学習成果の社会的評価

(1)生涯学習社会の意義と現状について説明しなさい
「人々が、生涯のいつでも、自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が社会において適切に評価される」社会を「生涯学習社会」と定義した。後段の「その成果」(=学習の)が「適切に評価される」社会の構築という点では、現在に至るまで、効果的な政策は立案されていない。その主な理由は、これをアジェンダとする政策は、評価行為に関わる仕組みの構築だけでは、政策として成り立たないものだからである。個人や企業が学習の成果に対する評価内容を支持する(尊重する)といったことにまでならなければ、社会的に意味のある評価にはならないということである。

(2)国際的に競争的環境が醸成されてくることの影響を説明しなさい
近年のグローバリゼーションの進展の下で、知識基盤社会が急速に進展している。
こうした社会の変化の中で、国境を超えたヒト・モノ・情報のモビリティ(移動性)が高まりつつあり、社会の多くの分野で競争的環境が醸成されつつある。
このような動向は、高等教育段階から成人教育/職業教育段階に至る人材育成のステージをグローバルに拡大し、国家・地域の枠組みを超えた教育訓練の機会の増加とともに、学習成果の評価を行うための国際的レベルでの共通枠組み構築に大きな影響を与えている。

(3)キャリア・アンカーとは何か
グローバル化と知識基盤社会化の波は日本にも押し寄せてきており、日本社会に大きな影響を与えている。その動きを一言でいえば、様々な分野で競争的環境が醸成されつつあり、その規模は、国内のみならず、国際的にも広がっている。そうした中で、自らのキャリアを広げ高める努力が必要である。競争的環境の醸成は、自らの切磋琢磨を要求する。そこには、職業上必要な知識や技術のブラッシュ・アップはもとより、ボランティア活動の実践なども含まれる。ボランティア活動は、自らの人生を豊かにする大切な「キャリア」なのである。キャリアは、自分を高めることによって獲得するものである。キャリアとは、自分を高めるとともに、社会的要請に自分を合わせつつ、より良い方向に社会を改革することで、形成されるものであるといえる。
自らのキャリアを選択する際にどうしても手放したくない大切な価値観や欲求のことを「キャリア・アンカー」と呼び、それを8つに分類した。自己のやりたいことを心理学的に分析・類型化したものであり、「能力」のありようとは直接関係がない。自己のやりたいことを明らかにして目標を設定し、それに向かって学習する(「能力」を向上させる)ことが何よりも重要であることを示している。

<参考文献>
笹井宏益・中村香『生涯学習のイノベーション』玉川大学出版部,2013

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