見出し画像

好きnote 24 「さくら花」

私は今、入居型の老人介護施設で働いていて、毎月自分の担当ユニットのお誕生日会で歌をうたっています。


7月から始めて今回は5回目。リクエストをいただいた時はリクエストになるべく応えられるように練習するのだけど、今月のお誕生日会の方は特にリクエストはないそうで。

でも今までの会話の中でどうやらJAZZ好きみたいな事は掴んでいるので、「what a wonderful world」を歌うことに決めてます。

あとは江利チエミの「テネシーワルツ」。

そして、この動画の歌「桜花」を歌います。


今月のお誕生日の方はパーキンソン病で、体調が良くない時が最近増えてきてるようで不安があるみたいで、皆さんが知らない歌だけど、また来年も桜を見ましょうという気持ちを込めて歌おうと思いました。

画像1

季節の変わり目だからか、お誕生月の方だけでなく体調の変化が著しくて、1ヶ月前まで元気だった方の看取りケアも行っています。

いつも旦那さんの自慢をしていた。「お父さんは、背が高くて、優しくて、男前で、真面目で、でも面白くて、叱られたことも殴られたこともない」とおっしゃってた利用者さん。

ご近所の方なので、毎日その自慢の旦那さんが面会に来てくださっています。おふたりの姿を見ていると、より、この「桜花」を歌おうと思いました。

病院や施設にいると、亡くなる前の方から死臭がすると聞いたことがあります。今日、何となくこの匂いなのかも知れないと感じるものがありました。この歌をうたうお誕生日会の日まで元気で居てくれたら、おふたりに届くように歌えるのだけど。

私は結婚に対してあまり良いイメージを持てず、本気で人を好きになった事もなく、結婚願望もない人間なんだなと思っていたのだけど、

毎日奥さんが好きだったものを持って会いにくる旦那さんの姿を見て

旦那さんがお帰りになった後に「お父さん」と呼んでる利用者さんの姿を見て

すごく美しいなと感じて、こんな風に想える人がいることはどんなに素晴らしいのだろう。人生で1番素晴らしいことは、もしかしたら、こんな風に大事に想える誰かがいるということなんじゃないかと思いました。私もそういう誰かに出会いたいなと羨ましくなりました。

旦那さんに、「いつも"お父さんは、男前で、背が高くて、優しくて、真面目で、でも面白くて、叱られたことも殴られたこともない"と自慢してたんですよ」とお伝えしたら

「ボケとんですわ! 背、高くないやろう〜、ほんまに何を言うとんねん。

…せやけど、最後の記憶が良いものだけでよかった…。」

と、おっしゃっていた。

ただ好きでうたっていた「桜花」だけど、何気なく毎年見てる桜のようで、いつまでも春に美しい桜を見られる幸せをうたってる歌なんだなぁと改めて感じました。

画像3

画像2

おふたりに届くように歌えますように。
おふたりの幸せを願って歌えますように。

そんな風に思って歌えることが、エゴかも知れないけど私の幸せなんだと思いました。


サポートほしいです!  よろしくお願いします! お金をもらう為に書いている訳じゃないし、私の好きや感動に忠実に文章を書いていますが、やっぱりサポートしてもらえると嬉しいし、文章を書く励みになります。 もっと喜んで文章や歌にエネルギーを注いでいけますように。