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未来を、自分で選択していきたい方へ

当センターでは、2021年4月からMBSR講師養成講座を開催しています(2022年10月開講3期はこちらから)。

その1期生として2021年10月からのプログラムに参加されている家永さんにご寄稿いただきました。作業療法士として精神科のクリニックのデイケアに勤務されながら、MBSRを教えることを学び、感じていることとは。(ご本人プロフィールは文末)

(2023/7/12改)8月18日(金)から金曜夜MBSR8週間コースを開講予定です。
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以下、家永さんの寄稿です。

家永
前回の記事を読んでいただいた方もいるかもしれない。「勢いで、講師養成講座に入ってしまった」という一文を添えた。しかし、私にも「こんな方へマインドフルネスを伝えていきたい」という思いはある。それを少し書いていきたい。

そして、以下の3つテーマについて書いてくださいました。


将来をあきらめるのではなく、今の自分で選択して~

家永
以前、自分にしかわからない理由で地元開催のマラソンを絶対完走したいと思ったことがある。「理由」があるので、いろんなことが起こり、ここにもマインドフルネス珍道中記が書けるが、ここではおいておく。ある日、足が痛くなった。マインドフルネスを間違った使い方をして無理していたが無理が出来なくなった。病院にいき、「治ったよ」と言われても、痛みも違和感もとれない・・・。「もう、出来ない」「そもそも、私には贅沢なこと」など自分で自分を落とし込んでいく思考と戦った。もちろん、体はますます、緊張が強くなる。
そんな中、マインドフルネスの実践は、少しずつ気づきを増やしてくれた。
「体にまで厳しくしているよ」「この体の違和感は体力が落ちただけかも」「今の自分ではこのくらいでも十分」とその時の自分を認め、握りしめていたものをほどいていくことができた。前と同じではないが、「諦め」なくても、今の自分でどうしたいか考え、出来ることがあると思うと体も心も軽くなった。怪我や病気で思い通りのことが急に絶たれた後の方へ、加齢によって前出来ていたことが出来なくなったと嘆く方へ、マインドフルネスのスキルがあれば、自分を苦しめる思考で自分を傷つけられなくてもいいのに、自分の限界も可能性もあることが分かるのに、と伝えていけたらと思っている。

私たちは、普段より体力が落ちたり、できていたことができなくなってくると、その中にはまり込んでしまい、自分を傷つける思考にさいなまれることがあります。これは誰にでも起こりうることです。ご本人の体験を元に、まずは、そのような状態にはまり込んだ方々に、マインドフルネスの実践がサポートになるということを伝えて行きたいと言います。

未来ある学生へ~

次に、作業療法士として、独り立ちしてきたこれまでのご経験からです。

家永
私は、作業療法士という仕事をしている。どの専門職種にもあると思うが、臨床実習というものをして、世に出ていく。当然レポートや課題、臨床での応用力などもちろん負荷があがる。それ以上に、担当の患者様をもつという大きな課題をいただく。「障害」を抱えた患者様の人生を自分のこと以上に考え、自分がいかに無力か感じる、他人の人生を考えながら自分を部分的に照らし合わせ今まで気づかなかった思いに気づき、何か大きな力で振り回されてしまうような感覚になったものだ。

そんな時に、以下のようなことを感じたそうです。

家永
実習に出ていく学生がマインドフルネスのスキルを身に着けていたら・・・。仕事についてからよりも担当の方とともに過ごす時間は長い。マインドフルに話を聞けたら、技術的なものでないより暖かい関係となるかもしれない・・・。実習していく中で不安や自己否定してしまうような感情が襲ってきたら、自分の周りに優しいスペースを作ってあげて今の自分で、何が出来るかとその行動をとることにエネルギーを使えるかもしれない・・・。など考える。それらは、臨床に出たときに何度も襲ってくるストレスを乗り越える礎になると思う。だから、未来ある学生に伝えてみたい。

医療従事者の方々は、他者をサポートする立場であると同時に、またストレスを受ける職種でもあります。医療職の燃え尽きなどに対して、マインドフルネスやコンパッションによりサポートをする動きも広がってきており、国内の大学での研究なども始まっています。ご自身がそのような専門職として勤務をされている立場から、同じ医療従事者へのサポートも考えていらっしゃいます。

