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マインドフルネス認知療法(MBCT)受講者インタビュー

マインドフルネス認知療法(MBCT)の講座を受講者様に、インタビューを行いました。

受講者:女性、会社経営
インタビュアー:井上清子(MBCT Certified Teacher)

※以下は参加者個人の感想です。MBCTは医療行為やセラピーではなく、トレーニングであり、医学的な効果を保証するものではありません。

客観的な視点がでてきた

井上:本日はお時間ありがとうございます。まず、マインドフルネスを始めようと思ったきっかけを教えて下さい。

受講者:自分はもともと新しいことに取り組むことが好きで、10年前からマインドフルネスに興味がありやってみましたが、なかなかうまくいきませんでした。少し前にマインドフルネスの話を聞いて、どのようなものを試してみたくなり参加しました。今、1年半ほど続けています。

井上:実際にやってみてどうでしたか。

受講者:プログラムのはじめにボディスキャンがあります。まず、この時にやっている手応えがありませんでした。これをやってどうなるのだろうか、と感じました。この頃は、練習中、意識があちらこちらに飛んでいっていました。ただ、練習を続けて、自分のありのまま感覚を追っていくうちに、段々と注意が安定するようになってきました。

そうして、徐々に、もっと探求してみたいという気持ちが強くなってきました。朝起きて練習する習慣も身についてきました。

そうすると、普段の生活の中でも、物事についての自分の考え方について、別の自分が「そんな考え方をしたら大変じゃない、もうちょっと別の考え方をしてみたら」というような客観的な視点がでてきました。そして、クラスで先生や他の受講者の人と話をするうちに、自分のこともよりよく眺められるようになってきて、自分自身を興味深く見られるようになってきました。

今、自分はこんなことを感じているんだ、ということがわかり始めると、今どう感じているか眺めるために瞑想してみよう、といったように瞑想が楽しくなってきました。

人間関係、仕事や趣味への関わり方の変化

井上:それによって毎日の仕事、家庭のことなど、生活にどのような影響があったでしょうか。

受講者:マインドフルネスを始める前は、苦手な人と自分が相対する関係にありました。マインドフルネスを学んでいる今は、苦手な人と自分が、相対する関係ではなく、同じ枠の中にあるような感じがあります。相対している相手には厳しい感情を持ちがちですが、今は、そのような人もいるんだ、相手は相手のあり方があるし、相手の自由もある、その人が悪いわけではなく、自分の関わり方で変わるのだな、と思うようになりました。

また、仕事や趣味などへの距離のとり方、アプローチの仕方が変わりました。もともと、何でもやりすぎるとか、考えすぎる傾向があったのですが、いまは、一つのやり方だけでなく他のやり方があるよね、というような心の余裕がでてきました。新しいアプローチを取り入れて、自分を楽しませることができるようになりました。それが様々な場面で、自分に自由を与えてくれます。広い視野を持てるようになりたいと思っていたので、それに近づいているように感じる。マインドフルネスの効果がここまであるというのは自分でも意外でした。

事実と思考・感情の見極め

井上:これからマインドフルネスに取り組もうかと考えているひとにメッセージがあればお願いします。

受講者:マインドフルネスが合うか合わないはその人次第かもしれません。自分は身近なところに瞑想をしている人がいたので、以前からなんとなくはやっていたのですが、本格的にやる機会までありませんでした。そして、実際にマインドフルネスへの取り組みの中で瞑想を行うと、自分なりにやってよかったと思えることが出てきたのですが、これは言葉で伝えるのが難しいものです。

井上:すぐに効果がでるとか、マッサージを受けてその場で「気持ちいい」というものではないかもしれませんね。続けることで見えてくるものがあるかもしれません。それを続けられるかということは、その人にとってマインドフルネスが合う合わない、の一つのポイントだろうと思います。
練習を始めた頃は、これをやって意味があるのか、日常生活につながるのか、と多くの人が思います。それを続けていくと、物事の見え方が「ハッ」と変わった時に、ああ、こうやって苦しんでいたんだなとか、状況はそんなに変わっていないけれども、急に肩の力が抜けて楽になったり、いろんな瞬間にやさしい関心を向けられるようになってくることが面白いですね。

受講者:感情の取り扱いや落ち着いた行動には良い影響が出てくるように思います。先日も、コロナウイルスの多く発症している地域から人が移動してくるという話を聞きました。その時、「なぜこのような時に帰ってくるのか」と怒っている自分に気がつきました。そしてその怒りに気づき、それとともにある時に、自分は何に怒っているのか、その人達が別にコロナウイルスを持ってくるわけではないのに、という考えが浮かんできました。そこにある事実は、その人達が移動してくる、ということだけです。それなのに、そこに付随して自動で湧いていた「コロナをもってくるのではないか」という思考にストレスを感じていました。
そういった、まぜこぜになっている、事実、思考、感情などを細かく見極めることができました。そうすると、「別にその人達がコロナウイルスを持ってくるわけではない、用心してソーシャルディスタンスを保てば大丈夫」という対応になりました。
自分との問答が始まって、何に怒っているのか、ということを探っていく心の働きが始まります。これは自分にとってありがたいことです。

いい人に思われなくてもよいと思うようになった

受講者:これまでは、他人によく思われたい、評価されたい、と思って、自分のキャパシティを越えることを無理してやろうとしていたことがよくありました。無理しないことは自分を甘やかすことになるのではないかと。その点の見極めは難しいですが、とりあえず今は、まず大事なことを抑えて、そこをまずしっかりやることで、残りのことはどうにかなるだろう、という心の余裕が生まれてきました。

井上:疲れ具合も違いますか?

受講者:大分違います。無理して疲れていたというのがあります。いい人に思われないと不安、というような考えがあまり生じなくなってきました。前はそういう感覚がもっとあったはずですが、今はあまりそう感じません。肩がストンと落ちたようなな感じです。作った自分を生きていたような感じがします。

先日、身近な人を看取りました。社会的にも一定程度の成功もした人だったのですが、物質的な豊かさは人生を終えるにあたって次に持っていけるものではありませんし、それゆえに、心豊かに人生を送ることが大事なことだと改めて思いました。

気恥ずかしかった「思いやり」が馴染んできた

この間のStudy GroupでErik先生からコンパッションの話を聞いて、井上先生がクラスの中にその要素を取り入れていることが理解できました。マインドフルネスのクラスに参加した頃、思いやりという言葉を聞いても、日頃そういうことを気がけていなかったので気恥ずかしかったのですが、毎回取り組むうちに自然と馴染んできたという感じがします。練習によって、どのような気持ちが徐々に芽生えてきたと思います。引き続き練習に取り組んでいきたいと思います。

井上:ありがとうございました。これからも一緒に学んでいきましょう。


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