学校・家庭・地域の連携協力

(1)学校・家庭・地域の連携協力が推進されるようになった背景は何か
①この条文の社会的背景としては、ネットワーク型による課題解決が求められてきているという事情がある。
学校、家庭および地域において子どもの成長発達に関して問題が生じているという指摘は、かなり前からされてきた。子どもの「生きる力」の育成にとって、家庭や地域での諸活動が重要であるとの認識が示されており、家庭や地域が一定の教育機能を持ち、かつそれらが、子どもにとって不可欠なものであることが示されている。
②現在、学校の教員は多忙を極め、教科指導や生徒指導に勢力を注げなくなっている。また、本来子どもたちの成長プロセスを支援すべき教育活動が、経済発展中心の思想や政策の影響もあり、「結果重視」へとシフトしてきており、もはや教員も生徒も「試行錯誤」が許されないふんにきになっている。教員の負担感や閉塞感は極限に達しているといっても過言ではない。
③これまで述べたようなボランティア活動や新活動の興隆が挙げられる。学校をはじめとする教育分野でのボランティア活動は、教育機能という側面と教育支援機能という側面の両方を内包する。しかも、その活動の中から得られる価値は、他の活動では得られない貴重なものである。それゆえ、学校の教員や生徒、そして地域社会が疲弊しているとすれば、ボランティア活動の導入こそが、それを打開する鍵となるのである。ボランティア活動を体現することによって、学校の生徒、教員、そして活動者自身の意識や行動が変容してくるのみならず、学校や地域の仕組みすらも変わってくるのであり、個人・組織・社会のイノベーションにもつながるのである。

(2)学校・家庭・地域の連携協力に関する3つの政策とは何か
①学社連携・融合の推進(具現化できず)
②放課後子どもプラン(量的にはかなり普及・定着)
③学校支援地域本部事業 今後、こうした定着していくかは、地域の自治体や関係者の努力にかかっているといえる。

(3)「学びあうコミュニティ」とは何か
社会教育が、公民館主事や社会教育指導員などの社会教育関係職員、保健師や社会福祉士など地域の福祉・文化の関係職員など、いわば「人と人とをつなぎ調整する人たち」の活躍によって支えられ拡充してきたことを踏まえ、コーディネーション機能の重要性に着目したものである。また、人と人との結びつきの中に、そうしたコーディネーション機能がダイナミックに展開し、価値創造的な活動が生成されていく関係性を「学びあうコミュニティ」と呼び、社会教育を推進する主体として、各地域で展開されてきたことが明らかにされている。その典型的なものは、住民同士による学習グループである。
このような諸活動を支えリードしてきたのが、各グループやネットワークの中にいるコーディネーターである。それは、社会教育の関係者でいえば、公民館主事や社会教育指導員などの社会教育関係職員のことであり、学校と学校支援ボランティアをつなぐ「学校・地域コーディネーター」もまた、ここでいうコーディネーターに当たるのである。

<参考文献>
笹井宏益・中村香『生涯学習のイノベーション』玉川大学出版部,2013

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