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【第6回】主役は降板…それでも、海外ドラマを最後まで見続ける理由

海外ドラマファンのためのマガジン第6回】

海外ドラマは、好評なほどシーズンが更新されていくので、10年以上続くドラマも存在します。一般的に、5シーズンを超えるドラマを、「長く続くドラマ」と呼んでいると思います。

シーズンが長く続いていくと、ドラマとの付き合いも長期に渡ることになります。そうなると視聴者として、いつまでドラマを見続けるのかという決断をしなければならない日がやってきます。

マガジンの第2回「海外ドラマを見ずして、エンタメは語れない」に、
とある博士候補生@毎日更新さんが

「スーパーナチュラルを見ているのですが、これも非常に長くて何というか惰性で見ているというか何というか・・・(笑)。」

というコメントを寄せてくれました。この気持ち、海外ドラマファンの方々ならば共感できるものですよね。

今回は、この「惰性でドラマを見続ける」理由について考えてみました。

私自身が、15年間にわたって見続けている『クリミナル・マインドFBI行動分析課』(2005-2020)の例を挙げて、考えていきます。

『クリミナル・マインドFBI行動分析課』(以下『クリマイ』)は、FBIの中でプロファイリングを担当するエリートチーム、行動分析課(BAU)のメンバーが活躍する犯罪捜査ドラマで、日本でも大ヒットしています。

番組の詳しい説明については、今後の記事でとりあげるとして、ここでは、15年間の間で私が見るのを辞めようと思った2度の決断ポイントについて考えてみました。

離脱しようと思ったポイント①主演(級)の俳優が降板する

長期的に続くドラマの場合、だいたいシーズン5くらいになると、主演級俳優たちの中から番組を降板する人が現れます。
お気に入りのキャラクターを演じている俳優が降板すると知った時、多くの視聴者は番組から離れるかどうかの決断に迫られます。

降板は、健康状態、結婚などの生活環境の変化、他の番組からのオファーなど、人それぞれ理由がありますが、場合によっては納得いかないことも。

『クリマイ』では、2度納得いかない降板劇がありました。
そもそも、番組を見ようと思ったのは、主演を務めるマンディ・パティンキンと、トーマス・ギブソンのファンだったからです。

ところが、肝心のこの二人がドラマから降板してしまいます。

ギデオン役のマンディ・パティンキンは、シーズン3の冒頭で、
『悲惨な事件ばかりで気が滅入ってしまいやってられない。」
という理由で降板。

そして、ホッチナー役のトーマス・ギブソンは、脚本家と口論して暴力をふるったため、シーズン12の途中でクビになりました。

この二人の降板時には、「ドラマを見続けるかどうするか」と考えました。
一度目のギデオンの時は、番組も人気絶頂期だったので、ショックも大きかったのですが、ギデオンの後任のロッシ(ジョー・マンテーニャ)がとても魅力的だったので見続けることに決定。ロッシは、今となってはBAUの中で一番好きなキャラクターです。

二度目のホッチナー捜査官の時には、番組としては絶頂期が過ぎていたのものの、主人公の俳優がクビになるという前代未聞の理由に納得がいかず、俳優のトーマス・ギブソンに対しても、「何やってんだ」という憤りの気持ちが湧いてきました。
しかし、残ったキャストたちが団結して、突然いなくなったホッチナー捜査官の穴埋めをしていく感じが伝わってきて、彼らを「応援したい」という気持ちに変わり、見続けることにしたのです。

離脱しようと思った決断ポイント②ストーリー的に中だるみが生じる(つまらなくなってくる)

『クリマイ』は、毎回同じパターンで事件が解決していくという1話完結型のドラマです。
いつもと同じワンパターンの安定感を味わうドラマですが、長年続けば続くほど、マンネリ化してしまい「面白さ」という面でのハードル高くなっていきます。

さらに、最初の頃は、「こんなにヒドイ事件があるのか」と衝撃的だった犯罪も、次第に慣れてきて新鮮さが失われていきます(人間の慣れって恐ろしいですね)。

それにプラスして、BAU捜査官の入れ替わりが激しく、なかなかメンバー定着しない時期が続きました。

シーズン8から10くらいは番組の方向性が定まらず、混乱した時期でした。
でも、シーズン11になると、Dr.タラ・ルイス(アイシャ・タイラー)が登場し、「あ、これは締まるな」と思いました。

そこからまた安定してきて、シーズン11で人気キャラクターモーガン(シェマー・ムーア)が降板するのですが、「寂しいけど、残されたガルシア(モーガンの親友)を見守りたいから見続けよう。」という気持ちになったのです。

何が言いたいかというと、「ストーリー的につまらなくなったな」とは感じていますが、残ったキャストたちを見守りたいという気持ちがあり、見続けようという決断にいたりました。

以上の2回の決断ポイントでは、

①主演俳優が降板した
→残ったキャストを応援したいという気持ち

②ストーリーがつまらなくなった
→残ったキャストを見守りたいという気持ち

というキャストへ対する愛着を感じている自分に気が付きます。

お気に入りの俳優が降板して魅力が減っても、最近つまらなくなったなと感じてもドラマを見続けるのは、番組に対して、キャラクターに対しての愛着があるからです。

これが、「惰性で海外ドラマを見続ける」根本的な理由なのではないでしょうか。

私は、2006年から『クリマイ』を見ています。15年間という長い時間を、番組&キャラクターと共に過ごしてきました。もはや、自分もBAUファミリーの一員のような気持ちになっています。

15年という年月は、自分の中でも長く大切で必要な年月でした。生活環境も変わり、仕事も変わり、健康状態も変化しています。
さまざまな変化がある中でも、毎年『クリマイ』を見ることだけは変わりません。
降板劇をハラハラしながら見届け、キャストの入れ替えを悲しみ、喜怒哀楽番組と共に共有していきました。
『クリマイ』は、私の15年間の日常生活の一部となっていたのです。

番組に対するこの愛着は、もはや愛情です。

ドラマに対して、キャストに対して、家族のような親近感を感じています。
家族であれば、多少つまらなくなったくらいで、見捨てたりはできません。
最後まで見届けたいし、一緒に時間を過ごしたい。
長い年月を共に過ごしたことで、そういう心境に到達しています。

だから、海外ドラマファンは自分では意識しなくても、惰性でドラマを見続けます。
番組は、日常生活の一部であり、自分の歴史の一部であり、家族のような存在だから。
根本にあるのは、愛情だから、止めようと思っても止められないのです。

『クリマイ』は、本国アメリカで2020年の2月に最終回を迎えました。日本にはまだ上陸していませんが、必ず最後まで見届けるつもりです。

最終回がどんな内容でも受け入れる準備ができています。『クリマイ』ファミリーの一員として、番組に「15年間ありがとう、さようなら」と言いたい。今はそういう心境です。

【追記(2021年1月14日)】
2020年11月に日本でもWOWOWさんで『クリミナル・マインド』のファイナルシーズンの放送が終了しました。最終回に対する思いを書いた記事を追記しておきます。






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