良いベジタリアン、悪いベジタリアン

"肉が好きなの、話題を変えてよ" -テキサス・チェーンソー冒頭より-

 至極まっとうである。人類は、文化を得てから長らく、動物を主たる蛋白源としてきた。

 何かというと、好きでやってんなら別にいいんだけど、それを他人に押し付けんじゃねえよって話。

 私は普段ニュージーランドのしがない日本食レストラン、もっと言えばラーメンをメインに出しているレストランのウェイターなわけだが、本稿のタイトルのように感じるときが”時たま”あるわけである。

 大抵のあっちの人は、”肉だけは食べない”とか”魚は食べる”とか”スープのストックとして使っている豚と鶏は気にしない”とかなわけで、そういうライトな感じであればこちらとしても対応のしがいがある。ラーメンなら焼豚と煮玉子抜いてその分多めに他の野菜入れたら同じ価格で提供できるし、ラーメン以外にもかき揚げ添えた焼きそば(焼きそばソース=野菜とかのウスターソース的なやつね)とか、かき揚げ丼とかいくらでも提供できるメニューがあるわけ。

 でも、ガチのヴィーガンでたまにいるのが、こちとらちゃんと説明してラーメンは全部ポークとチキンのストック(ダシ)だよって言ってんのに”味噌も?””塩も?”って聞いてくるやつ。例外はないんだっつうの。で、ストックもそういうの使ってないのだとものすごく限られるわけだけど、それを説明するとものすごくガッカリされる現象。味噌汁ですらカツオとか魚介なわけだし。マジ腹たつよね。

 だってさ、あいつら別に好きでやってるわけでしょ?ひと目見て”あ、敬虔なムスリムですな”って人とかには逐一説明して食うべきものじゃないものを食わせないようにするけど、いちカジュアルレストランのウェイターからしたら、”欧米人のナリでヴィーガン”みたいな人は色々基準があるんでどこまでダメか全然わかりましぇん。それでマジモンのヴィーガンとかだと食わせるもんほとんどありません。で、それをこちとらちゃんと詳細に説明した挙げ句なんでお前らががっかりすんの?なんで”ジャパニーズレストランなのにヴィーガン料理が全然ないなんてありえない”って顔するわけ?お前ら好きでやってんじゃん?って話なわけです。

 何かというと。私自身大学時代、様々なものに感化されていたわけで、そのうちのひとつにヴィーガンになるという出来事があったわけです。ヒッピー文化とかそういうのね。

 で、やってみたんだけど、全然ダメなわけ。

 何がダメかって言うと、私はもともと太りにくい体質なわけですよ。今現在わけあってニュージーランドから日本に一時帰国してるんですけど、立ち仕事してその分食ってたニュージーランドにいた頃より、なんにもしないでダラダラしている日本での生活に浸ってから一週間もしないで体重が2キロ落ちました。28歳男子身長164cmで46.5kgでございます。それは何かというと、筋肉が落ちたわけでありますね。

 私のように放っておいたら体重が減る、という体質の人間にありがちなのは、筋肉の維持が難しい、ということが結構な割合であると実感しております。私自身そうで、ヴィーガン生活なんてした日にゃ体脂肪率9%以下、骨と皮だけになるわけですよ。そして尚且、生命維持に必要な最低限のカロリーしか摂取できないわけでありますから、常日頃から何かとイライラしたりするわけであります。

 要はそういうことで、自分はそういう人を見て相手にするのは非常に難儀なことに感じるわけです。だって、止めたらいいんだもん。

 だから、この記事を読んだ人で(ファッションとかそういう)無理にヴィーガン、ベジタリアン、グルテンフリー、ミートファースト(笑)、ヴェジファースト、その他諸々の本望じゃない食事制限をしている人がいれば、今すぐやめて好きなもん”適度に(ここ大事ね)”食ったほうがいいと思いますよ。じゃなかったら三食納豆と豆腐でどうにかしろ。豆腐ハンバーグとか食うんだったら普通のハンバーグ食え。だって、そうしたほうが遥かにストレスフリーなんだもん、という話でした。かしこ。

 

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