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Seong Jing Cho

2022年3月7日月曜 7:30PM 開演
マカーターシアター(米国・ニュージャージ州プリンストン)

間を制するものはすべてを制する、芯のある力強い究極のピアニッシモ!ピアニッシシモ、ラベルはフリーJAZZ!

ピアニッシモなのに、芯があり力強くそして儚くズンと沈む。当たり前のように自分の体に入っていて、それを聴衆にストレスを与えずに、なんなく息をするような自然な形で聴かせる。先生たちなど誰も思い浮かばせることのない、完全に彼の音楽(実は、先生などの色を自分の中で消すのが本当に難しい)。本当に天才だと思う。何年かかっても、体得できない人がこの世にはたくさんいるのに。本プログラムの夜のガスパール(ベルトランの詩集をイメージしたオンディーヌ、絞首台、スカルボの3部作 日本語訳青空文庫)の黒鍵のとんでもないピアニッシモのグリスがすべての体の力みを宇宙へ飛ばしてくれたかのよう。そうして、もう一度言いたい、ラベルはJAZZ!(もちろん、ラベルのほうが先)

アンコールで月の光と革命!
初めて聴いたかもしれない、月の光が終わった瞬間の若い女性のキャ~っていう限りなく黄色い声。そして、初めてかもしれなかった、月の光を聴いて冒頭数小節で涙が自然にでてきたのは。なんというピアニズムだろう!気がついたら感動していたというのがより正確。私の後ろの若い女性は、胸の前で両手を組み神様に祈るような目でステージ中央を見つめている。そう、彼女にとっては、まさに、彼は神のようだった。

わかる

すごいかっこいい もう間合いと強弱の緩急の魔術に、やられっぱなし。予定調和を頭から追い出させる力とでもいいましょうか。

魂を全身全霊で汗だくで吹き込む姿に、私でも「かっこいい」と思わず言ってしまった。もう、アンコールは1曲で終わりかと思ってみんな帰り支度をした瞬間でてきて、革命を始め、客席沸き立っちゃって沸き立っちゃって、大変だった。これ、クラシックのコンサートとは思えない雰囲気だった。渾身の一撃ならぬ一曲だった。ショパンが生きていたらなんていったかな、フランス語はわからないけど、英語なら, Coolかな。

この革命、もう最後の最後にエネルギーを吐ききるかのようなもの凄い勢いで、最後の4分音符コード2発なんかは、もう完全ロックで、ここでも女性の黄色い声+男女まざったどよめきと大歓声。こんなノリ、クラシックで体験したことなかった。CDよりももっと激しかったと思う。音楽的な表現はホロヴィッツに近かったと思います。

興奮冷めやらず、翌日の今日も、BGMはソンジンチョウのショパンシリーズ。

オーケストラとの共演コンサートもいいけれど、ピアノ・ソロリサイタルはアーティストが自由にできるし、いろいろな側面を垣間見れるので、いいなと思った。オケとの共演では絶対にこの自由な感覚はないのだろうなとおもいながら。

Seong-Jin Cho

プリンストンにやってきてくれたので、聴きに行きました。よくぞこのような小さな町にまでこんな大スターが!もちろん1100人分のチケットは完売!
小さな街にある小さなホールなので、いつも余裕のあるところでゆったり聴いてるのだけれど、今日は完売、早めにいきました!大正解。とってもいい一日、とても幸せな一日でした。

Lineup
Janáček: Piano Sonata 1.X.1905
Ravel: Gaspard de la nuit
Chopin: Scherzo No. 1 in B minor Op. 20
Scherzo No. 2 in B flat minor Op. 31
Scherzo No. 3 in C sharp minor Op. 39
Scherzo No. 4 in E major Op. 54
https://seongjin-cho.com/performances/

https://www.youtube.com/watch?v=nV5dtI6Ix_s

彼は今日のあと、今月末にニューヨークフィルと皇帝やるのだけど、遅かった。完売^^;

メタリカや、過去のオスカーピータソンのクラブ公演以来、こんなに熱くなった、クラシックのピアノリサイタルは、そうそうない。

次は、今週の金曜にテキサスでやるそうだが、さすがにそこまではいけない・・。また次回をすごく楽しみにしていよう

2022年3月8日火曜 記

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