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密やかなしあわせ

昨日から職場に行く途中に出現した、クリスマスツリー。

まだ11月だし、と思いながらも、立ち止まらず横目で見ながら私は幸せな気持ちになる。

子供の頃、家にはクリスマスツリーはなかったので、幼馴染みの家の大きなクリスマスツリーがうらやましかった。特に、赤や緑や青にぴかりぴかりと点滅する電飾が綺麗でいくら見ても見飽きなかった。(ちなみにこの友達の父親は、この頃既に大きな会社の課長さんだったから殊更豪華だったのかもしれないけど)

夜、2軒隣の窓越しに浮かびあがるツリーの灯りを見ながら、幸せってあんな感じなんだろうと子供心にぼんやりと感じていた。

母親はツリーこそ買わなかったが、壁に緑のテープでクリスマスツリーを形作り、金銀の折り紙で星を貼って、クリスマスにはチキンとケーキのごちそうが食卓にあがり、プレゼントも貰えて充分過ぎるほど幸せだったのだが。

思えば、クリスマスツリーのゆっくりとした点滅を見つめながら、美しい程に物悲しさを感じていた。それは、夜空の星の凛とした瞬きや、誰も居ない草原に風が渡っている様を見つめた時の感覚に似ている。

だから、家にちっちゃなクリスマスツリーでいいから、てっぺんにでっかいお星さま、色鮮やかなイルミネーションを飾ること。それは昔からの私の憧れだった。

と、ふと子供の様子を見ると、グラスにティッシュを詰めれるだけ詰めて、アンパンマンの磁石スタンプを差し込み、その上に自分の水筒から水をポタポタ落としているではないか。あたりには白いティッシュが散乱している。どうやらパフェを作ってるらしい。そのアイデアにはいつも脱帽だ。「うまいっ!」…どこでそんな言い方を覚えたんだ。


この子は私とは違う。

おそらくだか、ぼんやりとツリーの光を見てるより、賑やかな所でケーキとプレゼントのおもちゃを貰う方が好きな気がする。(私もそれは好きだったけど)

ツリーなどあれば、間違いなくおもちゃになって翌日には壊されるであろう(笑


やはり、クリスマスツリーは子供が寝入ってから静寂の中ひっそりと愉しむものかもしれない。

けど、私の今一番のしあわせは布団の中で子供とくっついて眠ることだ。





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