自分で自分の行動を決めていい~

そして、職場で接している患者さんや一般の方々についても言及されます。
それは、「選択」という観点です。

家永
現在、気分障害圏の方がたくさん来られる精神科クリニック併設のデイケアで仕事をしている。職場、学校などをお休みするほど心が疲れた方が来られている。皆さん、人や時間、仕事・学業内容など何かに合わない部分があって苦しんで来られる。その中で感じるのは、実際をみたわけではないが、話の中で見え隠れする親との関わり。といっても特別なものではない。「きっと心配症のお母さんでこんなふうによく言われていたんだろうな」とか、「きっと、こういう場合、こういうふうにしていたんだろうな」という程度のもの。しかし、心が苦しくなった要因のところに、同じものが浮かんでくることがある。親子関係の中で作られた、根付いた考え方や行動のパターンが機能しなくなったとき、心が辛くなっている。答えは1個でないのに1個しかないと困っている。今の自分は何を必要としているのか、今の自分はどう感じているのか、今の自分に必要な行動をとっていいと、マインドフルネスを伝えることで、感じて欲しいと思っている。だから、健康な若い世代にも伝えたい、と言いたかったが、ここまで書くと、「これは、万人に必要なスキルだ」とマインドフルネスの大きさを感じた。そういえば、私がマインドフルネスを「していた」と「続けていくもの」の境になった言葉は「マインドフルネスは生き方探し」という言葉だったかもと思い当たった。

私たちは、様々なパターンが自動的に思考や感情を支配し、それにより気づかない内に行動をしていることがあります。そこに、マインドフルネスの実践を行うことで、反応に気づき、自ら選択することができる、ということを提示します。
「今の自分はどう感じているのか」という問いがそのことを一言で表しています。そして、マインドフルネスの実践が、生き方探しであり、一生をかけて行っていくものであると感じていらっしゃいます。

家永
私が伝えたいと思っている方は、何か特別な方々ではない、身近にいる、でも自分の未来を自分で選択していきたい、自分の足で進んでいきたいと本気の方へ本気で届けていきたいと思っている。

マインドフルネスは、これまでの研究で、様々な疾患を持つ方への効果が研究されたりしていますが、それと同時に、ごく普通の私たちが、自動操縦状態から抜け出し、未来に向けて選択を行っていく、という主体的な生き方に関わるものでもあります。それは一見、難しく思えることかも知れませんが、MBSRを始めとするマインドフルネスのプログラムで、講師や他の受講者の方々と一緒に学ぶことがその助けになってくれるでしょう。

自らの未来への選択を行うこと、そのことに一緒に取り組みたい方、マインドフルネスの実践を始めてみませんか?

家永千夏 プロフィール詳細

作業療法士。精神科の病院で慢性期の統合失調症の方を中心とした作業療法に従事。その後認知症関連の病棟やデイケアに従事。
精神科クリニックの気分障害圏・発達障害圏のデイケアに勤務しています。
そこで、マインドフルネス認知療法、認知療法、ACTなどの心理療法に出会いました。そして、自分も体験したいとマインドフルネスを本格的に学びだし、それが、いつしか自分と向き合うツールとなっていきました。
唯識論を学びの入り口として、マインドフルネスのベースとなる考えに触れていき、かつ身体感覚を高める面白さと大切さを実感していきました。自分が学びを継続していく中で、痛みとの付き合い方、感情との向き合い方など硬く握りしめていたものが手放した体験を伝えていきたいと思うようになりました。
身体感覚を大切にしたいとヨーガ講師の資格をとり、少しずつですがお伝えをする機会をもっています。自分の体験とそれを裏打ちする知識や言葉が合わさったときの楽しさをご一緒出来る仲間を増やしていきたいと思い学びを続けています。

家永さんのMBSRコースは以下にて実施されます。無料のオリエンテーションも行っていますので、ご興味あればご参加ください。
(以下をクリックしていただくとコースの詳細へとびます)



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