コロナにおける右脳と左脳と半沢直樹
若い知事と古い市長
大阪の若い知事(45歳)が、「5人以上の会食をやめてくれ」と言った。5人に科学的根拠はないが、数字を出すことですべき行動が分かりやすくなる・数字を出すことで空気をピリッとさせることができる、と、その理由を言っていた。
なるほど。
(それに習って、私も、知事の年齢を調べて、具体的に示した)
名古屋の老練な市長(71歳)が、「とにかくどんちゃん騒ぎだけはやめてくれ」と言うメッセージを発して、飲み屋や大学も回ってお願いしてきたと言う。
それに対して、比較的若い方の部類に入るであろうコメンテータ(45歳)が言った。「どんちゃん騒ぎは人により定義が違う、大阪のように数字を出した方がわかりやすいのではないか?」と。
老練な市長はことばを失う(失ったように見えた)。『どんちゃん騒ぎをするな。このどこがわかりにくいのだろう?』と言いたげな様子に思えた。
どういう時にコロナ感染が起きるのか
「大阪知事の方が合理的で、良いメッセージを出している。さすが、第7世代、今時の若手政治家はスマートだ。それに比べてやっぱ年寄り政治家は、抽象的で、雰囲気だけだなあ・・・」くらいに一瞬思ってしまった。
しかし、老練な市長の話をよく聞いていると、市長の方が科学的で、世の中のためになる指針を出していることがわかってきた。
コロナウィルスは、空氣感染するようなイメージを様々なメディアが垂れ流しているがそうではない。飛沫感染が起きており、これを防ぐことが重要なのだ。
空氣感染するものなら、我々が使っているマスクぐらいでは役に立たない。マスクと顔の間から吐息はダダ漏れになるのだから。空気感染するなら、ギュウギュウの通勤電車ですでに感染が爆発しているはずだ。しかし、そのようなことは起きていない。
一方、コロナにおいては、大学生が酔っ払って大声で互いに話し、ツバキが飛び交って星雲状になってしまうような居酒屋の店内はまずい。これが、これが感染につながるのだ。
だから、4人いても、10人いても、20人いても、整然と食事だけをして、互いの接触に氣をつけて店を出るなら、感染はまず起こらない。
しかし、たった2人でも、大声で話してツバキを飛ばしあっていれば、感染が起きる可能性が高い。そうやって感染する2人連れが次々に相手を変えて、毎晩違う相手と騒いでいれば、感染は倍々と増えて行く。半沢直樹の世界へと誘われるのだ。3話、観ます!!
ポイントは、飛沫感染を起こすような、大声で話したりする場を持たないこと。つまり、どんちゃん騒ぎをしないこと! ここが重要ポイントだったのだ。
『5人以上』と『どんちゃん』は『デジタル』と『アナログ』
一般に、デジタルとアナログと、アナログの方が情報量が多い。デジタルは容易にするが浅い。デジタルは習得に多くの時間や労力を必要とする。
大阪府知事の5人以上NGの制約のもとでも、どんちゃん騒ぎをしていれば感染は広まり続けるのだ。人数が直接要因ではないから。
一方、名古屋市長のどんちゃん騒ぎをしなければ・・・と言う意識喚起の元では、多くの飲食店に客が足を運部ことができる。求められているのは、はしゃぎすぎる氣持ちの抑制とか自制心だからだ。
「5人以上NG」と、「どんちゃんを避ける」
「デジタル」と、「アナログ」
「左脳」と、「右脳」
「5人以上か(4人以下か)どうか」は、未就学児でもない限り簡単に判断ができる。汚いことばを使えば、「バカでもわかる指標」・「ガキ相手の指標」だ。
「どんちゃん騒ぎをしない」は、5人云々よりも柔らかく柔軟な指標で、センスとか自制心とか、人間としての成熟度を求められる。いろいろな状況を総合的に判断する。自分たちの行なっていることが「どんちゃん騒ぎをしない」という趣旨にかなっているかどうか・・・大声で喋ってはいないけど、風船をたくさんふくらますから飛沫が飛んでいるかも・・・とか。とにかく、その場その場で臨機応変に考えることができる知性、インテリジェンスが必要だ。
大騒ぎしている酔っ払いに「どんちゃん騒ぎはやめなさいよ」と言えば、「俺たちのどこがどんちゃん騒ぎなんだよ。どんちゃん騒ぎなんかしてねえよ!」と、絡んでくるかもしれない。汚いことばを許していただいて、あえて言うなら「馬鹿がどんちゃん騒ぎをする」のだ。
『5人』という指標は、どんどん生活がしにくくなる。5人で感染が減らなければ、4人、3人、2人、と、数字を下げていくしか無くなる。
科学的根拠がある5人という数字ではないわけだが、数字が具体的に出ている以上、6人で静かに食事という計画はNGになる。野球チームの監督が「俺がおごるから帰りに飯でも食って帰ろう、この折だから静かにな」といっても、ナインは2組以上に分かれて別の場所に行くしかない。5以上だと世間の目が痛いからだ。では、もう帰ろうか・・・と、自宅に向かうことになる。
分岐点なんだな
もちろん、人間というものは、人数が多い方がテンションが上がって、人と人の距離も遠くなり、勢い声もでかくなる・・・ということが予想されるので人数を制限するのにも理がないとは言わない。でも逆に、4人以下だからとその4人や3人の集団がどんちゃん騒ぎをして飛沫を飛ばしまくれば、感染につながる。
でも老練な市長の方が、コロナ対策の本質を捉えており「感染抑止」と「経済も回す」の両立を可能にできる指針を出している、と分かった。
某テレ朝のワイドショーで見かけた1シーンだったが、今の日本の現状を考えさせられる、とってもわかり易いやりとりだった。
我々社会が、自分たちはバカで低レベルであるということを容認して、バカの集まりゆえに規制を厳しくすることで窮屈な社会にするか、精神性を高めて(理性的・自制的な力も持ち)、柔軟で優しさがベースにある心情社会にするか。そういう分岐点にいるのだなと思いもすた。薩摩藩。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?