肥後百景#8【上通り】
熊本の街には
地方の繁華街にはつきもののような存在のアーケードがある。
西日本でもかなり大きなアーケードのようで、路面電車が走る市電通りを挟んでアーケードが二分されている。
そこを境にアーケードには名称が付けられていて
上通りと下通り
と呼称されている。
上通り
お洒落な人はこの通りを闊歩する
という個人的な確固たるイメージを持っていた。
中坊ぐらいではこの通りに足を踏み入れるにはハードルが高く
高校で踏み出せるかどうか。
高校デビューにかかっていた。
上通りにはお洒落なお店がたくさんある。
高校生になり、学校帰りに寄れるようになると
特段用も無いのにとにかく街経由で帰宅するようになった。
熊本のお洒落の発信地として古着文化が栄えているのも上通りの存在が大きい。
よく分からんなりにとりあえず古着屋に通うようになり
店員さんとも仲良くなると自分がお洒落な街の一員になったような気がして
完全に錯覚からくる変な自信がついた。
そこから、わけのわからんファッションに自分自身も変化していき
一点ものだの奇抜なデザインだの
他者との差別化を図るのに勤しんだ。
レディースの服などにも手を出した。
一番迷走していた時期は
ロックテイストのスカート穿いて
上通りをスタート地点にし、下通りの最先端まで行っては折り返すという究極の暇つぶしをしていた。
街ブラというのを目的に街に行くという何とも目的と手段が入れ替わってしまった行為に全力を注いだ。
あんなにすね毛ボーボーに生やして
自分は今、最高にイケていると勘違いしていた変態には戻らないようにしたいとしみじみ思う。
お心遣いに感謝です。今後も励んでいきます!