理屋さんがある。スタッフはおそらく、キッチンの方も含めオールインド人。都内でもチェーン展開をしているので、オーナーは日本人だろう。オフィス街の中心地にあるそのお店は、正午にもなると満席。メニュー数も多く繁盛店だ。

そこでピカイチな店員さんに出会った。いや、彼だけで無く皆さん素晴らしい。今日も相変わらず素敵だった。

特別なサービスを受けたわけでは無い。通常通り、入店して、注文して、料理を戴いて、お会計という流れだ。ただ、彼のサービスには常に敬意と愛情がある。「いらっしゃいませ〜♡」「ご注文お伺いしま〜す♡」「かしこまりました〜♡」忙しくとも、しっかりと伝わるように、そして語尾に♡がついている。おじさんだが。お会計が終わったら、「またお待ちしておりま〜す♡」私の姿が見えなくなるまで見送ってくれた。インド人のおじさんだが、可愛いと思ってしまう。そしてそれはその方だけでは無く、キッチンの人も、皆から温かさを感じる。

日本で働く海外の方に思う事

なぜ、そのサービスが素敵だと思うのか。理由の一つは「一生懸命さ」だと思う。母国語とかけ離れた日本語で、丁寧に敬語を使い、日本式の「一連の丁寧なサービスの流れ」を体現している。チェーン店だからこそ、徹底した教育がされているのかも知れない。それを健気に笑顔で実行されている姿にキュンとする。

そしてそれにはムラが無いのだ。忙しくても、いつ行っても丁寧で、尚更健気さを感じる。

それはこのインド料理屋さんの店員さんにだけ感じた事では無い。

以前住んでいた家の近くにあったスーパーで働く、おそらくベトナム人の学生さんも。(比べて申し訳ないが)隣で働く日本のスタッフの方よりも一生懸命笑顔で丁寧な言葉と所作で対応されていた。この方がレジに立っていると「今日も丁寧だな、頑張ってるな」と心のなかで思う。決してレジ打ちが早いわけでは無いが、私はそこは求めない。

他にも同じような経験をしたことが何度もある。そしてそれはここ数年でそう思う回数が増えた。仕事に誇りを持っているようにも感じる。正しい日本語と笑顔、おそらく母国とは勝手が違うであろう日本式のサービス。

異国でこれを体現するのは簡単では無いと思う。

本当に良いサービスとは

もちろん、一流のホテルやレストランでは良いサービスを受けられる。ただ、ド庶民で被害妄想強め?の私には試されているような気がして落ち着かない。たまに経験する事は大事だが。サービスは受け手の心構えと技量も大事だと思っている。

丁寧な言葉遣いや身嗜み、会話力や観察力等、サービスに求められる点を挙げればキリが無いが、その根底にあるのは「相手に気持ちよく過ごしてもらいたい」という「心」だと思う。「どや、私のサービス」と、力まなくても(正直、私は時々力んでしまう)「心」が伴えば相手に伝わる。それに自然な表現力が付加出来れば最高だ。

私たちは日本の「高水準のサービス」に甘んじる事無く、外国の方や周りの方の良い点を取り入れるべきだと感じている。

2020.9.8



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