虫退治はハリーポッターの気分で
お店に上司が来た。
私の仕事ぶりを見に来たのだ。
お店はキレイか・ちゃんと研修しているのか
接客は問題ないかなどなど……。
彼女は私の1つ下の後輩にあたるけど、
仕事はめちゃくちゃできるスーパーウーマン。
私が音を上げて辞めてしまった店長の一個上の役職(エリアマネージャーみたいな)をこなしている。
ちゃっちゃっとこなしていたはずの彼女が
バックヤードからひょこっと顔を出してひとこと。
殺虫剤、ありますか?
虫が出たのか。
えっとあったかなぁ……
普通にティッシュで退治しちゃう系店長の私は
殺虫剤を探して彼女に渡すも、使えなくなっていた。
「どこにいるの?踏み潰してあげるよ」
と私は言った。
虫たちにとって、私たち人間はゴジラだ。
毒を持ってない限り、負けるはずがない
と考えている。
「いやぁ、踏み潰すのは無理かと……
こっちです。」と指差す方を見た。
………??…!!!?!!
悲鳴こそ上げなかったものの、
私の考えていたクモではなく、ビックリした。
黄みがかった茶色の体に、
足が目立つタイプで、体に産毛生えてる系。
手のひらまではいかないけど、なかなかの大きさ。
ハリーポッターに出てくるクモではないか……!
確かに踏み潰せないなぁ…。
足の届かない所へ逃げてるし…。
とりあえずほうきで叩いてみることにした。
すると足が速い速い、逃げる逃げる。
私の後ろで研修中の女性社員が悲鳴を上げた。
悲鳴の方がビビるからやめてくれ……。
そう思いながら別の案を考えていた。
私はちりとりも持って、
ちりとりとほうきで挟む作戦に出た。
途中私の靴の上を通って逃げてもお構いなし。
箱やケースをどかしながら捕まえた。
ちりとりとほうきの間で暴れるクモさん。
普段なら完膚なきまでに潰してしまうんだけど、
潰そうとした瞬間にまた逃げられても困るし……
よし、逃してあげよう。
クモさんを挟んだまま、私は外へ行き、
歩いて、歩いて、植物が生えているところへ。
そこへクモさんを開放した。
じゃあね、クモさん。
私はお店に戻る。
戻りながら思ったこと、
虫退治は誰かがやらないと仕方がない。
今回お店にいたのは、
店長の私・様子を見に来た上司・研修中の社員と
女性3人だった。
とはいえ、クモが出た瞬間に3人全員が
ぎゃあぎゃあ言っていても何も解決しない。
殺虫剤なり掃除機なりで誰かがやらないといけないのだ。
そして、ハリーポッター 賢者の石で
ロンがハリーに言う名ゼリフを思い出した。
ハリー、君が先に進まなきゃいけない。
僕でもハーマイオニーでもなく君だ。
女3人の家族でも虫退治をしがちな私。
なんでまた私が……と思う日もなくはない。
その時は、英雄のハリーポッターになった気分で
虫退治しよっと。
P.S.私が休みで別の人が入ってもいいように、
クモさん退治後、殺虫剤を買って
目立つところに置きました。
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