映像の質と作品の価値について考えさせられた話(ネットフリックス効果)
アニメはさくっと見られる、その理由
最近、ネットフリックスのおかげで、見なかったであろう映像作品、特にアニメを見ることができている。
ドラマではなくアニメを見るのは・・・まあ、アニメが嫌いではないのがベースにはあるだろうけど(アニメ製作の仕事もしてたし)・・・
アニメには、さくっと見られる理由がある。
アニメってTVものだと30分枠用で作られているので、オープニング・エンディングを飛ばして見ると20分ぐらいの長さに収まっている。
さらには、1.25倍速とか、作者への敬意をも欠くと言うべき禁断の1.5倍速なんかを使うと、1話を15分ほどで見られてしまうことから、とっても見やすい存在になっている。
それで、ちょっとした休憩時間にも見ることができるので、何十話もあるTVシリーズをこなしていけるのだー。
逆に、しっかり作ってある韓国ドラマなんかだと・・・「なんかこの作品1話が長いな、氣のせいかな?」と思って時間を確認すると、60分を超えた長さになっている作品だった、ってことがあった。面白くてもそこまで長いと、話数を見てゆくにはなかなか厳しいものがある。ダレる回もあるからねえ。
ま、それら禁断のツールを駆使しても、「鬼滅の刃」は7話までしか見れてない。笑 なぜだろう。続きを見ようという氣があんまり起きない。
そんな、ズルいアニメ視聴から、学ぶことがあったので、それについて書こうというのがこの記事です。
<へぼい作画、なんだけど面白い作品>
わたくし、映画青年から始まって、TVCMや映像コンテンツの世界で食べさせていただいた人間なので、映像には少々のこだわりがあるのです。
だから、絵がイマイチなアニメなんかは見る氣も起こらない・・・と、思い込んでいたのだけれど、ここへきてそれを覆す作品にいくつも出会ってしまっている。
1、「ワールドトリガー」
絵がヘボすぎて一番驚き笑ったのは、「ワールド・トリガー」というアニメ。
集英社の漫画が原作のアニメ。
シーズン1が73話、シーズン2が12話、Netflix=ネフリで公開されている。
シーズン2から急に作画が良くなっているので、間違ってもシーズン2を先に見てはいけない。シーズン1が見られなくなる。
(アニメの作画があかんかったのか、それが原作の絵を忠実に再現しただけだったりするのか。。。そこら辺は確認していません)
シーズン1の作画は、今時のSFアクションものとしては、なかなかにチャラいものだった。
しかも、集英社作品のアニメ化なので、予算もある程度ついているのではないのかと思わせられるのだが・・・「で、この作画なの? っていうクオエイティ」笑
主人公たちを描く線が、群衆シーンの「その他大勢キャラ」を描くくらいの熱量や技量で描かれているようなアニメに見えた。なんじゃこりゃ、と、思いつつ、今時の集英社の作品だから、1話だけでも見ておこう・・・と、思って見ているうちに、73話まできっちり見終えてしまった。
作画は結局、最終話までヘボいままだった。
しかし、かなり面白かった! 笑
2、自衛隊が異世界で活躍する話のアニメ
それから、現代の自衛隊が、剣と魔法のファンタジーな異世界に行って活躍する。英雄になる・・・という作品もなかなか面白かった。戦国自衛隊みたいだけど悲壮感はない楽しい作品。自衛隊イケイケ作品だ! 笑
これは、「自衛隊とその作品の関係」がどんなことになっているのか・・・と、思って興味を持って拝見した作品。「GATE 彼の地にて 自衛隊斯く、戦えり」というタイトル。そうか、こんなタイトルだったか。
GATEは、作画自体は割と終始しっかりレベルをキープしていた作品で、今回のヘボ作画アニメを並べる記事で挙げる作品に入れては失礼なのだけれど・・・でも、正直言って、絵的にはそんなに新規性や新鮮な要素もなくて・・・自衛隊の装備が3DCGで作られていて、割と良く活躍していたっていう印象の作品。
もしかしたら、この自衛隊メカのCG部分はもっと作り込めるのかもしれないなあ。大塚さんあたりのベテラン腕っこきメカ狂いアニメーターがいたなら、全部アナログで描いて、ルパン3世のカリオストロの城みたいなカーチェイスとかですね。そういうのをやっちゃったのかなあ・・・それに比べると、まあ、TVシリーズだしこんなものだよな・・・と、いうくらいの「中くらいのテンション」の作品でしたが、なんのかんのでこれも全24話を視聴完了。もっと見たかったなあ・・・と、思わせる読(視聴)後感。
