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翻訳はタダで学べ! 無料・格安で学ぶ方法

断言します。翻訳はタダで学べます。特に初心者の方には、まずは無料・格安で学ぶことをお勧めします。いきなり数十万円の講座を受けるのはやめましょう。

この記事では、米国翻訳者協会認定英日翻訳者であり、日本翻訳者協会詐欺まがい講座対策委員会の委員長である私が、翻訳を無料・格安で学べる方法をご紹介します。なお、私は英日翻訳者であるため、どうしても話が英語の翻訳に偏ってしまいます。その点はご理解ください。


まずは無料で学ぼう

あなたは「価値あるものにはお金がかかる」と思っていませんか?

でも空気や太陽は基本的にタダです。生きるために欠かせない価値あるものですが、基本的にお金を払う必要はありません。もちろん、きれいな空気を維持するために社会が払っているコストというのはあるでしょうが、私が言いたいのはお金をかけずに価値あるものが得られることもある、ということなのです。

特に学習を始めたばかりの方が、数十万円の講座や教材にお金をかけるのはやめた方がいいです。最近は、英語力がなくても翻訳で稼げるようになるなどと派手に宣伝する「詐欺まがい講座」がはびこっており、大量の被害者が発生しています。(このような講座でお困りの方は、日本翻訳者協会・詐欺まがい講座対策委員会 sagimagai@jat.org にご相談ください。)

もちろん、お金をかけて得られるものはあります。しかしまずは無料で学べるものから手をつけましょう。買い物に出かけるのは、空気を吸ってからでもいいではないですか。

無料公開されている原文と訳文を比較する

優れた原文と、しっかりした訳文を比較する。これぞ翻訳学習の王道です。原文が難なく読める程度の語学力があれば、まずはこの方法を試しましょう。

古典と呼ばれる本は著作権が切れているので、その多くが無料で公開されています。そういったものの中から翻訳本が出ているものを探して図書館で借りればいいのです。

たとえば不思議の国のアリス(Alice's Adventures in Wonderland)などは翻訳も大量にあります。というか訳文を無料で公開している方までいらっしゃいます。あるいは、ジョージ・オーウェルの「1984」などはどうでしょうか? YouVersionで聖書の日本語訳と英語訳を並べて読めば、英語も聖書知識も身につきます。聖書は多言語に翻訳されているので、ドイツ語やスペイン語などの学習者にも有益ですね。もっとも、聖書の原文はギリシャ語とヘブライ語なので、厳密に言えば対訳ではありませんが。プロジェクト・グーテンベルクでは、著作権の切れた書籍7万冊以上が無料で公開されています。

産業翻訳者になりたければ、多国籍企業で日本語もあるサイトが山ほど見つかります。ウェブサイトだけでなく、マニュアルやIR資料なども役立つでしょう。こういうものの原文と訳文を並べて比べてみたり、まずは自分が訳してから公開されている訳文と比較したりすればいいのです。ただし、もちろん機械翻訳されたサイトは避けてください。

テキストも無料で手に入れる

実践に入る前に、翻訳の方法などが書かれたテキストがほしいという方もいるでしょう。この場合も立ち読みで済ますとか、図書館で借りるとかいう手段があります。ちなみにカーリルでは、全国の図書館にある本を検索できます。大学によっては、図書館を市民に開放しているところもあります。

「いや借りるんじゃなくて手に入れたいんだ」という方、とりあえず仁平和夫『翻訳のコツ』などはいかがでしょう? こんなクオリティーのものが無料で手に入るのは驚きですね。この『翻訳のコツ』を含め、翻訳通信にはためになる情報が大量に掲載されています。また、「英文教室」を主宰する柴田耕太郎さんも「自習用ページ」で有用なコンテンツを無料公開しています。

英文法を無料で復習する

翻訳そのものを勉強するにはまだまだ実力が足りない、まずは英文法を学び直したいという方もいらっしゃるでしょう。その場合は大学受験用のリソースを活用してみてはいかがでしょうか。たとえばMorite2 English Channelなど、無料で学ぶ方法は山ほどあります。

中学、高校時代のテキストが残っているなら、それを引っ張り出してみるのもいいかもしれません。

コミュニティに無料で参加する

Facebookの在宅翻訳コミュニティは参加無料。メンバー数は5000人を超えており、有用な情報交換が行われています。また、X(旧Twitter)のアカウントを作って翻訳者をフォローしてみるというのもいいかもしれません。

ちょっとだけお金をかけてみる

ここまで大量の無料リソースを紹介してきました。しかし、有料のサービスが存在するのにもそれなりの理由があります。ということで、有料部分ではちょっとだけお金がかかるけれども有益なリソースをご紹介しましょう。

有料部分で取り上げるのは、プロの翻訳者になるためにお勧めの本(300円~)、翻訳に関する動画を格安(9,800円~)で大量に見られる方法、翻訳学校・講座についての考察です。いずれも、あくまで初心者向けの内容であり、プロならば既知の内容です。また、特定の翻訳学校・講座についても紹介していません。その点はご了承ください。

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