【連載】私たちは敵ではない(11)
その年の秋、大型台風によって、私の住んでいる一帯は、甚大な被害を受けてしまった。
風雨が窓を打ち付ける音に混じって、玄関のドアをドンドン叩く音がした。電灯を付けようとしたら停電で付かない。懐中電灯を探し時計を見ると午前三時を過ぎていた。
急ぎ玄関の扉を開けるとそこには狸一家が雨にぬれ寒そうに立っていた。いつもは三匹であるが、二匹しかいない。
とりあえず家の中に入れ、ストーブのそばで冷えた体を暖めるよう促した。
お袋が物音で目が覚め、起きてきた。
お袋がバスタオル