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完膚なきまでに叩きつぶされたのはミュウだと思う

これはわたしの大好きな作品である。出会って何年目なのかもうわからないが、おそらく5年以上にはなる。5年以上繰り返し読んで、つい最近、あれ?なんかおかしくないか?と思った。

物語の冒頭、「すみれは竜巻のような激しい恋」に落ちた、とある。「行く手のかたちあるものを残らずなぎ倒し、片端から空に巻き上げ、理不尽に引きちぎり、完膚なきまでに叩きつぶした」、と。
「ぼく」とミュウもまた「竜巻」に巻き込まれたとわたしは読む。すみれは生命の象徴だと思う。そのすみれが一旦姿を消す。しかしすみれは生命の力強さを失わずに「こちら」に戻ってくる。
何もかも失ってしまうのはミュウだ。
わたしはここに物語上の矛盾を感じる。
「ぼく」には明るい未来がありそうな様子が描かれている。「ぼく」とすみれだけが躍動する生命を手に入れ、ミュウ一人が「ぬけがら」になってしまった。「ぬけがら」としてのミュウの描写は美しい。しかし冒頭の記述と矛盾してないか?

なーんか、まだわからなーい

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