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息子へ/3

「血糖値がゼロです」と宣告された息子。

血糖値が低い、いわゆる低血糖ではなく、数回調べなおしたがゼロ。医師も理解できないと。正直、生きられるのかどうか分かりません。障害が残る可能性も。という説明を受けた。

その後病室へ戻り、夫とどんな会話をしたか全く記憶にない。

とりえず母乳が出るように看護師さんにしぼられて痛かった記憶は鮮明。

自宅から一時間半かかる距離を、夫は毎日仕事が終わってから面会に来てくれた。

数日経った頃、医師からお話がありますのでご夫婦で。と呼ばれた。

看護師の後ろを歩く夫と私は緊張だ。私の強張った顔を見た看護師が、「詳しいことは分かりませんが悪いお話ではなさそうですよ」とおっしゃってくれ、少し緊張が溶けた。

「血糖値が上がってきています。原因も分かりませんが今のところ順調です。母乳の栄養が良かったかもしれません。このまま体重が増えていけば退院できますよ。その後は定期的に検診にきてください。それから、半年過ぎるまではスーパー等の人混みは避けてください。」

色々な感情が溢れ出た瞬間でした。

夫の涙を見たのはこの時が初めてだった。

そしてやっと、息子が産まれた喜びだけを感じた日だった。

本来ならば一週間程度で退院するはずが、黄疸が出たこともあり一月弱入院していた。

やっと、家に帰れる。

息子、一緒に帰ろ。我が家へ。頑張ろう。母親として頑張ろう。いいお母さんになろう。誰もが羨むようないいお母さんになろう。


ちょ、待って、ねぇ、赤ちゃんってどうやって育てるの?

また不安の波に飲み込まれてしまう。

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