ポジショナルフットボール実戦論

来季より監督を務める身として。

現在育成年代に関わる指導者として。

指導者とは常に学びの連続であり、学びを辞める時は指導者を辞める時であると本気で思っている。つまり人生は学びであり、そこからのアウトプットこそ重要だ。

本気で学びたいと思った時、本を読むようにしている。

ネットニュースはともかく、SNSなどの記事やコラムを信用していないわけではなく、その辺りも普通に見るがやはり[本]というものは強い。なぜならシンプルに情報量が圧倒的に違うからだ。いずれ今読んでいる本が過去の情報になる。しかし未来の人間が何か悩みに遭遇した時に、過去の偉大な先人より直接的なメッセージを受け取れるのが[本]だと思うのだ。

僕の好きなアーティストにUVERworldというバンドがいるが、ある曲の歌詞に「最近の若者はなっていない。いつの時代も同じ。」という節があるように、いつの時代の人間もテクノロジーの進化はあれど、人間の進化が急速に進むことはなく、例えば100年後の未来の人間も恋愛の悩みや将来の悩みなど、今と変わらない悩みを抱えて生きていくのだと思う。

だからこそその人にとって響く本は存在する。

ポジショナルプレー

レノファ山口で監督を務められている渡邉 晋さん著書の[ポジショナルプレー実戦論]を読んだので、つらつらと感想を書いていきたいと思う。

まず渡邉さんについて。

ベガルタ仙台で長く監督を務められたことで知られていると思うが、なんといっても渡邉さんのチームの特徴が再現性を求めたゲームのコントロールだと感じる。すなわちボールを保持し相手を押し込み、ファイナルサードを再現性の高い攻撃でフィニッシュを目指すというものだろうか。

そのボール保持のために最も重要なポイントこそ、個人的に渡邉さんの代名詞である[立ち位置]である。ボールをどこで受けるのか?それは自分本意のポジションではなく、いかにして相手を困らせるか。相手のDFをピン留めしておいて目の前のスペースの活用であったり、CBとSBを引きつけるランニング(いわゆるデブライネ的な)から数的優位を生かすなどである。ビルドアップ時でも同じだろう。どこで数的優位を作り、どこで相手を困らせるか?1歩、2歩右にズレるだけで相手を完全に殺せる(背後を取り切った状態)位置を取れるかどうか。

また局所的に数的優位を作り出し、逆サイドのフリーの味方へのチェンジはプレミアリーグ等でも良く見られた光景だと思う。

そういったプレーを大まかに総称してポジショナルプレーと呼ぶ。

とはいえこの「ポジショナルプレー」という言葉自体に、様々な意味や解釈があり、100%の意味で定義されている言葉はあまり見たことがない。そもそもポジショナルプレーは戦術ではなく、サッカーにおける原理と原則を再利用したフットボールの解釈(見方)だと思っている。

前置きが長くなったが、渡邉さんがどのようにチーム内でこの解釈を浸透させようとしたのかが知りたくてこの本を手に取った。


一番の大トロ

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本の細かい部分はあまり話さず、指導者の方は一度読んでみることをオススメする。

その中でも僕の中でこの本の最も面白い部分の話をする。


この本はポジショナルプレーを解説する本ではなく。

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これからも自分以外の【誰か】や【何か】のために、少しでもその方々にとって有意義なものを作っていきたいと思います。楽しみましょう!