3、逆に、最初めちゃくちゃ作画すごいのに、肝心のクライマックスに向けて低空飛行するアニメ
それら、絵がそんなに優れていない、あるいは基準以下でも、面白い! っていう作品がある一方で、「七つの大罪」。これ、シリーズ進んだ時の作画の崩れが・・・もう、ギリギリです。あと一歩で見なくなってレベルまで落ちる、もうギリギリまで下がる作品。
この、「七つの大罪」は、JRの渋谷駅に大きな看板が出ていたり、かなりプロモーションにもお金使っている感のある、いうならばビッグ・プロジェクトだったと思うのですが・・・。なんで、途中で失速したんだろう? 思うようにマーチャンダイズが伸びなくて、予算削られちゃったのか・・・はたまた、PTAからセクハラなのでは? ってクレームが入って予算削減対象になったのか。。。
ブタちゃんのキャラが衝撃的な、インパクトフルな作品なんですけどねえ。
そういう作品にも、お目にかかりました、ネットフリックスで。
4、「ゴールデンカムイ」
わたくし今、縄文に興味を持っていて。縄文はアイヌとの関係が深いと聞き、北海道のウポポイ村に行ってみたいなとか、そういえば、「太陽の王子 ホルス」もアイヌだったなとか。とにかくアイヌを勉強したかったんだけど、本もいっぱい出てて、どれを読めば良いか迷う中、アイヌがモチーフになっている「ゴールデン・カムイ」という漫画があり、それがアニメになっていると知る。
アイヌ関連のアニメを見よう! って、見始めたのが「ゴールデンカムイ」
カムイ、と言われると、僕の世代は、アニメ「カムイの剣」(1985)という角川のアクションアニメ映画が印象に強くて。(予告編しか見てない。本編は見てないんだけど。笑)
ケチャで始まるような音楽で殺陣シーンが始まる予告編。そういうキレキレのイメージで「ゴールデンカムイ」を見始めると・・・
「え、これがカムイ? 絵がヘボへぼ・・・」
っていう感じの作品で。
作画、一歩間違えると「カイジ」の漫画。ザワザワザワザワのあの、命がけのジャンケンしたりする、バクチ漫画のカイジです。あんな感じの絵になりそうでならなさそうで・・・みたいな作画で。
こりゃあかんな・・・と、思いつつ。でも、アイヌの勉強だから。。。と、見ているうちに。
これ、面白いぞ!
って、ことになりまして・・・。
見てます。笑
いや、面白い。かなり面白い!
そんなことで、映画を志したりして、映像メインでやっていると、周りとのバランスも見て、「ある程度のクオリティとか先進性斬新性みたいなものを持たせないと!」と、力んでしまうものですが・・・。
実は、映像作品って、映像だけ・絵だけでできていないんですね。
音も、音楽も、アニメなら声優さんもいたりして、そもそもの面白いプロット、ストーリー展開というもが大きな武器(当たり前を書いていますが)。
そんな基本を思い出させてくれた、ヘボ絵作品に感謝です。
だから、いい仲間が集まったら、臆せず作りだせ! 完璧を求めすぎてもあかんで! ってことですよね。映像作品に限らず、なんの仕事も、どんなプロジェクトでもそうなんだな、きっと。
アカデミー賞で「撮影賞」をもらえるような作品を・・・と、考えがちですが、作品を作る目的を考えると。。。いかに、世にインパクトを与えるか、という視点から言うと、作品発表のタイミングも大事だったりするから。
構想10年とか。寝かした長さを自慢している場合じゃないよねって。笑
そんなネフリ生活ありました。
<ガンダムの作画>
ふと思い出せば・・・年齢が10歳以上も若いプロデューサーと話すと、
原田「ガンダムは、やっぱりファーストなんだよ。ファーストなしでガンダム語って欲しくない、て言うか語れるはずはない」
若手「いや、わかるんですよ。原田さんの言ってることが正論なんですけど、でもやっぱあの作画・・・なにこれって思って見れんのですわ・・・」
ガンダムの最初のテレビシリーズだって、今見ると作画のひどさったらない。設定に近い絵の方が少ないと言えるだろう、メカも人物も。。。それでも、若者は熱狂した。
おしまい
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