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Sol GK Schoolを立ち上げたお話

はじまり

2020年7月中旬

僕は突然彼に電話をかけた。

「GKのスクールやらへん??」

この一言から全てが始まったといえば大袈裟だが、一応その通りだ。

電話をかけた先は現在F.C.大阪に所属しているプロサッカー選手である田中大貴である。彼との関係性を少し書いておくと2018年〜2019年にかけて栃木シティFCで出会い、彼が選手で僕が主務という関係だった。同級生で誕生日も6日違い、香川出身なのにやたらと関西弁を話す。栃木ではかなり一緒の時間を過ごしたと言っていい。そして2020年に共に栃木を離れることになり、(たまたま)行き先が同じ大阪だった。そりゃあ同じ大阪にいるものだからたまにご飯に行ったり、ランニングや筋トレをした事もあり、色々な相談をお互いにするような間柄だった。

栃木ではお互いに本当に様々な経験をして、時間を共有していたため、お互いにどのような人間かは分かっていた。だからこそ同じ大阪にいていつでも会えるというのはコロナ禍の中でも精神的に良かった部分なのかも知れない。

ハッキリ言っておくが彼はプロサッカー選手である。しかしながらサッカー選手以外の仕事もしなくてはいけないという現実もある。ここで僕が考えていた【どのような仕事を選べばいいのか】を彼に伝えたところそれがいい方向に向かった。

彼は引退してからのキャリアとしてGKコーチになるという事が明確にあった。その話もずっと聞いていたし、意外とと言ったら失礼だが技術面や思考面に関してはしっかり言語化をするタイプで、かなり細かい。繊細な人間でもある。それならばもう今からGKコーチとしての活動もすればいいんじゃないかという結論になり、現在は東淀川FCという大阪ではかなり有名な街クラブにて活動を続けている。しかし僕には考えと思いがあった。それは自分たちのスクールを運営してみたいというものだった。1人では難しくても彼とであれば成し遂げられるのではないかという考えもあり、最初のように誘ったのだ。やるからにはここでも結果を出す。そう決めて立ち上げに向けて動き出した。


GKを取り巻く環境

「会場はどうしようか?曜日は?形式は?」などと決めていかなければいけない点が多くあるなかで、ただ出来るだけ早めにスタートさせたかった。何ヶ月かしっかりと準備した上でのスタートは少し無理があるように感じていたからだ。

なぜかというと田中大貴は現役のプロサッカー選手だからである。

プロである以上、翌シーズン以降の事なんて誰にも分からないし保証されているものでもない。契約満了だけではなくステップアップの移籍の可能性だってあるだろう。最初に話を始めた7月中旬の時点で残されたシーズンは約5ヶ月弱。翌シーズンに彼が大阪からいなくなる事も想定するとあまり時間はなかった。


会場はご縁があり使用の目処がたち、曜日は近隣のサッカークラブが活動していない目安の月曜日に設定。参加金額や形式(イベント制にするか月謝制にするか)は話し合いや僕自身のこれまでの経験や感覚で決定した。肝心のスクール名は(仮)で[Sol GK School]に決めた。

そう。この仮タイトルを最終的には採用することにした。

あまり人の名前や土地に由来するような名前にはしたくはなかったので想いを乗せることを第一に考えた。

sol=太陽

Jリーグの柏レイソルにも使われているので割とメジャーな認識がありそうだが、ここには日本のGKの環境についてマジメに考えていることが2人揃って共通していることがあった。



・育成年代(主にジュニア年代)の育成環境
・日本におけるGKの価値

ジュニア年代の街クラブの環境を見たことがある身としては、なかなかGKの育成において難しいと言わざるを得ない。そもそもチームにGKコーチがいないことが普通なくらいだ。それ故にGK専門のGKスクールが増えているという背景もあるだろうし、チャレンジする価値はありそうだと思っていた。例えばドイツなどでは7,8歳の頃からGKの専門的なトレーニングをしているそうだ。早い遅いの問題ではなく、GKとはこういう重要なポジションなんだと伝えながらも楽しさを伝えること。そこの差は大きいと思う。ちなみにGKコーチがチーム内にいたとしても、そのコーチを評価することも難しい現状がある。なぜならGKの事が未経験者には分かりきれないからだ。指導者ライセンス取得の項目の中に一応GKの項目があり、どうポジショニングを取るべきなのかを言語化する事であったり最低限の基礎技術は学ぶことは出来るが、体感してみて感じたのはやはり未経験者にはハードルが高すぎる。サッカー経験のない名指導者は作れるが、GKコーチについては今のところ難しいのだろうと思う。

そして上に記述した内容がそのままリンクするのが日本におけるGKの価値である。GKをやりたがらない選手の方が多く、またFPとしてまだ活躍仕切れていないからという理由でGKをやらせる指導者がいる事も事実。ポジション柄、ミスが失点に直結する苦い思い出も影響するのだろう。そこでかけられる指導者のネガティブな言葉もあればなおさらだ。ハッキリ言ってGKの価値が低い現実は否めない。しかしそれは自然とそうなっていったというよりは、指導者の影響やGKを取り巻く環境が原因だ。

育成年代の内から、GKの重要性や楽しさ、やりがいを前向きに正しく伝えること。たくさんの成功体験を与えて「またやりたい!」と感じ取らせること。やるべきことはそれだけのような気がする。少しでも日本サッカーに貢献できるのではないだろうか。


不要不急のサッカースクールの価値

2021年3月。

緊急事態宣言下だった事もあり、会場の時間変更もあった。

僕たちも両手を広げて「どんどん参加してください!」と言いづらくなった。

正直僕たちのスクールは不要不急なのかもしれない。

自チームの活動が優先されて然るべきだし、僕たちのトレーニングはプラスアルファでしかない。

このような時期だからこそ、サッカーというスポーツよりも大切なことがあることを、サッカー少年も感じられる機会なのかもしれない。


家族・友人・命・健康・夢


それでも僕たちのスクールを選んで参加してくれている選手たちを本当に大切にしながら、この2021年も進んでいきたい。


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「僕らは知っている
奇跡は死んでいる
努力も孤独も
報われないことがある
だけどね
それでもね
今日まで歩いてきた
日々を人は呼ぶ
それがね、軌跡だと

ああ なんて素敵な日だ
幸せに悩める今日も
ボロボロになれている今日も
ああ 息をして足宛いている
全て僕のこと

あの日の僕らのこと」

〜Mrs. GREEN APLLE 「僕のこと」〜


これからも自分以外の【誰か】や【何か】のために、少しでもその方々にとって有意義なものを作っていきたいと思います。楽しみましょう!