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ワクワクをカタチにする

こんにちは、雑貨ブランド「minimums」の西野です。前回の記事では今のブランドに至るまでの経緯と、環境づくりについて書きました。今日は実際に「私がつくりたいもの」がカタチになるまでの経緯について書きたいと思います。


初出展/豚のフィギュアと、灯台のブース

2015年12月/クリマVol.33/これまでにたくさんの作品を作ってきましたが、その中で私自身がどんな時にワクワクするのか考えるところから始めてみました。大学の頃の専攻や今の仕事はグラフィック系ですが、好きなことでいうと小さなモノをちまちまとたくさん作っている時がワクワクしました。

妻のちび助も、小さなモノが好きでした。ミニチュアやジオラマ、フィギュア、マッチ箱、小さくて精巧なモノを見るとワクワクが止まりません。小さなものがたくさん並んでいるなんてもう最高!ということで、まず手始めに行き着いた先は、以前からよく制作していたフィギュアづくりでした。

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残念な存在ってカワイイなぁと、大砲に頭を突っ込んで抜けなくなった豚キャノンシリーズを作りました。専用の粘土で原型を作り、シリコンで型取り、樹脂で量産。制作工程で量産したものがたくさん並んでいる様を見るとワクワクしました。ブランドは小さなものを小さな二人がつくっている、ということで深く考えずminimumsと名付けました。

minimumsとしてクリマに初出展するため、ブースは遠くから見ても頭一つ飛び出しているような目立つものを作ろう!と考えました。そこで、以前から好きだった灯台をモチーフにしたブースをつくりました。作品との関連なんてどうでも良いのです、とにかくつくりたいからつくるのです!

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灯台が目立ちすぎたせいかフィギュアの売り上げは芳しくなかったですが、このブースが非常に好評で、中に入って撮影したいという人が続出しました。私自身これだけ大きなものを作るのは初めてでしたが、レーザ加工機で培ってきた技術を集結させた灯台づくりはとても楽しく、ワクワクしました。しかしまさかこのブースづくりが以降制作していく作品の骨組みになるとはこの時は想像もしていませんでした。


出展2回目/灯台とくるくる回る観覧車

2016年12月/クリマVol.35/フィギュアづくりは楽しかったですが、売り上げにはつながりませんでした。そこはデザイナーの性で、自分が楽しくても他の人が楽しくなければ、本当の楽しさにはならず、売れなくても良いから自分が好きなものをつくり続けよう!という根気が私にはありませんでした。

そこで、前回つくっていて楽しかった灯台のブースを、1/10サイズにして分割して小物入れにしたら楽しそう!と思いつきました。板材をレーザー加工機でカットし、これまた昔とった杵柄で革も使ってみよう。小さな灯台づくりはブースでの経験が活きてサクサク進みましたが、前回お手伝いしかできなかった妻のちび助にふと「何かつくりたいものある?」と聞くと、

「くるくる回るものがいい!」

という、とても抽象的な答えが返ってきました。ちび助を知っている人なら分かると思いますが、ちょいとおバカな奥さんです。しかしあまり自分の欲を表に出さない人なので、これはぜひカタチにしてあげたいと思い、「じゃあくるくる回るものをいろいろスケッチしてみてよ。それをカタチにしてあげるから」と伝えると、嬉しそうにスケッチブックにぐりぐりと描き始め、そこから生まれたのが観覧車でした。

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観覧車の初号機は後にminimumsのアイコンとなる旗もなく、土台もややもっさりとしていました。しかし、これは良い!と思った灯台よりもお客さんの反応が良く、一瞬で売り切れてしまいました。

自信があった灯台の人気があまりなかったことにショックを受けつつも、ちび助の抽象的なアイデアをカタチにすることにはとても興味が湧きました。これまでの活動でも薄々感づいていましたが、もしかしたら私は、自分のアイデアをカタチにするより、誰かのアイデアをカタチにする方が向いているのではないか...?


出展3回目/くるくる回る回転木馬VS小さなお家

2017年6月/クリマVol.36/出展3回目に出したものは、

・観覧車(2代目)/ちび助発案

・灯台(前回の売れ残り)/私発案

・【新作】回転木馬のアクセサリー什器/ちび助発案

・【新作】小さなお家のペンスタンド/私発案

「自分のアイデアではなく、ちび助のアイデアをカタチにする方が私に向いているし純粋に楽しめるのでは」との考えに確信を持つべく、ちび助とそれぞれアイデアを出し合い、新作を2点つくった。

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ここでもやはりちび助発案の観覧車と回転木馬の方が人気が高く即完売し、灯台と小さなお家は後に2回ほどの出展でようやく売り切ったほどでした。

やはりどうも、私は自分のアイデアをカタチにするより、誰か他の人のアイデアをカタチにする方が向いている!と確信しました。自分のアイデアだとどうしても欲が出てしまいますが、ちび助の純粋な(おバカな)発想にはとてもワクワクするし、自分の技術や経験を生かしてカタチにして多くの人に買ってもらえることに、多幸感を覚えました。


出展4回目以降/現在へ至る展開

回転木馬以降は、それに付随するアイデアとして、サーカステントや気球などをクリマに出展する度に新作として発表。その結果、遊園地にありそうなモノをつくる = minimumsというブランドイメージが図らずとも出来上がっていきました。そしてそれは私が本当につくりたかったモノの答えでもありました。

これからハンドメイドを始めようと考えている、もしくは進め方で悩んでいる方は、まずはその時々で自分が興味を持ったモノをとにかく沢山つくることをオススメします。そしてぜひそれを通販ではなくイベント出展に出してみて欲しいです。目を輝かせて買ってくれる人、全く興味なく通り過ぎる人、そして特に「興味はあるけど購入にまで至らなかった人」の反応はイベント販売でしか感じ取れない、大きな糧となります。

そして何ヶ月でも何年でもつくり続けているうちに、ある時ふとコレや!という自分の作品にきっと出会います。それは作品をつくり上げた時なのか、売れた時なのか人によって異なりますが(私は後者)、その瞬間の達成感を一度知ったらもうハンドメイド沼どっぷり、寝ても覚めてもつくりたいモノで溢れることでしょう。


まとめ/私がつくりたかったもの

私は何をつくりたいのか、からスタートした長い道のりでしたが、

◉自分がワクワクすることは何なのか深く考える

◉ある程度考えたら次は深く考えずにとにかくたくさんつくる

◉イベント出展で知らない人に評価してもらう

◉試行錯誤をしながらよりワクワクすることを目指す

これらの積み重ねでようやく今の答えに辿り着きました。納期に追われて辛く苦しい時の方が圧倒的に多いですが、私が本当につくりたいものをつくって、それを多くの人が求めてくれている瞬間は、あぁ生きているなあっ!!と何ものにも代えがたいものとなりました。


現在もアイデアはちび助発案が中心です。最近は車輪にこだわっているようで、今年4月発表した移動販売車に続き、コロコロ転がせる何かをぐりぐりと考えてくれています。頑張れちび助!!

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