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どうすればよかったのか問い続けてる

たまたまTwitterを見てたら、この漫画が目に入って読んでみた。

中学時代からの友人がキャバ嬢にハマってしまった話を漫画に描いていた。まだ話の途中なので、友人がどういう結末を迎えるのかわからないが、読んでいて何だか苦しくなった。

どう考えてもキャバ嬢にカモられている。でも恋愛免疫のない友人は薄々わかってはいると思うけど止められない。友人を思いながらどうするのがいいのか考える自分たち(とはいえ、これは幸せな結末じゃなかったら漫画にするの友人としてどうなんだ! という気持ちにもなる)。

読んでいて思い出したことがあった。20代の頃、中学時代の私の友人がボーイズバーにハマってしまい、ホストから呼び出されたらすぐ出向いていて心配だという話を同級生から聞いた。中学時代は東京の葛飾区に住んでいて高校卒業後から神戸に来たので様子はわからない。

ある冬の日、東京に行った際に同級生からこう聞いたけど大丈夫なのか? と友人に聞いた。「えー!? 大丈夫だよ。何なら峰ちゃんもボーイズバー行ってみる? 楽しいよ!」と誘われた。これは勝負だと思って行くことにした。

友人との待ち合わせに私は紺色のパーカー付きニット、カーキ色のズボン、紺色のニットキャップを身につけ、スニーカーを履き、リュックを背負い、メガネを着用した。保身を全身で表現してボーイズバーに挑み、友人ともうひとりの同級生との3人で待ち合わせて店内に入った。

友人は常連だったからか、店内に入るとチヤホヤされていていた。すぐに3人のホストが付き、ひとりのチャラいホストが「お姉さん、何なのその格好? 山登りでも行くの?」と言った。私は憮然とし「別に…」と言った。沢尻エリカの「別に…」事件よりも前に、私は葛飾区のボーイズバーで憮然とした「別に」をかました。

私はとにかく観察しまくった。チャラいホストは若手でひたすら盛り上げて酒を飲ませて売り上げをあげようとするタイプ、そのホストを盛り上げて一緒に騒ぐタイプ、私と同じように観察するタイプで場の空気をひたすら読んでいるタイプの3人のホストたち。チャラいホストが友人に酒を勧める度に、私は「まだ残ってるから大丈夫なんじゃない?」と水を差し、自分に勧められたらひたすらウーロン茶をちびちびやりながら「いいんで!」と固いディフェンスを決めた。

私のそういう態度にチャラいホストがイライラし始め、何とか笑かそうとした言葉にも真顔でいたら、とうとう怒りはじめ「何で笑わねーんだよ!」と言ったので、真顔で「面白くないから」と答えた。

そのシチュエーションを観察してたホストは密かに楽しんでニヤニヤしていたが、チャラいホストが怒ってるんで親玉みたいな人が来た。なかなか迫力がある人だった。「どうした?」みたいにやってきたので、チャラいホストが「何をやっても笑ってくれないんすよ!」と嘆いた。親玉はジロリと私を見たが、私は勝負しに来てるんでジッと見返した。「こういう場に慣れてないお嬢さんなんだから多めに見てやれ。ムキになるな」と言って親玉は去って行った。

白けたムードになったことだし、「そろそろ帰ろう」と言って店を出ることにした。店を出た後に、やっぱり私は友人に心配だと伝えてみた。

その後、ボーイズバー通いは無くなったみたいだが男性に依存する恋愛体質みたいで、本人からいろいろ話を聞いた。「奥さんがいる人を好きになって、たぶん向こうも私を好きなんだと思う。この気持ちに素直になりたい。どうしたらいい?」と言われた時に、私はいい加減なことを言ってはいけないからと「それは勧められない」と言った。「いい加減に"わかる!わかる!"なんて言いたくない。そんな応援はできない」とキッパリ言った。

友人は納得できずに同じことを何度も電話で話してきた。私も何度も同じことを返した。だんだん私の時間を無視して夜中にも電話をかけてくるようになった。最初は友達だから…と対応していたが、だんだんしんどくなって電話に出ないようにして、折り返しの電話もせずに疎遠になっていった。

たまたま見た漫画を読んで、私はいつも正論ばっかり言って、友人の気持ちを考えることはしなかったなと思った。いや、考えてはいた。考えるけど、相手の気持ちを感じて尊重することはしなかった。

手紙の整理をした時に、その友人からの手紙が出てきた。その手紙には「峰ちゃんが私を思って水をぶっかけるようなことを言うのはわかるけど、峰ちゃんは教科書みたいなことばかり言う。私の気持ちをわかってほしい。私を怖がらないでほしい。私を受け止めてほしい」と書かれてた。当時の私にはわからなかった。間違った方へ行くのを止めるのが友達だと思っていたから。

だけどそうじゃなくて、(間違ってるのはわかってるし、意見が違うのもわかってるけど、嫌いにならないで、ただ気持ちを受け止めてほしかった。自分の気持ちを大事にしてほしかった。)ということだったんだなぁと今頃理解した。私はそういう気持ちがまったくわかってなかった。すごく冷たかったと思う。

私は結局、その友人から逃げたんだと思う。そして、いまだにどうすればよかったのかわからない。心配し過ぎずにその子が気が済むまで距離をとりながら見守っていればよかったのかも知れないけど、今となってはわからない。

だけど、たぶん大事なのは、「どうすればよかったのか?」を、考えるのをやめないことだと思ってる。相手に冷たい棘を刺したとも思うけど、自分にも刺さった棘をじっくり見つめながら優しく抜いて、時が経つのを待ちながら、同じようなことが起きた時に自分はどうするかの問い続ける。誰もが納得する正解を出すんじゃなくて、自分の心も相手の心も大事にする自分なりの答えを見つけたい。どう答えていいかわからないなら、わからないって素直に言えばよかったのかもしれない。正論なんて誰も救わないし、誰もが人に理解されないだろうと感じてる自分をわかってほしいのだから。


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