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【minifilm】一行目を決めて原稿用紙一枚分の小説を書いてみよう!#4【YouTube企画】

どうもminifilmです。
今回は映画制作グループとして脚本の質の向上を目指し、YouTubeで行った企画『一行目を決めて原稿用紙一枚分の小説を書いてみよう』で執筆いたしました小説をご紹介いたします。

ルール

①二人がそれぞれが一本ずつ小説を書き上げる。
②書き出しの一行目を同じ文にする。
③原稿用紙一枚分400文字以内(カギカッコ、句読点等も1文字としてカウント)で書く。

今回の一行目(お題)

〝目を覚ますと、知らないところにいた〟

高橋の作品

目を覚ますと、知らないところにいた。
そう思えるくらい、彼は日によって気分の違う人だ。同じ景色でも、どの彼かによって、世界は全く違うものに感じられた。すごく良い日もあるし、最低な日もあるけれど、そんな占いみたいな毎日にどこかドキドキしているのかもしれない。最低な彼に疲れた後には最高の彼が癒してくれるところに、心がくすぐられているのかもしれない。友だちからはそんな関係やめなよって止められてるし、私自身その方が良いと思っているけれど、その決心はついていない。彼には私が必要な気がして、私は存在意義を持てる気がするからだ。隣で寝ている彼、彼の吐息、妙にこだわって選んでいた机、そこに置いてある私が五年前にプレゼントした財布。今日はどんな風に見えるんだろう。きっとまた、全然違う景色になるんだ。でも、キラキラしていてほしい。愛おしくあってほしい。だから目を覚まさないで。私を夢から、起こさないでほしいの。

櫻井の作品

目を覚ますと、知らないところにいた。
だが、男は動じることなく、胸ポケットの煙草を取り出し火をつけた。そこは木の壁に四方を覆われている狭い空間。普通の人間であれば発狂しそうな場所ではあるが、戦争を経験し、長く生きてきたこの男には関係なかった。
そこは毎日、頼んでもいないのに食事も出てくるし、夜には酒が振舞われ、煙草も無くなれば補充される。おまけに良い香りも漂っていた。男には願ってもない場所だ。
男はあっけらかんとこう呟いた。
「知らない場所も、長く居れば知っている場所。そして世の中には知らないほうが幸せなことも沢山あるのだ」
今日も男は「がっはっは」と笑いながら、狭い空間で煙草をふかしている。

そんなように、男がご機嫌でいる頃、その狭い空間に外から手を合わせ、涙ながらに語りかける老婆がいた。
「あっちでうまくやれてるかしら。あなた、変わり者だから」

〝知らぬが仏〟とはよく言ったものだ。

YouTube動画

こちらの企画の詳細、二人の感想、解説、総評等はYouTubeにてご覧いただけます。
是非そちらもご覧くださいませ!


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