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好きな街について。フランツ.カフカを捜しにプラハに行った話。④〜カフカを巡る〜

さて、いよいよ「カフカをめぐる冒険」が始まる。

フランツ.カフカ生家

まずはフランツ・カフカの生家から。ユダヤ人街の端、旧市街に面する好立地にありながら、私が行った日は?ひっそりしていた。入り口から難解なメッセージ。(TOP写真)つまり、今現実にあるものだけが真実だと定義するなって事?目の前にあるものが全てでは無いということか。入り口から悩ませてくれる。私の他に1組のカップルがいただろうか。同じような事を感じるであろう彼らに親近感を覚える。受け付けには赤い髪、ピアスいっぱいのファンキーなお姉さん。入場券を求めると、「学生さん?」ですと。私:「いやいや、30歳越えてますわ」お姉さん:「HAHAHA,一応確認」うーん、悪い気はしない。

さてさて、見学を進める。、、えーと、ここはお化け屋敷だろうか?歩き難く、狭く暗い通路に、崩れかけた壁、ライトアップされた気色の悪い石像。終始顔をしかめていた。所々にカフカの作品「城」の主人公「K」を模した絵が出てくる。正直、「城」についても何が言いたいのかさっぱりだった。私のおつむが弱いのは致し方ない。30年後くらいに理解出来るだろうか。「K」を通して何を伝えたいのか、何を表しているのか、読み進めど理解に苦しむ。しかし不思議とカフカとその作品が心に居座るのは何故だろう。この気持ちを言葉に出来たらきっと腑に落ちるのだろうか。

フランツ.カフカの仕事場

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プラハ城内、黄金小路に位置するカフカの「仕事場」こちらは生家とは違い多くの人の写真スポットとして賑わっていた。日本人は私だけだが、アジア系では韓国人の可愛い女の子が二人。生まれた国や世代も育った環境も違うのに、それぞれのきっかけがあり、同じ作家の作品を読み、今カフカの仕事場の前で時を共有するとは、何とも感慨深いものがある。と一人感動していた。それにしても好立地。お城の中に仕事場があるだなんて。

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写真は夜のプラハ城。昼も夜も美しい。滞在中、このプラハ城はカフカの「城」のモデルだろうかとずっと考えていた。いや、そう考えるのが自然であるが。丘の上にあり、人々の憧れの存在。それは謎に包まれていて、近くにあるのに全くたどり着けない。昼の顔と夜の顔、表情が違い、まるでその「城」は生きているようだ。

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ちなみにこれはある市内のカフェから見えたプラハ城。街のどこからも見える。

フランツ.カフカ博物館

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さて、そろそろお腹いっぱいになってきたぞ。でもここまで来たら、カフカを巡る旅をコンプリートしなければ。ここ、フランツ.カフカ博物館にも「K」のイニシャル。なぜこんなに「K」推しなのか。「変身」の主人公、グレゴール・ザムザじゃダメなのか?そもそも「K」って何?あ、今書いてて気付いた。「Kafka」のK!!!???という事は、「城」の主人公「K」は自身を表しているのか?確かに、カフカは40歳という短い生涯の中で執筆活動を続けながら保健局員として働いていた。当時のサラリーマンの気持ちは想像できないが、きっと今のサラリーマンとあまり変わらないのだろう。測量士という肩書きで、「城」の謎の役員から理不尽で一方的な扱いを受ける「K」はカフカ自身の事を表していたのかもしれない。それはカフカ好きなら周知の事実だろうか。後で調べてみよう。

さて、プラハでカフカに纏わる場所に足を運んでみたが、実際には、私は彼に近付けたのだろうか。答えは、「少しだけ近付けた」だろうか。やはり、彼の事は気になるが、それは「好き」とは違う。分からないものを知りたいという探究心だ。彼を評価するにも、もっと多くの作品に触れなければならない。でも彼の作品を読むのは体力がいる。何十年とかけて理解するのもまた面白いはず。胸を張って「カフカが好きだ」と言ってみたいものである。

2020.9.4

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