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「電話対応なんて誰でもできる」と思っていた

社会人最初の試練

僕の会社は、新卒が電話対応することになっている。電話対応というと、新卒が社会人になって最初にぶつかる壁である。会社の事を何も知らない状態で電話を取らなければいけないのは、いくらなんでも無茶ぶりすぎると思っていた。

電話が鳴ると、他の新卒とけん制し合いながらも、2コール以内に取らないといけないので、しぶしぶ受話器を取る。「お電話ありがとうございます。株式会社○○でございます。」緊張しながら対応する。

入社初日に1時間ほど電話研修を受け、いろいろなパターンを練習した。しかし、いざ電話に出てみるとテンパってしまい、上手く対応できない。いつしか、「確認いたしますので、少々お待ちくださいませ。」が僕の得意技になった。

鳴り続ける電話のコール音

入社から数か月たち、電話にも慣れてきたころのことである。僕が電話対応している最中に、別の電話が鳴った。昼休憩の時間であったこともあり、同じフロアには僕の他に、中途入社の社員が数名いるだけだった。

いくら僕でも、電話対応の二刀流はムリだ。聖徳太子や大谷翔平レベルでないと、厳しいだろう。「誰か出てくれるだろう」と思いながら、自分の電話対応を続けていたが、一向に誰も出る気配がない。

別の電話の対応をしている僕が、なぜか焦り始める。電話は鳴り続け、7コール目が鳴り終わったところで、ベテランの社員が戻ってきて電話に出てくれた。

「出ない」のではなく、「出れない」のではないか?

僕は、電話に出てくれなかった数名の中途社員に対して、「出てくれよ!」と内心怒っていた。

しかし、冷静になって考えてみると、「めんどくさくて出なかった」のではなく、「どう対応すればいいか分からないので出られなかった」のではないか、と思い始めた。

電話対応という仕事は、自分の倍以上の給料をもらっている中途社員でもできない、レベルの高い仕事なのではないか。と。

電話対応は高度なスキルを要する

毎日10件以上の電話対応をしていると、だんだんと慣れてくるが、会社には様々な内容の電話がかかってくる。

・新規顧客からの問い合わせ
・既存顧客からの相談
・クレーム
・営業電話
・ヘッドハンティング
パッと思いつくだけでもこれだけの種類がある。「既存顧客からの相談」とひとくくりにしたが、相談のバリエーションは無限だ。

用件を聞いて折り返すだけなら機械でもできるが、1件1件の電話に素早く対応するためには、会社の事を幅広く知っている必要がある。

当然、僕であっても全ての問い合わせに即答できるわけではないが、分からない内容であっても、「この内容はこの人に聞けば分かるな」ということは瞬時に判断できる。

このスキルは今の会社でしか通用しないので市場価値は低いが、電話対応は、自社に限って言えばかなり高度なスキルを要する仕事なのではないか。そうに違いない。

明日この理論を持って給料アップの交渉に行く予定だ。

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