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有名アーティストは音楽制作ソフトをどう扱うか - Logic Pro編

はじめに

こんにちは、Minimal Order(ミニマル・オーダー)です。日頃はAbleton LiveやFenderのエレアコ、Spliceなどを用いて音楽を制作しています。仕上がった音源は、SpotifyApple Musicなどに公開しています。(23/10/07更新)

さて今回は、前回に引き続き日頃参考にさせてもらっている魅力的なアーティストたちが、どのような制作環境・制作ソフトで音楽を作っているのかをチェックしてみました。特に、制作ソフトの方に焦点を当ててまとめています。今回はAppleのDAW、Logic Pro (Logic Pro X)

そして今回登場するアーティストは以下の目次に記載の通りです。


今回も、ピックアップしたアーティストたちは、完全に個人的な好みかつ、偶然動画を見つけたという「運」に拠ります。それでは以下より、本編です。

Logic Proユーザーのアーティストたち

■ Finneas and Billie Eilish

アルバム"WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?"が世界的大ヒットとなった兄妹デュオ。いまや若者のスターとなった妹のBillie Eilishを楽曲制作で支えるのが兄のFinneas

いくつかの動画で確認できたのは、兄FinneasがLogic Proユーザーであり、BIllieのボーカル収録や曲の編集に深く関わっているということ。以下のRolling StoneのYouTubeチャンネルでは、ヒット曲"Bad Guy"の制作過程についてLogic Proの画面を開いて解説しています。

冒頭から驚かされたのは、楽曲にはBillieの作ったベースやハイハットなどの部品も反映されているというところ。
また、多くのアーティストが用いている音のチューニング(ピッチがずれていた場合に補正する機能)も使わないと言います。ちょっとしたズレや違和感を、"ありのままであること"、"ナチュラルであること"と肯定的に捉えて採用するのでしょう。

また、ボーカルパート(囁き声)の解説をしながら、(例えかもしれませんが)約800の異なるバージョンを試行錯誤しながら良いものを探していったことにも言及しています。このあたりの「勇敢に案をボツにしていく姿勢」初回記事のMura Masaのそれに通じます。第一線のアーティストだからといって一発OK録りばかりではなく、ストイックなトライアンドエラーを繰り返すんですね。動画の終盤で触れられている、楽曲内の"duhhh"というたったの一言も35テイクしています。

また、AWALというレーベルによる兄、Finneasへのインタビュー動画も、制作風景を取材しており合わせて参考になるかと思います。


■ Jacob Collier

次は、BLUE NOTE TOKYOなどでの来日公演歴もあるロンドンのアーティストJacob Collier。ヴォーカル、ピアノ、ベース、パーカッション、キーボードなど多種多様な楽器を一人でリアルタイムで重ねていくスタイルでも有名です。

彼が登場する動画の中でも、USの名門音楽大学Berklee College of Musicでのゲスト講演は彼の音楽観を伺い知ることのできるものの一つです。特に、音楽理論に一定の理解がある方はしっかりと楽しめる内容かと思います。(残念ながら私はわかりませんが!笑)

*動画が消えているようですね

彼の発言を聞くたびに感じるのは、楽理を単なる論理的に書き溜められた冷たいものと捉えるのではなく、徹底的に音や音の束(コードやその進行)を楽しそうに比喩で形容または擬人化しているところです。

音(特に、コードやスケール)に感じるものを徹底的に言葉にしておくことが彼の楽理の理解を深め、制作時の武器としても活きているのかもしれません。

上記動画が消えていたので、代わりに楽曲"Moon River"の制作プロセス解説動画を掲載しておきます。

■ Jordan Rakei

Jacob同様にロンドンを拠点に活動するアーティストJordan RakeiもYouTubeにてLogic Proでの制作風景を公開してします。
実は、アーティストのLogic Proでの制作プロセスを知りたいと考える方に一番オススメしたいのが彼の動画です。

特に、Covid-19による世界的外出自粛の中で、彼がYouTube上で始めたプロジェクト"A Song From Nothing"では、文字通りまっさらな状態から一曲を仕上げるまでが丁寧に解説されています。

制作中に登場する"Splice"は、商用利用できる膨大な量の音源(サンプル)を検索・使用できるアプリケーションで、シームレスにあらゆるDAWと併用することができます。

同サビースにはアーティストからアマチュアまで、様々な音楽好きがオリジナルの音のサンプルをアップロードしており、ユーザーはサブスクリプション形式(1,000円/月くらい)で利用できます。ある程度DAW経験のある方には、曲への新たなスパイスを追加するという意味でおすすめのサービスです。

■ Kygo

トロピカル・ハウスの立役者として有名なノルウェーの好青年Kygo。オリジナル楽曲の登場よりも前に、様々なアーティストを"Kygo Remix"することでSoundCloud上で爆発的にヒットしました。
オリジナル・アルバムリリース以降の近年も他のアーティストの楽曲をリミックス、援用するアプローチは続いており、以下にご紹介するホイットニー・ヒューストンの楽曲"Higher Love"のリミックスもその一つです。

画面こそ鮮明にみることはできませんが、Logic Pro Xであることは伺えます。特に、ホイットニーのボーカルをどのようにカットアップ(細分化)し、鍵盤に当てはめ、キャッチーなフレーズを探したかというプロセスはどのDAWユーザーでも参考になるパートかと思います。

ちなみに実際の楽曲はこちら

■ Tom Misch

近年では星野源とのコラボレーションでも知られる(これまた)ロンドンのアーティストTom MischもLogic Proユーザーです。Rolling Stone Japanの対談記事でも"Logic・エブリデイだよ!"と答えています。同記事ではAbleton Liveを試し始めたことにも言及しているので、もしかしたら今後は彼がAbletonを使用した楽曲も登場するかもしれません。

Abletonの回でMura Masaが参加していたMass AppealのRhythm Rouletteで、彼のLogic Pro使用風景を伺い知る事ができます。

レコ屋で目隠しをして選んだLP数枚と、スタジオの楽器を用いてビートを構築していく様は、楽器を積極的に使用されるトラックメーカーの皆さんに参考になることでしょう。

他にも、FACT MagazineのAgainst The Clockにて10分間での楽曲制作に挑戦しています。

■ Disclosure

現代のハウスミュージックを語るには欠かせない兄弟がDisclosure。彼らの世界的認知度を爆発的に上げたのがSam Smithをボーカルに迎えた楽曲"Latch"でした。

そんな傑作"Latch"ですが、こちらもまたLogicで作られた作品。兄ガイ・ローレンスは"Latch"の楽曲解説動画で、

「スゴイなギアなにも使っていない。ディレイもリバーブもコンプッサーもLogic。ヒット曲をつくるのにスゴイプラグインは必ずしも必要ではない」

How we made Latch / Disclosure https://youtu.be/u-0Q41XB7U4?si=lALRDE9ttP7xW4Kv
より抄訳

と言い切っています。いや、かっこよすぎだろ。。。
Twitchでの"Latch"解説からの抜粋動画がこちら。


さいごに

今回はLogic Proの使用が確認できたアーティストを抜粋してご紹介しました。ここまで読んでくださってありがとうございました。


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